【インタビュー】『ジョン・ウィック』シリーズ最新作『バレリーナ』レン・ワイズマン監督が語る、アナ・デ・アルマスの可憐な魅力と映画への情熱

『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
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全世界が熱狂した大ヒット映画『ジョン・ウィック』シリーズの最新作『バレリーナ:The World of John Wick』が、8月22日(金)より全国公開される。

最新作では、シリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』とクロスオーバーした時系列を舞台に、新たな復讐の女神の物語を誕生させた。

孤児を集めて暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪組織ルスカ・ロマ。裏社会に轟く伝説の殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)を生み出した組織で殺しのテクニックを磨いたイヴ(アナ・デ・アルマス)は、幼い頃に殺された父親の復讐に立ち上がる。

これまで一貫して『ジョン・ウィック』シリーズを監督してきたチャド・スタエルスキは製作にまわり、“ガン・フー”を始めとした斬新なアクションを更なる高みへと進化させた。

待望のシリーズ最新作で監督を務めたのは、ダークでスタイリッシュなアクション映画を生み出してきたレン・ワイズマン

このたび来日したレン・ワイズマン監督が単独インタビューに応じてくれた。

すでに確立している『ジョン・ウィック』の世界観を、どのように解釈し再構築していったのか。

そして主演アナ・デ・アルマスの魅力や制作の舞台裏、さらに監督独自のアクションシーンのアプローチ方法、映画への情熱について熱く語ってくれた。

スタイリッシュで独自の世界観を持つ、ジョン・ウィックワールドへ挑む思い

――本作の監督を引き受けたときの率直な気持ちを教えてください

まず最初にすごくワクワクしました。というのも、以前から『ジョン・ウィック』シリーズの大ファンで尊敬していたんです。シリーズ独自のトーンやアクションのレベルの高さ、また細部へのこだわりが本当に素晴らしい。なので、自分にとってチャレンジになると思いました。病んだ喜びかもしれませんが、チャレンジすることが大好きなんです。チャレンジがあるからこそ、自分の創造性が突き動かされます。

それと、本作がどのような物語になるのかすごく興味がありました。実は、オファーを頂いたのはかなり初期段階で、決定していたことは『ジョン・ウィック』の世界に女性の主人公が入ることだけ。時系列をどこにクロスオーバーさせるかなど、これから検討を重ねる段階だったのです。

『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

――『ジョン・ウィック』の世界に新たな次元を拡張した本作ですが、その世界観を表現するために気をつけた点はありますか?

一番大切にしたのは『ジョン・ウィック』の世界観のトーンです。このトーンがしっかり掴めれば、とてもユニークで唯一無二の作品になると思いました。スタイリッシュで独自のトーンさえ確立したら、例えどんな新しい旅立ちや新しい世界に行っても大丈夫だと確信があったのです。

アナ・デ・アルマスが生み出す可憐でバイオレンスな魅力

――主人公イヴを演じたアナ・デ・アルマスは可愛らしくて華奢なイメージがありながら、バイオレンスで壮絶なアクションを繰り広げます。このギャップが非常に魅力的でした。

アナ・デ・アルマス、映画『バレリーナ:The World of John Wick』より
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

まさにそうなんです。アナはすごく脆くて可愛らしいイメージがありますが、そこが大事なポイントです。彼女の持つ可憐な儚さは、親しみやすく共感を生み出す。それが根底にあるからこそ、彼女がすごく暴力的になっても、共感という感情を通して観客の皆さんと繋がっていられるのです。

――先ほど監督は挑戦が好きだとおっしゃいましたが、彼女のイメージとアクションというコントラストにおいて、挑戦という意図はあったのでしょうか?

レン・ワイズマン監督最新作品、『バレリーナ:The World of John Wick』の主人公イヴを演じたアナ・デ・アルマス
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

挑戦にもなりますが、その方がより面白いと感じました。いかにも怖そうな人が壮絶なアクションをするより、可憐で儚いイメージの彼女が、容赦ないアクションをやる方が興味深いですよね。また、そのコントラストも新鮮で印象的になります。誉め言葉として言いますが、彼女はアニメからそのまま出てきたような可愛らしさがありますよね。

「キアヌ・リーブスの頭の中では、“ジョン”と“ウィック”は別の人として捉えている」

――キアヌ・リーブスは、ジョン・ウィック役で出演し製作総指揮としても参加しています。キアヌとはどのようなヴィジョンを話し合いましたか?

レン・ワイズマン監督とは作品の方向性についてじっくり話し合ったというジョン・ウィック役のキアヌ・リーヴス
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

キアヌとはまず、本作の時系列をどこにするかについて話し合いました。初期の脚本はもっと王道のスピンオフ作品でした。それを元に、『ジョン・ウィック:パラベラム』とクロスオーバーする時系列に決めていったのです。そこから、『パラベラム』のシーンをそのまま使うのではなく、イヴの視点から見直す形で作り上げていきました。

『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

キアヌと話し合いを重ねるうちに、キアヌの頭の中で“ジョン”と“ウィック”を別の人として捉えていているのが分かって非常に興味深かったですね。その違いが、イヴとジョン・ウィックとの関係性において、“ジョン”と“ウィック”の中での使命や対立、そして葛藤として出てくるのです。

イヴの復讐の物語でもあり、自己を探求する旅でもある

――ジョンは裏社会から足を洗おうとしますが、イヴはその世界に入りたがるという対照的な立場ですよね。監督は、「イヴは殺し屋として生きたがっている。どうしてそんな生き方を選ぶのか興味があった」とおっしゃいました。イヴの感情面で工夫した点はありますか?

『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

イヴに父を亡くした悲しみや喪失感がありますが、自分の探求の旅に出ていくのです。もちろん復讐が元になっていますが、自分を探求する道に入っていくことで自己発見をしていきます。父が本当はどういう人物だったのかが次第に明らかになる中で、これまで信じていた自分の人生が嘘であったことを知っていく。僕にとって、復讐の物語であると同時に、感情面では自己発見、そして自分の中にある人生のミステリーを探していくイヴの旅でもあるのです。

――ノーマン・リーダスと監督は『HAWAII FIVE-0』(2010年)以来ですが、15年ぶりに一緒に仕事をしていかがでしたか?

レン・ワイズマン監督とは15年ぶりの作品となった俳優、ノーマン・リーダス
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

すごく楽しかったです。『HAWAII FIVE-0』で意気投合して以来ずっと友達なんですよ。「また一緒に仕事したいね」と以前から話していたのですが、ノーマンが忙しくて叶いませんでした。でも本作の脚本を読んだとき、彼にぴったりだ!と感じて「全て調整するからスケジュールを2日間だけ空けてほしい」とお願いしました。セットを事前に準備したりスケジュールを全て組み直して、無事に撮り終えることができました。

ノーマンはいつもリラックスしていて、演じることを楽しみながら役になりきります。スケジュールの調整は大変でしたが、彼の出演が実現できて最高な2日間でした。また一緒に映画を作りたいです。

レン・ワイズマン監督が作り上げたアクションシーンのアプローチ方法とは

――監督がご自宅でミニチュアの車を使って、『バレリーナ:The World of John Wick』のカーアクションを再現している映像を拝見しました。アクションシーンのアイデアを固めるときは、いつも試作しているのでしょうか?


――監督がご自宅でミニチュアの車を使って、『バレリーナ:The World of John Wick』のカーアクションを再現している映像を拝見しました。アクションシーンのアイデアを固めるときは、いつも試作しているのでしょうか?

『ダイ・ハード4.0』(2007年)の頃から、オモチャのようなものを使って自宅で再現して撮影しています。ガレージと呼んでいるのですが、 もうスタジオですね。映像にあったミニチュアの車も自分で作ったんですよ。7年ほど小道具をしていたので何でも自分で作れるんです。絵コンテやシミュ―レーション映像を作るより、ミニチュアの車やアクションフィギュアを使った方が様々な調整ができます。

実は、トム・クルーズと1年半かけて企画していた作品がありました。当時、トムが打ち合わせで家によく来ていたんです。そのときに、たまたまガレージ(部屋)を見つけて、「なんだよあの部屋、随分とオモチャがいっぱいあるじゃないか」って(笑)。僕が「実はあの部屋で映画のアクションシーンを自分で考えているんだ」と言ったら、トムは大喜びでガレージに入っていきましたよ。それから、アクションフィギュアを使って、あのアクションシーンはああしようこうしようって、大人2人で撮影してよく遊びましたね。

このように、実際に映像化するのが僕のアプローチ方法です。フィギュアを動かして撮影した方が、絵コンテでは分からない見え方や動きが確認できますからね。

レン・ワイズマン監督『バレリーナ:The World of John Wick』撮影風景
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

(ここでワイズマン監督が、ガレージで撮影した貴重なアクションシーンの写真を見せて下さいました。)

これがガレージで、ミニチュアの車とフィギュアがあって、どの写真も本物の映画のシーンみたいですよね。徹底的にこだわりたくなって照明まで自分でやってます。(今にも動き出しそうなほどリアルで、精巧を極めた再現シーンに思わず息を飲みました!)

僕は元々、絵コンテのアーティストとしてキャリアをスタートしましたが今はもう作りません。ミニチュアフィギュアを作って撮影すれば、スタッフやキャストと同じイメージが共有できます。こんな見え方でこんな動きができるんだって一目瞭然で分かる。何よりこの一連の作業が大好きなんです。自分にとってセラピーのようで、再現して撮影するのがすごく楽しい!

――貴重なお写真をありがとうございます。監督が15歳の頃に友人とアクションシーンの撮影していた映像も拝見しましたが、アクション映画への情熱がものすごく伝わってきます。

ずっと遊びじゃないんですよ(笑)。本気で作っています。友人とスキーに行ったときに、僕のカバンの中にあったカメラの三脚を見つけた瞬間、「おい、またかよ」って(笑)。

――アクション映画は監督にとって人生ですね!

「いつから映画を撮り始めましたか?」とよく質問されますが、10歳頃かな。憶えてる限りずっとアクションシーンを撮影しています。昔と何が違うかというと、今はたくさんの方が僕の作品に注目するようになってきただけのことです。10歳の頃から僕はずっと本気で撮影していますから。

【作品情報】

『バレリーナ:The World of John Wick』
『バレリーナ:The World of John Wick』 8月22日(金)全国公開 配給:キノフィルムズ ®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『バレリーナ:The World of John Wick』

監督:レン・ワイズマン(『ダイ・ハード4.0』)
製作:チャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』シリーズ)
出演:アナ・デ・アルマス、アンジェリカ・ヒューストン、ガブリエル・バーン、ノーマン・リーダス、イアン・マクシェーン、キアヌ・リーブスほか
配給:キノフィルムズ

2025/アメリカ/英語/シネスコ/5.1ch/映倫:R15+/原題:BALLERINA/R15
®, TM & © 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

8月22日(金)全国ロードショー

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