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『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督にインタビュー!「これまでにないコメディを撮りたい」ボスの座を譲り合う異色の設定、その誕生秘話を語る

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『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督にインタビュー
『BOSS/ボス』 ラ・ヒチャン監督 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.
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韓国で244万人を動員する大ヒットを記録したアクションコメディ『BOSS/ボス』が、10月23日(金)より劇場公開される。

ボスになりたくない!?ギャング映画でおなじみの展開を逆転させ、前代未聞の“後継者押し付け合い”を描いた本作に、韓国映画界を代表する実力派俳優のチョ・ウジン、チョン・ギョンホ、パク・ジファンらが集結。料理人やタンゴダンサーを夢見る男たちが、笑いと波乱に満ちた騒動を巻き起こす。

今回、ハリウッド・リポーター・ジャパンはラ・ヒチャン監督にインタビューを実施した。

ギャングのカリスマボスを支え、組織のために抗争を生き抜いてきた3人の男たち。ボスが不慮の死を迎え、後継者候補となった3人だが、本命のスンテは得意の料理で全国制覇を目指し、やる気ゼロ。対抗馬のガンピョは社交ダンスに天啓を受けてタンゴダンサーを目指し、興味ゼロ。唯一、やる気満々のパノは人望ゼロだった!次期ボスの座を巡る混迷が極まる中、組織に潜入したものの身元バレバレのダメ警官も巻き込んで、いま、前代未聞の後継者譲り合い合戦が始まる!

本インタビューでは、「ボスの座はゼッタイに譲る!」という逆転の発想が生まれた背景、チョ・ウジンほか実力派キャストたちとの撮影秘話、スタントにほぼ頼らないアクション、主人公たちの葛藤と人生の選択について話を聞いた。

ボスになりたくない!?異色のアクションコメディ─韓国で244万人動員の大ヒット

――主人公たちが、ギャング組織のボスの座を譲り合うユニークな設定はどのように生まれたのでしょうか。

ラ・ヒチャン監督:実は、企画が始まったのはかなり前の2019年頃でした。当時、制作会社の代表と「これまでにない斬新なコメディを撮りたい」と話していたんです。

私は以前から矛盾を抱えジレンマに陥る人物に興味があり、そうした人間の内面を描いてきました。本作ではその視点を生かしながら、逆転の発想を取り入れたいと考えたのです。

そこで着目したのがギャング映画です。最近はあまり作られなくなったジャンルを題材にし、ギャング映画の定番を逆転させたら新しい面白さが生まれるのではないかと思いました。

『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督インタビュー
『BOSS/ボス』 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.

――韓国では244万人を動員し、2025年の年間興行収入ランキングで5位を記録しましたが、この反響をどのように受け止めていますか。

ラ・ヒチャン監督:映画を一本制作するためには、多くの資金と時間と努力が必要です。作品が成功するかどうかは、制作陣の誰もが気にかけることだと思います。ただ私は映画を撮るときに、興行収入といった数字を意識したことはありません。

コロナ禍以降、韓国映画界は厳しい状況が続き、映画館に観客が戻るまで予想以上に時間がかかりました。そうした事情もあり、本作の公開時にはここまでの反響は想像していませんでした。多くの方に作品を届けられて本当に幸運だったと感じています。

実力派キャストが集結!前代未聞の後継者争いが生み出す、笑いと人間ドラマ

――キャスティングに関して、監督が出演を希望していた俳優陣が引き受けてくださったそうですね。スンテ役のチョ・ウジンさん、ガンピョ役のチョン・ギョンホさん、パノ役のパク・ジファンさんの3人それぞれに期待した役割についてお聞かせください。

ラ・ヒチャン監督:チョ・ウジンさん、チョン・ギョンホさん、パク・ジファンさんは韓国映画界を支える実力派俳優です。出演は難しいと思っていたので、驚くと同時に、感謝の気持ちでいっぱいでした。

彼らと目指したのは、ギャング組織の仲間でありながら、それぞれ異なる特徴と魅力を持つキャラクターを描くことです。個性豊かなキャラクター同士の掛け合いがコメディの面白さにつながります。チョ・ウジンさんたちとは何度も意見を交換し、人物像を丁寧に作り込んでいきました。

料理人になる夢を持つスンテ、タンゴ命のガンピョ、そしてボスになりたいけど人望がないパノなど、設定にリアリティを持たせることも大切にしました。

『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督インタビュー
『BOSS/ボス』 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.

――スンテとガンピョはボスになりたくない、パノはボスになりたいけど人望がないという3人の関係性も物語にユーモアを生んでいますよね。こうした設定の違いにはどのような意図があったのでしょうか。

ラ・ヒチャン監督:犯罪ノワール映画やギャング映画は、1980年代から90年代にかけて数多く制作されてきました。そうした従来のギャング映画とは真逆に、ボスになりたくないという設定だからこそ、登場人物の個性や夢を掘り下げる必要がありました。

冒頭のシーンでは、3人とも組織のボスになることを夢見ていた時代が登場します。そこから彼らがどう変わってきたのかを描くため、試行錯誤を重ねながら個性や奥行きを加えていきました。かつての夢とは異なる道を歩む3人の個性が、物語を動かす原動力になっていきます。

――スンテとガンピョが夢を抱いている姿が印象的でしたが、夢を持たせることでどのような思いを描きたかったのでしょうか。

ラ・ヒチャン監督:ギャングの世界を舞台にした作品ですが、今を生きる人が共感できる物語です。どんな仕事をしていても、新たな夢が生まれ、人生の選択を迫られ、困難に直面する時期があるものです。

劇中のギャング組織にも輝かしい時代があり、仲間同士の絆も強かった。しかし今では義理だけが残り、組織にいる意味も薄れています。そんな中で彼らはボスの座よりも自分自身の夢を選ぼうとしている。

その姿は、理想と現実の間で揺れ動く現代の人々にも通じるものがあるはずです。人生の岐路で直面する葛藤や選択の難しさを、主人公たちに重ね合わせ共感していただけたらと思っています。

スタントにほぼ頼らず挑んだアクション!ジャッキー・チェンに影響を受けた舞台裏

――チョ・ウジンさんはアクションシーンでジャッキー・チェンを意識したと過去のインタビューで語っていましたが、監督ご自身はアクションの演出で意識したことはありますか。

ラ・ヒチャン監督:アクションシーンにもコミカルな雰囲気や遊び心を取り入れ、それぞれのキャラクターの個性を際立たせようと初期段階から考えていました。

チョ・ウジンさんもそうですが、私たちは子どもの頃からジャッキー・チェンの映画に親しんでいます。本作でもアクションにユーモアを取り入れていますが、そのバランスには特に気を配りました。主人公たちは命がけで戦っているので、その真剣さを損ないたくなかったのです。

また、ジャッキーの映画で影響を受けたことは、本人がアクションに挑むことで生まれる緊張感です。本作でもその緊張感を大切にして、スタントはほぼ使わず俳優たちがアクションを演じています。けがも少なくありませんでしたが、彼らのおかげで迫力あるシーンが生まれたと思います。

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――アクションでは俳優陣も積極的にアドリブを取り入れて撮影に挑んだそうですね。俳優たちのアイデアから生まれた印象的なシーンはありますか。

ラ・ヒチャン監督:チョ・ウジンさんはジャッキー・チェンの映画が大好きで、彼の作品のようにリアリティとユーモアを兼ね備えたアクションをどう表現するか、試行錯誤を重ねていきました。

その中でジャッキーが自らスタントに挑んでいた話になり、チョ・ウジンさんに「ご自身で演じてみませんか」と提案したところ快く引き受けてくれたんです。

ジャッキーの魅力はスタントダブルに頼らず自らアクションに挑む姿にあります。その迫力と緊張感がスクリーンを通して観客にも伝わる。本作でもそのリアリティを大切にしました。

『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督インタビュー
『BOSS/ボス』 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.

特にクライマックスでは、俳優たちが怪我を恐れず演じてくれたことで、臨場感ある映像が撮影できました。パク・ジファンさんが火を放つシーンは実際に演じています。また、海に飛び込むシーンはもともと脚本にはなく、彼自身のアイデアから生まれた即興の演技でした。

――ガンピョはタンゴダンサーを夢見ていますが、当初はタンゴではなくピアノの設定だったそうですね。タンゴに変更したことで、キャラクターにどのような魅力が加わったと感じていますか。

ラ・ヒチャン監督: 当初の脚本ではピアノを弾く設定でした。本作の企画はコロナ禍以前から進んでいましたが、さまざまな事情で撮影が延期になってしまったんです。その間、何年も同じ脚本に向き合っていたので、当初の新鮮な感覚が薄れてしまった。

そんなとき、偶然タンゴのレッスンを受ける機会がありました。その後すぐにチョン・ギョンホさんと打ち合わせしたのですが、自由でユーモアあふれる方で、ピアノよりもロマンチックなタンゴの方がぴったりだと感じたんです。

『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督インタビュー
『BOSS/ボス』 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.

劇中では、タンゴの動きを生かしたアクションシーンも登場します。チョン・ギョンホさんとタンゴを組み合わせたことで、ガンピョというキャラクターの魅力をより引き出せたと思います。

――潜入警官テギュは、物語が進むにつれて存在感を増し、コミカルな掛け合いで盛り上げていきます。監督はテギュにどのような役割を担わせようと考えたのでしょうか。

ラ・ヒチャン監督:私自身もそうした意図を持ってテギュの人物像を描きました。個人的にもとても愛着のあるキャラクターです。実は最初にキャスティングが決まったのは、テギュ役のイ・ギュヒョンさんでした。

テギュは潜入捜査という秘密のミッションを抱えた人物ですが、私もイ・ギュヒョンさんとは2人だけでこっそり話をすることがよくありました。そのたびに「テギュが一番面白い役なんだよ」と伝えていたんです。

テギュは潜入警官という重要な役どころですが、どこか抜けている愛すべき人物です。イ・ギュヒョンさんには、『インファナル・アフェア』や『新しき世界』を意識しながら、真剣に演じてほしいと伝えました。笑いを狙うのではなく、本人は至って真面目なのにどこか抜けている。そんな人物を描きたかったんです。

「夢を追うか、義理を貫くか」─ギャングたちの人生の選択

――本作では出世や地位を追い求めるのではなく、自分が本当に望む人生を追う主人公たちが描かれています。彼らの生き方を通して、本作にどのような思いを込めたのでしょうか。

ラ・ヒチャン監督:私はこれまで、映画を通して大きなメッセージを主張してきませんでした。ですが日々の生活には、つらいことや困難に直面することがあります。映画を観ている間だけでも、そうした現実を忘れて楽しんでほしいと思っています。映画には、現実を離れて別の世界に浸れる魅力がありますから。

本作には選択というテーマがあります。主人公のスンテは料理人ですが、組織に入ったのは家業である中華料理店を安定させるためでした。そして彼は今、自分の人生を取り戻すために再び選択を迫られているわけです。

『BOSS/ボス』ラ・ヒチャン監督インタビュー
『BOSS/ボス』 Ⓒ 2025 HIVE MEDIA CORP & MINDMARK, Inc ALL RIGHTS RESERVED.

韓国では中華料理店に行くと、ジャージャー麺にするかチャンポンにするか迷う人が多いんですよ(笑)。それと同じように、スンテたちも自分の夢と過去に築いてきた義理との間で、どちらを選択すべきか葛藤しています。

つまり、「自分の夢のために何を選ぶのか」という物語でもあるのです。人生には、何かを選ばなければならない瞬間が必ず訪れます。それは若い人も年齢を重ねた人も変わりません。そうした現代を生きる誰もが抱える葛藤や選択の難しさを、この物語に込めたいと思いました。

【作品情報】

『BOSS/ボス』

出演:チョ・ウジン、チョン・ギョンホ、パク・ジファン、イ・ギュヒョン、イ・ソンミン 
監督:ラ・ヒチャン
提供:KDDI 配給:日活/KDDI 
公式HP:boss-movie.jp
原題:BOSS/2025年/韓国/98分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:本田恵子

10月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。

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