池松壮亮、原作との出合いから4年かけ公開の『本心』を「残り続け、育っていくことを願う」

舞台挨拶に登壇した(左から)石井裕也監督、水上恒司、三吉彩花、池松壮亮、田中裕子、妻夫木聡=9日撮影
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平野啓一郎氏の小説を石井裕也監督、池松壮亮主演で映画化した『本心』の公開記念舞台挨拶が9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。

石井監督と池松をはじめ共演の三吉彩花、水上恒司、妻夫木聡、田中裕子が登壇。池松が原作小説と出合い、石井監督に映画化を提案。自由死を望んだ母親をAI技術によってよみがえらせ、その“本心”を知ろうとした青年の苦悩を描くミステリーで、完成、公開まで4年の歳月を要した。

池松壮亮=9日撮影

池松は、「もう少し先の未来のことだと思って取り組んできたが、映画と時代が追いかけっこをしてAIが生活に寄ってきている中で、同時代のお客さんと共有できるのはとてもうれしく思う」と万感の面持ち。さらに、「この映画が残り続けて、育っていくことを願っています」と訴えた。

石井監督も「今公開するのがベストタイミングかは分からないが、個人的にはドンピシャだと思い込んでいる」と自信ありげ。続けて、「AIはより発展して便利になるだろうが、一番の問題は人の心。それを先んじて描けた意義を物凄く感じる」と強調した。

石井裕也監督=9日撮影

2人と妻夫木は、2014年『ぼくたちの家族』でタッグを組んでから10年の節目。池松は、「自分にとってはずっと偉大で、監督として飽くなき探求心と高いビジョン、深い洞察力をもって類を見ない映画を作り続けている」と尊敬の念。「この映画も実現すべく力を注いでくださり、新たな1本を生み出せたことを誇りに思う」と感謝した。

田中裕子=9日撮影

妻夫木は2人に対し、「仕事仲間というよりは親族に近い。2人とも映画への情熱は誰よりも強く、経験、知識が増えて深みがましてより強大になっている」と絶賛。石井監督も、「僕にとっても特別な2人。1人でも過ちを犯さない限り、人生を並走していく大切な人たち」と称えた。

池松の母親を演じた田中は、バーチャルフィギュアとなって息子と再会するシーンについて「ロウソクの火の暗闇の中から出たことが印象的でした」と冗談交じりに回想。池松は、「最愛の人に会えた純粋な喜びと、目の前にいるのは本当の母なのかという複雑さで心が震えた感覚が今も残っています」と最敬礼だった。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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