松重豊監督・主演・脚本の『劇映画 孤独のグルメ』は妥協せず「食べごろになっています」
俳優の松重豊が主演の映画『劇映画 孤独のグルメ』の完成披露試写会が16日、東京・内幸町のイイノホールで行われた。
2012年にテレビ東京の深夜ドラマとしてスタートし、これまでシーズン10まで制作されている長寿シリーズ。同局の開局60周年特別企画として初の映画化となり、松重が監督、脚本も兼ねた。
商社マンの井之頭五郎が、元恋人の娘の依頼でパリに赴き、究極のスープ探しの旅に出る物語。ドラマはタイトル通り、独りで黙々と料理を食べ心の声を響かせる構成だが、映画では内田有紀、磯村勇斗、杏、オダギリジョーら共演者の存在があり、「素敵な皆さんが共演してくださり、自分で書いたセリフなのに俳優さんが言うとこんなにも豊かになるんだと初めて気づいた。皆の顔が見えて、独りじゃないと改めて思いました」と感慨深げに話した。
井之頭の窮地を救う役どころの内田については、「シナリオの時からラブレターを書いているつもりだった。返事を待っている間は高校生のような気持ちになっていた」とぞっこんの様子。父娘役で共演したことのある杏には、パリで撮影候補の店をリストアップしてもらうなどの協力を得て、「持つべきものは娘ですね」と感謝した。
対する内田は、「監督としても穏やかで優しく、いつも笑顔で素敵でした。安心して身を委ね、心が通い合うのも速かった」と呼応。杏も、「エッフェル塔の前に立つ井之頭さんの画(え)だけで感無量でした」と笑顔で振り返った。
構想から2年半を経て完成し、釜山国際映画祭や東京国際映画祭でも上映され「釜山では5000人(の客席)が埋まって、笑いが渦巻き伝わったと感じた。ティーチインでも若い人がいっぱいで、深い質問をしてくださった」と松重。公開は来年1月10日。「スープ作りは妥協を許さない。それは努力の結晶で映画も同じ。おいしいスープを提供しようと身を粉にして頑張りました。この映画に全てを懸けています。ちょうどあったまって食べごろの味になっています」と力強く語った。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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