実写版『白雪姫』、批評家はどう見ている?「思ったよりもずっと楽しい」好意的な評価も

現在公開中のディズニーの実写映画版『白雪姫』。全米の批評家たちの評価は、賛否両論に分かれている。
1937年のディズニーの名作アニメ『白雪姫』を実写化した本作では、白雪姫(レイチェル・ゼグラー)が7人のこびとたちと協力し、邪悪な継母である女王(ガル・ガドット)から王国を解放しようとする物語が描かれている。
一方で本作は、ゼグラーがオリジナルアニメ版について「時代遅れ」と発言したことや、ドナルド・トランプ氏の再選への批判(のちに謝罪している)したことなどによって、さまざまな論争にさらされてきた。
以下、米メディアの批評家レビューの抜粋
『ハリウッド・リポーター』デヴィッド・ルーニー氏:
「マーク・ウェブ監督による生き生きとした実写版では、背景にある騒動がすべて無意味に感じられる。賢明な脚本は、『白馬の王子様を夢見るお姫様』の物語を、『高貴な父の跡を継ぐ勇気を見つけるリーダー』の話へと生まれ変わらせた」
『IndieWire』のケイト・アーブルランド氏:
「完璧にまとまっているわけではないが、思ったよりもずっと楽しい。古典を元にしたスピリット溢れる愛らしい作品で、必要なアップデートと昔ながらの魅力のバランスを評価すべきだろう。結局大事なのは作品そのもの。これは、良作と言っていい」
『The Guardian』のピーター・ブラッドショー氏:
「無意味な実写ミュージカル版『白雪姫』だ。いわば『アンチ・ウィキッド』なアプローチで、グッズ販売向けの金儲けマシンのような作品。ゼグラーとガドットという優れた俳優たちも、まるで形式的な動作を繰り返させられているようで、彼女たちのキャリアで最も退屈な演技になってしまっている」
『The Wall Street Journal』のカイル・スミス氏:
「オリジナル版『白雪姫』も完璧ではなかったが、魅力的で、怖くて、感動的だった。しかし、今回の新作は2016年から制作されてきたのに、もう時代遅れのように感じる。観客の反発を恐れ、去年再撮影までして公開を延期したのに、結局は退屈な仕上がりだ」
『New York Post』のジョニー・オレクシンスキー氏:
「鏡よ鏡、この世で一番怠惰なのは誰? それはディズニーだろう。新作を作る意欲も創造力も失い、過去作を掘り起こすばかり。結果、白雪姫は『ハイホー…退屈』になってしまった」
『Empire』のヘレン・オハラ氏:
「ゼグラーやガドット、マーク・ウェブ監督に責任があるわけではない。軽快なセリフやコミカルな瞬間に少しでもインパクトを残そうと奮闘しているのは感じ取れるし、美しく仕上がっているシーンや場面も確かにある。しかし、作品全体としては妥協の産物で、あまりに小さくまとまりすぎている。ディズニーは結局、新しいものを生み出そうとせず、過去を再現しようとしただけだ。それこそが最大の愚行である」
『Collider』のロス・ボナイム氏:
「ディズニーの最初の長編アニメ作品をリメイクするという重圧を考えれば、この実写版がここまでうまくアップデートをやり遂げたのは驚きだ。完璧には程遠く、現代的な物語に仕上げようとするあまり、時折雑になることもある。しかし、そのひたむきさと真心が、そうした欠点をほぼ帳消しにしている。決して“最良の白雪姫”とは言えないかもしれないが、十分に立派な挑戦作だ」
『Los Angeles Times』のエイミー・ニコルソン氏:
「10年前、ディズニーが名作を実写リメイクし始めたとき、幹部たちは『これは簡単に稼げるし、ファンも喜ぶ』と考えていたに違いない。だが、この作品はあらゆる方向から非難を浴び続けてきた。これでは『ハッピーエンド』どころではない。
結局、現代版『白雪姫』はそれほど心を揺さぶるものではなかった。新曲は記憶に残らないし、アニメーションは過剰に詰め込まれたビジュアルでごちゃごちゃしている」
『Rolling Stone』のデヴィッド・フィア氏:
「誰もが納得するように、保守派にも現代派にも迎合しようと無理を重ね、誰も怒らせないように必死になった結果、誰も満足させられなかった。
この『白雪姫』は、過去のアニメ名作の実写化の中で最悪とまでは言えないが、間違いなく最も無難で退屈な一本だ。ただし、寝る前の『おやすみ映画』としては優秀だ。確実に眠れるだろうから」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌
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