キルスティン・ダンストが語る、A24新作『シビル・ウォー』―「戦場記者へのラブレターです」

キルスティン・ダンスト 写真: Monica Schipper/Getty Images
キルスティン・ダンスト 写真: Monica Schipper/Getty Images

アレックス・ガーランド監督×A24が放つ新作『シビル・ウォー/Civil War(原題)』の主演俳優キルスティン・ダンストが、米『ハリウッド・リポーター』のインタビューに登場。

高評価を得ている本作は、内戦が勃発した近未来のアメリカを描くアクションスリラー。反乱軍は、独裁的な大統領(ニック・オファーマン)を転覆させるあと一歩のところまで迫っている。

ダンストが本作で演じるのは、ベテランの戦場カメラマン、リー・スミス。リーは、武装勢力の議事堂襲撃を記録するため、新人のジェシー(ケイリー・スピーニー)ら3人の記者とともにニューヨークからワシントンD.C.へと旅する。

「(この映画は)多くの会話を生むことになる」と語るダンストに、“反戦映画”としての本作のメッセージや、撮影の裏話、そして夫との共演の経緯などについて話を伺った。


ー俳優の中には、恐怖を感じる役を受けるようにしていると語る人もいます。本作の役柄に対して、何か恐れはありましたか?

いえ、恐れはありませんでした。私が恐怖から行動することは決してありません。こういった役柄を演じると自由を感じられるし、それは心の浄化につながります。

恐怖をモチベーションにして仕事を受けると、俳優として閉じた存在になってしまうでしょう。

『シビル・ウォー』写真: A24
『シビル・ウォー』写真: A24

ーあなたが演じるリーは、被写体を捉えるためなら何でもするストイックな戦場カメラマンです。命がけで写真を撮らなければならない人の心理はどのように理解しましたか?

私が最も影響を受けたのは、ドキュメンタリー映画『メリー・コルヴィンの瞳』(2018)でした。この作品を観て、「これがジャーナリストの姿勢なんだ、リーもこうあるべきだ」と感じました。

自分自身のことは全く考えず、最も正しく、恐れることなく取材をする。「これが私たちの仕事だ」という姿勢ですね。

ー撮影中、“自分たちの未来を垣間見ているのではないか”と考えましたか?

いいえ、私は考えませんでした。民主主義は当たり前のものと思われがちで、それは危険ですよね。

戦争に影響されない人間などいないので、これは世界中で起きていることなんだと認識していました。映画はリアリティたっぷりに撮影されているものの、台本を読んだ時には、現実とは異なる部分があると感じました。

ダンスト、ケイリー・スピーニー、『シビル・ウォー』 写真: Courtesy of A24
ダンスト、ケイリー・スピーニー、『シビル・ウォー』 写真: Courtesy of A24

ー国内には内戦を望む人々がいるなか、この反戦映画を何らかの闘争を呼びかけている作品だと誤解する人がいるのではないかと心配になります。それについて、不安は感じませんか?

本作は、多くの会話を呼び起こすと思います。メディアが分極化を生み出し、それに拍車をかけていますが、この映画は「こんなことはするな」としっかり伝えています。

ですから、人々は互いに会話を交わしたくなるでしょう。私にとって本作は、互いを人間として扱うことについての物語なのです。作品には、多くの思いやりと希望も込められています。

ーあなたと新人記者ジェシー役のケイリー(・スピーニー)は、撮影中に実際にカメラを使っていたそうですね。2人で現像した写真を見比べあったりしましたか?

私は、デジタルカメラにライカのレンズを付けて自分でピントを合わせるようにしていました。映画的ではないので、オートフォーカスは使いたくなかったんです。

ケイリーとは撮った写真を見比べあったり、現像された写真も見たりしました。私たちは撮影中、実際に写真を撮影し、ケイリーはずっとカメラにフィルムを入れていました。

『シビル・ウォー』写真: Courtesy of A24
『シビル・ウォー』写真: Courtesy of A24

ーリーが観客としてこの映画を楽しめるとしたら、ラストの展開を誇りに思うでしょう。あなたはこの意見に賛成ですか、それとも反対ですか?

戦場ジャーナリストの方々と本作について話していないので、私たちが記者のグループとして演じたことに対する彼らの意見が気になります。

私はこの役が決まるとすぐに、「リーが使うカメラを渡して」という感じで、ずっとカメラを手放しませんでした。まるで、カメラが私の一部であるかのように見せたかったのです。

ある意味、『シビル・ウォー』は戦場ジャーナリストへのラブレターのようなものです。ですので、私たちが正しく演じたと感じてくれることを願っています。

アレックス・ガーランド監督は、戦場ジャーナリストの存在が身近な家庭に育ちました。彼の父親は新聞の風刺漫画家なので、この映画を執筆するきっかけになったのです。

『シビル・ウォー』写真: A24
『シビル・ウォー』写真: A24

ーあなたの夫、ジェシー・プレモンスが本作に出演することになった経緯を教えてください。

リハーサル中、その役を演じる予定だった俳優が降板したんです。アレックスが電話を切ると、私は「ジェシーがここにいるよ」と言いました。

そして話し合った結果、ジェシーが引き受けてくれました。本当にインパクトがあって難しい役柄なので、中々やりたがる人はいないでしょうから、私たちの助けになりました。

ダンスト、ロビン・ウィリアムズ、『ジュマンジ』より
ダンスト、ロビン・ウィリアムズ、『ジュマンジ』より

ー『ジュマンジ』(1995)のジュディ役についてお聞きします。ジュマンジの新作映画のプロデューサーから、少なくともカメオ出演についてオファーはありましたか?

いいえ!

ーなんて、もったいない!

(笑) 私の息子は、『ジュマンジ』 が好きだったんです。今は、もう観なくなってしまいました。


映画『シビル・ウォー(原題)』は、10月4日全国公開。

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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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