LGBTQ+映画のおすすめ25選:『ブロークバック・マウンテン』ほか、心に残る名作を一挙紹介

(左から時計回りに)『ブロークバック・マウンテン』('05)、『リリーのすべて』('15)、『燃ゆる女の肖像』('19)、『君の名前で僕を呼んで』('17)写真:Focus Features; Courtesy of Venice Film Festival; Telluride Film Festival; Courtesy of Sony Pictures Classics
(左から時計回りに)『ブロークバック・マウンテン』('05)、『リリーのすべて』('15)、『燃ゆる女の肖像』('19)、『君の名前で僕を呼んで』('17)写真:Focus Features; Courtesy of Venice Film Festival; Telluride Film Festival; Courtesy of Sony Pictures Classics
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LGBTQ+をテーマにした映画はますます注目を集め、近年は1年に数本以上公開されることもある。LGBTQ+関連の映画は同性同士のラブストーリーにとどまらず、アイデンティティの揺らぎと向き合う個人の内面を深く掘り下げたものまで、多様な生き方や人間ドラマが詰まっている。

毎年6月は、世界中のLGBTQ+コミュニティーを称え、権利の向上をめざすプライド月間
LGBTQ+に対する理解を深める助けになるであろう映画を紹介することで、プライド月間の認知度アップにつながることを願う。

本記事では、第78回アカデミー賞で3冠に輝いた映画史に残る名作『ブロークバック・マウンテン』(’05)から、『Love,サイモン 17歳の告白』(’18)や『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(’20)などのティーン向け青春ドラマまで、心に余韻を残すおすすめのLGBTQ+映画25本を厳選して紹介する。



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※本ページの情報は、2025年6月5日時点のものです。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください。

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以下、「LGBTQ+映画のおすすめ25選」(製作年順)

『ビビアンの旅立ち』(1985)

『ビビアンの旅立ち』(1985)写真:The Hollywood Reporter
『ビビアンの旅立ち』(1985)写真:The Hollywood Reporter

◆別れの旅が導いた出会い…LGBTQ+映画の傑作

ドナ・ディッチ監督による『ビビアンの旅立ち』は、1986年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞した80年代の名作。

離婚手続きの完了まで、ネバダ州リノのゲストハウスに滞在することになったビビアン(演:ヘレン・シェイヴァー)は、若きアーティストのケイ(演:パトリシア・シャーボノー)と次第に惹かれ合う。2人の未来を想像させる、さわやかなラストシーンは必見。

『モーリス』(1987)

『モーリス』(1987)写真:The Hollywood Reporter
『モーリス』(1987)写真:The Hollywood Reporter

◆抑圧の時代に咲いた愛…美しくも儚い2人の行く末

名匠ジェームズ・アイヴォリーが『眺めのいい部屋』(’86)に続き、E・M・フォースターによる同名小説を映像化した映画『モーリス』

同性愛が罪とされていた20世紀初頭のイギリスを舞台に、ケンブリッジ大学の学生時代に出会ったモーリス(演:ジェームズ・ウィルビー)とクライヴ(演:ヒュー・グラント)の関係の変遷を、数年にわたり描いている。社会的な地位と真実の愛との間で揺れる2人が選ぶ、本当の幸せとは―――。

『フィラデルフィア』(1993)

『フィラデルフィア』(1993)写真:TriStar Pictures/Photofest
『フィラデルフィア』(1993)写真:TriStar Pictures/Photofest

◆2人の名優が熱演、人間の尊厳を問う魂の1作

『羊たちの沈黙』(’91)のジョナサン・デミ監督による本作で、人間としての尊厳を守るために闘うゲイの男性を演じたトム・ハンクスは、アカデミー賞主演男優賞を初受賞。将来有望な弁護士ベケット(演:ハンクス)はエイズを発症し、ある日法律事務所から突如として解雇を告げられる。

身に覚えのない仕事上のミスを作り出され、意図的に仕組まれた不当解雇であると主張するベケットは、弁護士のミラー(演:デンゼル・ワシントン)とともに事務所に立ち向かう。

フィラデルフィア [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『プリシラ』(1994)

『プリシラ』(1994)写真:Gramercy Pictures/Courtesy Everett Collection
『プリシラ』(1994)写真:Gramercy Pictures/Courtesy Everett Collection

◆砂漠を駆ける3人の女王たち…傑作ロードムービー

オーストラリアの広大な自然を背景に繰り広げられる、ステファン・エリオット監督による3人のドラァグクィーンの笑いあり涙ありの珍道中。

ある女性から公演の依頼を受けたミッチ(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)は、トランスジェンダー女性のバーナデット(演:テレンス・スタンプ)と自由奔放なフェリシア(演:ガイ・ピアース)とともに、“プリシラ”と名付けたバスでシドニーからアリススプリングスへと向かう。しかし波乱に満ちた道中で、3人はさまざまなトラブルや偏見に直面することになる。

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『ブエノスアイレス』(1997)

『ブエノスアイレス』(1997)写真:Photofest
『ブエノスアイレス』(1997)写真:Photofest

◆異国の街で揺れる心…香港のトップスター共演作

香港の名匠ウォン・カーウァイ(本作でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞)がブエノスアイレスを舞台に描く、1組のゲイカップルの波乱に満ちた生活。

ウィン(演:レスリー・チャン)とファイ(演:トニー・レオン)は香港からアルゼンチンへの旅行中に、喧嘩別れする。香港に帰るために2人はそれぞれ現地でお金を稼いでいたが、ある日突然再会を果たす。やがて2人はファイの家で共同生活を始めるが、関係性は複雑さを増していく。

ブエノスアイレス 4Kレストア [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001)

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001)写真:Fine Line Features/Courtesy Everett Collection
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001)写真:Fine Line Features/Courtesy Everett Collection

◆怒りとロックが爆発!唯一無二のカルト的名作

ジョン・キャメロン・ミッチェルが自身が手がけた舞台ミュージカルを監督・脚本・主演で映画化した本作は、現在もなおカルト的人気を誇るLGBTQ+映画の名作。

東ドイツで生まれ育ったハンセルは性別適合手術を受け、アメリカへと渡る。現在は母の名前=ヘドウィグへと改名し、売れないロックバンドのボーカルとして各地を転々とする日々を送っている。一方、かつて恋に落ちた青年トミー(演:マイケル・ピット)は、ヘドウィグの楽曲を盗作しスターダムにのし上がっていた。やがてヘドウィグは、トミーへの怒りを爆発させていく。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ [DVD] 引用元:Amazon
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『ブロークバック・マウンテン』(2005)

『ブロークバック・マウンテン』(2005)写真:The Hollywood Reporter
『ブロークバック・マウンテン』(2005)写真:The Hollywood Reporter

◆20年にわたる秘めた愛…オスカー受賞の感動作

60年代のアメリカ、季節労働者としてやって来たブロークバック・マウンテンで出会ったイニス(演:ヒース・レジャー)とジャック(演:ジェイク・ギレンホール)は、次第に深い絆と愛情を育む。同性愛が受け入れられない時代の中で2人はそれぞれ家庭を持ちながらも、20年にわたり密かに関係を続けていくが―――。

第78回アカデミー賞ではアン・リーが監督賞を獲得したほか、脚色賞、作曲賞の計3冠に輝いた。

ブロークバック・マウンテン [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『キッズ・オールライト』(2010)

『キッズ・オールライト』(2010)写真:Suzanne Tenner/Focus Features/Courtesy Everett Collection
『キッズ・オールライト』(2010)写真:Suzanne Tenner/Focus Features/Courtesy Everett Collection

◆愛と不安が交差する家族のリアルな日常

名優アネット・ベニングジュリアン・ムーアが同性カップル役で共演した、リサ・チョロデンコ監督作。

ニック(演:ベニング)とジュールズ(演:ムーア)は20年来のパートナーで、人工授精で生まれた2人の子ども、ジョニ(演:ミア・ワシコウスカ)とレイザー(演:ジョシュ・ハッチャーソン)を育てている。姉弟は、親に内緒で生物学上の父親ポール(演:マーク・ラファロ)と会い始めるが、そのことを知ったニックはポールの影響に懸念を抱いていく。

『わたしはロランス』(2012)

2012年のカンヌ国際映画祭に出席したキャスト陣&グザヴィエ・ドラン監督(右から2番目) 写真:Michael Buckner/Getty Images
2012年のカンヌ国際映画祭に出席したキャスト陣&グザヴィエ・ドラン監督(右から2番目) 写真:Michael Buckner/Getty Images

◆すべてを告白した日、2人の人生が動き出す

カナダの俊英グザヴィエ・ドランの長編3作目『わたしはロランス』。1989年のモントリオール、教師ロランス(演:メルヴィル・プポー)は、恋人フレッド(演:スザンヌ・クレマン)と共に暮らしていた。35歳の誕生日を迎えたロランスは、ずっと一人で抱えてきた思い―――女性として生きていくこと―――をフレッドに打ち明ける。

突然の告白に戸惑いを隠せないフレッドや家族は、それぞれの方法でロランスと向き合っていくが―――。第65回カンヌ国際映画祭では、LGBTQ+をテーマにした映画に贈られるクィア・パルム賞を受賞した。

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『アデル、ブルーは熱い色』(2013)

『アデル、ブルーは熱い色』(2013)写真:The Hollywood Reporter
『アデル、ブルーは熱い色』(2013)写真:The Hollywood Reporter

◆青く燃えた初恋…1人の少女の恋と成長

第66回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールの栄誉を手にしたアブデラティフ・ケシシュ監督による、上映時間約3時間の壮大な恋愛ドラマ。

ブルーの髪の謎めいた女性エマ(演:レア・セドゥ)に一目惚れした15歳の学生アデル(演:アデル・エグザルコプロス)の情熱的な恋と成長を、約10年にわたって鮮烈に描く。

『彼の見つめる先に』(2014)

『彼の見つめる先に』(2014)写真:The Hollywood Reporter
『彼の見つめる先に』(2014)写真:The Hollywood Reporter

◆ブラジル発!心温まるピュアな青春ドラマ

ダニエル・ヒベイロ監督による本作は、ブラジル・サンパウロを舞台に盲目の少年の恋と自立を描いたフレッシュな青春ドラマ。生まれつき目の見えない高校生レオ(演:ジュレルメ・ロボ)は、過保護な家族と親友のジョヴァンナ(演:テス・アモリン)に見守られながら毎日を過ごしている。

やがてレオは、学校に転校してきたガブリエル(演:ファビオ・アウディ)と仲良くなる。一方、レオにひそかに思いを寄せるジョヴァンナは、彼とガブリエルの関係に複雑な思いを抱いていく。

彼の見つめる先に [DVD] 引用元:Amazon
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『タンジェリン』(2015)

『タンジェリン』(2015)写真:Courtesy of Sundance International Film Festival
『タンジェリン』(2015)写真:Courtesy of Sundance International Film Festival

◆スマホが切り取る、ロサンゼルスのリアルな1日

2025年、『ANORA アノーラ』(’24)でアカデミー賞5冠に輝いたショーン・ベイカー監督が、全編iPhoneで撮影した作品。クリスマスイブのLAを舞台に、セックスワーカーとして働く2人のトランスジェンダー女性と、アルメニア人移民のタクシー運転手の怒涛の1日をコミカルなドキュメンタリータッチで追いかける。

刑務所から出所したばかりのシンディ(演:キタナ・キキ・ロドリゲス)は彼氏に浮気され、親友アレクサンドラ(演:マイヤ・テイラー)に止められながらも、浮気相手の女性を探すため街に繰り出すが―――。

タンジェリン [DVD] 引用元:Amazon
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『リリーのすべて』(2015)

『リリーのすべて』(2015)写真:Courtesy of Focus Features
『リリーのすべて』(2015)写真:Courtesy of Focus Features

◆実在の人物を題材にした、愛と自己発見の感動作

世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人画家、リリー・エルベの実話に着想を得た物語。風景画家のアイナー(演:エディ・レッドメイン)は、肖像画家で妻のゲルダ(演:アリシア・ヴィキャンデル)と順風満帆と思われる人生を送っていた。ある日妻の絵のモデルとして女装することになったアイナーは、ずっと内に抱えてきた“本当の自分”=リリーという1人の女性として、新たな人生を歩み始める。

第88回アカデミー賞では主演男優賞を含む4部門にノミネートされ、葛藤を抱えながらも主人公を支え続ける妻を好演したアリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞に輝いた。

リリーのすべて [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(2017)

『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(2017)写真:Courtesy of TIFF
『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(2017)写真:Courtesy of TIFF

◆正統派ユダヤ社会で交錯する、過去と愛の行方

トランスジェンダーの女性を描いたドラマ映画『ナチュラルウーマン』(’17)で、第90回アカデミー賞外国語映画賞(現:国際長編映画賞)を受賞したチリ出身のセバスティアン・レリオ監督作。

アメリカに暮らすロニート(演:レイチェル・ワイズ)は、父の死をきっかけに人々が厳格なルールのもとで暮らすロンドンの正統派ユダヤ・コミュニティーに帰省する。やがてロニートは、父の後継者として有力視されるドヴィッド(演:アレッサンドロ・ニヴォラ)の妻で、旧友のエスティ(演:レイチェル・マクアダムス)との秘密の関係を再燃させていく。

『君の名前で僕を呼んで』(2017)

『君の名前で僕を呼んで』(2017)写真:Courtesy of Sony Pictures Classics
『君の名前で僕を呼んで』(2017)写真:Courtesy of Sony Pictures Classics

◆ひと夏の恋が永遠に…青年たちの静かな情熱

ルカ・グァダニーノ監督と主演ティモシー・シャラメの名前を、一躍メインストリームに押し上げたLGBTQ+映画の新たな名作。

80年代のイタリアを舞台に、大学教授の17歳の息子エリオ(演:シャラメ)と、インターンとしてエリオの家族とともに滞在することになったアメリカ人青年オリヴァー(演:アーミー・ハマー)のひと夏の淡い恋を、圧倒的な映像美で描き切っている。脚色は『モーリス』(’87)のジェームズ・アイヴォリーが手がけ、オスカーを受賞した。

君の名前で僕を呼んで [DVD] 引用元:Amazon
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『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)

『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)写真:The Hollywood Reporter
『ゴッズ・オウン・カントリー』(2017)写真:The Hollywood Reporter

◆孤独な青年が出会った、運命の愛

フランシス・リー監督が、クィアの男性としてヨークシャー地方の田舎で育った経験を基にした長編デビュー作。

ヨークシャー地方の牧場で働くジョニー(演:ジョシュ・オコナー)は心を閉ざし、孤独や悲しみを酒で紛らわせる日々を送っている。しかし、短期労働者でルーマニア人移民のゲオルゲ(演:アレック・セカレアヌ)と出会い、次第に親密になっていく。第71回英国アカデミー賞では、英国作品賞と新人俳優賞(ジョシュ・オコナー)にノミネートされた。

ゴッズ・オウン・カントリー 豪華版 [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『Girl/ガール』(2018)

『Girl/ガール』(2018)写真:Courtesy of Cannes Film Festival
『Girl/ガール』(2018)写真:Courtesy of Cannes Film Festival

◆ベルギーの新鋭が描く、痛みを越えた先の未来

バレリーナをめざす15歳のトランスジェンダーの少女ララ(演:ヴィクトール・ポルスター)の性別移行を丁寧に、時に生々しく描いた『Girl/ガール』。名門ダンス学校に通うために父親と弟とともに新たな町へと引っ越してきたララは、心と体を一致させる性別適合手術を心待ちにしていた。その一方で父親は、手術のリスクに不安を抱えており―――。

本作で長編デビューを飾ったベルギーの新進気鋭監督ルーカス・ドンは、第71回カンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞した。

Girl/ガール (Blu-ray+DVDセット) 引用元:Amazon
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『Love,サイモン 17歳の告白』(2018)

『Love,サイモン 17歳の告白』(2018)写真:The Hollywood Reporter
『Love,サイモン 17歳の告白』(2018)写真:The Hollywood Reporter

◆「カミングアウト」の意味を問う青春譚

グレッグ・バーランティ監督の本作は、大手スタジオが配給した初のティーン向けゲイロマンス作品。

16歳の高校生サイモン(演:ニック・ロビンソン)は、親しい友人や家族にゲイであることを打ち明けられずにいた。ある日、同じ秘密を抱える匿名の同級生とネットでつながり、密かに交流を続けていくサイモン。“ブルー”と名乗る相手と仲を深めたサイモンは、学校でその正体を探し始める。

Love, サイモン 17歳の告白 [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『燃ゆる女の肖像』(2019)

『燃ゆる女の肖像』(2019)写真:Telluride Film Festival
『燃ゆる女の肖像』(2019)写真:Telluride Film Festival

◆カンヌW受賞、肖像画に隠された秘密の恋

『水の中のつぼみ』(’07)や『トムボーイ』(’11)など、キャリアを通じてLGBTQ+をテーマにした作品を手がけているフランスのセリーヌ・シアマ監督による、第72回カンヌ国際映画祭脚本賞&クィア・パルム賞受賞作。

18世紀のフランスに生きる画家マリアンヌ(演:ノエミ・メルラン)は、望まない結婚を控える伯爵令嬢エロイーズ(演:アデル・エネル)の肖像画を描くために、ブルターニュの孤島へと向かう。エロイーズの結婚が迫るなか、2人は徐々に親密になっていくが―――。

燃ゆる女の肖像 [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『ダンサー そして私たちは踊った』(2019)

『ダンサー そして私たちは踊った』(2019)写真:Courtesy of Cannes Film Festival
『ダンサー そして私たちは踊った』(2019)写真:Courtesy of Cannes Film Festival

◆ジョージア発、命がけの愛に揺れるダンサー

性的マイノリティへの偏見が長く続いているジョージアを舞台に、「男らしさ」が求められる国立舞踊団の若きダンサーの恋と苦悩を描いたレヴァン・アキン監督作。

国立舞踊団に所属するメラブ(演:レヴァン・ゲルバヒアニ)は、レストランの仕事を掛け持ちしながら、幼なじみでダンスパートナーのマリ(演:アナ・ジャヴァヒシュヴィリ)と厳しい練習に励む日々。ある日突然、舞踊団に才能あるダンサー・イラクリ(演:バチ・ヴァリシュヴィリ)が現れ、メラブとひっそり距離を縮めていくが―――。

ダンサー そして私たちは踊った [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『ユンヒへ』(2019)

『ユンヒへ』(2019)写真:Courtesy of Busan International Film Festival
『ユンヒへ』(2019)写真:Courtesy of Busan International Film Festival

◆真冬の小樽で蘇る、初恋の記憶

韓国の気鋭監督イム・デヒョンが韓国と小樽を舞台に描く、心に染みわたるラブストーリー。

韓国に暮らす高校生のセボム(演:キム・ソへ)は、母ユンヒ(演:キム・ヒエ)に届いた一通の手紙をきっかけに、母が秘密にしていた過去の初恋を知る。20年前の過去と向き合うため、母娘は手紙の差出人ジュン(演:中村優子)が暮らす真冬の北海道・小樽を訪れる。本作は2020年、“韓国版アカデミー賞”とされる青龍映画賞で最優秀監督賞と脚本賞を獲得した。

ユンヒへ [Blu-ray] 引用元:Amazon
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『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(2020)

『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(2020)写真:Netflix
『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』(2020)写真:Netflix

◆代筆したラブレターに込めた、本当の想い

Netflix映画『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』は、『素顔の私を見つめて…』(’04)のアリス・ウー監督が約15年ぶりにメガホンをとった作品。

『素顔の私を見つめて…』と同じく、本作もクィアのアジア系女性を主人公に据えている。高校の優等生エリー(演:リア・ルイス)は、同級生のポール(演:ダニエル・ディーマー)から彼が恋するアスター(演:アレクシス・レミール)へのラブレターの代筆を頼まれる。しかし、実はエリーもアスターに対し、密かに思いを寄せていて―――。

『恋人はアンバー』(2020)

『恋人はアンバー』(2020)写真:Courtesy of Samuel Goldwyn Films
『恋人はアンバー』(2020)写真:Courtesy of Samuel Goldwyn Films

◆嘘から始まる、未来への第一歩

90年代のアイルランドを舞台に、同性愛者の高校生男女2人の姿を鮮やかに映し出したデヴィッド・フレイン監督作。

セクシュアリティに対する偏見が根強く残る田舎町で、同性愛者であることを隠しながら生活しているエディ(演:フィン・オシェイ)とアンバー(演:ローラ・ペティクルー)。2人は少しでも生きやすい道を歩むため、カップルのふりをし始めるが―――。

恋人はアンバー [DVD] 引用元:Amazon
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『ジョイランド わたしの願い』(2022)

『ジョイランド わたしの願い』(2022)写真:Courtesy of TIFF
『ジョイランド わたしの願い』(2022)写真:Courtesy of TIFF

◆伝統に挑む、パキスタンの衝撃作

サーイム・サーディク監督による本作は、家父長制が根強く残るパキスタン・ラホールを舞台に、1組の若き夫婦とトランスジェンダー女性の葛藤を巧みに描き、第75回カンヌ国際映画祭で「ある視点」審査員賞とクィア・パルム賞を受賞した。

ハイダル(演:アリ・ジュネージョー)はある日、地元の劇場でダンサーとしての職を得る。これまで夫の代わりに働いていた妻ムムターズ(演:ラスティ・ファルーク)は、家長の義父から今後は家に残るように命じられる。その一方で、ハイダルは劇場で出会ったトランスジェンダーのダンサー・ビバ(演:アリーナ・ハーン)に恋し、解放感を得ていくが―――。

ジョイランド わたしの願い [DVD] 引用元:Amazon
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『ミツバチと私』(2023)

『ミツバチと私』写真: COURTESY OF GARIZA FILMS/INICIA FILMS
『ミツバチと私』写真: COURTESY OF GARIZA FILMS/INICIA FILMS

◆本当の自分を探す夏…少年の願いとは

スペインのエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督の長編デビュー作『ミツバチと私』は、性自認に悩む8歳の少年の姿を繊細に切り取った作品。

少年アイトール(演:ソフィア・オテロ)は、母親ときょうだいとともに祖母の家を訪れる。自分の名前を嫌い、新たに出会った友達や養蜂場を営む叔母の前で“女の子”として振舞うが、やがて母親はアイトールの葛藤に気づき始める。当時9歳のオテロは、史上最年少で第73回ベルリン映画祭銀熊賞(主演俳優賞)に輝いた。

ミツバチと私 [DVD] 引用元:Amazon
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記事/和田 萌

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