アリ・アスター監督最新作『Eddington』レビュー:ホアキン・フェニックス×ペドロ・パスカル競演、コロナ禍を舞台にした異色の西部劇

傑作ホラー『ヘレディタリー/継承』(’18)と『ミッドサマー』(’20)を生み出した鬼才アリ・アスターが、長編4作目となる新作映画『Eddington(原題)』でスクリーンへ帰ってきた。
ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラーら豪華キャストが共演する『Eddington』は、架空の町エディントンを舞台に、陰謀論やコロナ禍の狂気によって混乱の渦に陥る人びとを描いた“現代の西部劇=モダン・ウエスタン”だ。
『Eddington』あらすじ
時は、コロナ禍の2020年5月。マスクを着用しない主義の保安官ジョー(演:ホアキン・フェニックス)は、マスク着用やソーシャルディスタンスを徹底し、再選をねらう市長テッド(演:ペドロ・パスカル)と対立する。
家では、トラウマを抱えた妻ルイーズ(演:エマ・ストーン)や、陰謀論に入れ込む義母ドーン(演:ディードル・オコンネル)に頭を悩ませているジョー。その間にも、エディントンの住民たちは、白人警官によって黒人男性が殺害された事件に端を発するブラック・ライヴズ・マター運動に触発され、保安官たちに厳しい目を向けていく。
町全体の緊張感が高まり続けるなか、ジョーは店の営業再開や、さまざまな制限的な義務を取り消すことを約束し、市長選への立候補を宣言する。
『Eddington』が描く現代社会の闇
『Eddington』では、町の住民たちが抱える絶望感が銃による暴力に発展するなど、数多くの出来事が複雑に絡み合う。おそらく本作のメッセージは、「外出を制限するロックダウンの間に、私たちは自分たちの国の機能不全について何も学習しなかった」、または「学んだことはすぐに忘れ去られてしまった」ということであろう。
ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカルら実力派キャストたちは、それぞれのキャラクターをそつなく体現している。特に、フェニックスがくぐもった声と疲弊感たっぷりに演じるジョーは、ストーリーが進む前から彼の破滅的な運命を予感させる。
また、本作の音楽を手がけたのは、『ミッドサマー』と『ボーはおそれている』(’23)でもアリ・アスター監督とタッグを組んだボビー・クルリックと、アーロン・ソーキン監督作『シカゴ7裁判』(’20)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされたダニエル・ペンバートンだ。彼らが作り出す不吉なサウンドは、アスター監督の4作品すべてに共通する神経を逆なでるような性質に見事にマッチしていた。
<『Eddington(原題)』作品情報>
■全米公開日:7月18日(金)
■キャスト:ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル/エマ・ストーン/オースティン・バトラー/ルーク・グライムス/ディードル・オコンネルほか
■監督・脚本:アリ・アスター
■上映時間:149分
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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