ホーム » MOVIES » 『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』公開記念! ミイラ映画100年の系譜

傑作呪術ホラー『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』公開記念!ミイラ映画100年の系譜──クラシックから現代ホラーまで、その進化を徹底解剖

/
傑作呪術ホラー『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』公開記念! ミイラ映画100年の系譜──クラシックから現代ホラーまで、その進化を徹底解剖
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 写真:COURTESY WARNER BROS. PICTURES
スポンサーリンク

5月15日(金)から公開の『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』は、『死霊のはらわた ライジング』のリー・クローニンが監督、プロデューサーには『死霊館』シリーズのジェームズ・ワン、製作には『M3GAN/ミーガン』のブラムハウスが参加している。製作は『WEAPONS/ウェポンズ』のワーナー(ニュー・ライン・シネマ)によるホラー映画です。これだけの面子が揃っているだけのことはある、かなり不気味かつ過激な快作にして怪作に仕上がっています。

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

本作が公開される際、ユニークな投稿が公式からSNS(X)に投稿されました。

【お知らせ】ブレンダン・フレイザーは、5月15日(金)公開の映画『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』に出演しておりません。

このポストは極めて唐突で、?となる方も多いかと思います。これは本国アメリカでの同様の投稿を受け日本でも展開したわけですが。なぜブレンダン・フレイザーの名がここに出てくるのでしょうか?実は彼が出演し、日本でも人気のあるアドベンチャー映画『ハムナプトラ』シリーズ(『ハムナプトラ/失われた砂漠の都(99)』、『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド(01)』、『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝(08)』)の原題が“The Mummy”なのです。そして『ザ・マミー/棺の中の少女』も“The Mummy”です。

さらに複雑なことにブレンダン・フレイザー出演で20年ぶりにハムナプトラ映画の4作目、つまりThe Mummy4が制作されることも発表されました。(全米公開は2028年10月15日予定。こちらはユニバーサル・ピクチャーズです)この作品との混同を避けるために、『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』側はわざわざブレンダン・フレイザーは本作に出演していない、と投稿したわけですね。

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』側はさらに混乱を避けるため、タイトルをわざわざLee Cronin’s The Mummy(リー・クローニン版『ザ・マミー』)と打ち出しています。なぜタイトルが被っているのでしょうか?

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

1932年にルーツを持つザ・マミー

そもそもマミーとはミイラのことです。そしてホラー映画史においてこの存在が一躍有名になったのは1932年にユニバーサル・ピクチャーズから公開されたその名も“The Mummy”(日本公開は1933年で邦題は『ミイラ再生』)でした。

ユニバーサルはホラー物を得意としており1931年に『魔人ドラキュラ』、『フランケンシュタイン』(日本公開は32年)を大ヒットさせます。その次に公開されたのが『ミイラ再生』だったのです。『魔人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』は原作となる小説がありますが、『ミイラ再生』はオリジナルです。

1920年代にエジプトでツタンカーメン王のミイラが発掘され、世界中の話題となりました。同時にこの発掘の関係者の死が続いたことから、それが“ツタンカーメンの呪い”的な都市伝説が生まれました。こうしたことに着想を得て、エジプトのミイラをテーマにしたホラー映画が作られたとされています。物語は古代エジプトの高僧で、背徳の罪により生きながらミイラとして埋葬されたイムホテップが現代に蘇るというものです。僕らがイメージする布にぐるぐる巻きにされ、その下に恐ろしい顔が隠れているミイラ男のイメージもこの映画からです。

しかし、この『ミイラ再生』では思ったほど“ミイラ男”でいるシーンは少なく、人間的外観に戻ったイムホテップが事件を巻き起こします。『ミイラ再生』はヒットし、続編が何本か作られます。1940年に作られたThe Mummy’s Hand(ミイラの手、日本では劇場未公開ですが『ミイラの復活』というタイトルでTV放送されました)ではミイラ化されたカリス王子が現代に復活し恐怖をまき散らします。この映画でカリス王子は終始、いわゆる“ミイラ男”姿で登場。従ってモンスターとしての“ミイラ男”のイメージはこの作品で定着したのかもしれません。

1959年、ユニバーサルとイギリスのハマー・プロダクションズ(こちらもホラー映画で有名)がカラー映画として、ユニバーサルのミイラ映画をリメイクします。ズバリ、タイトルは“The Mummy”。日本では『ミイラの幽霊』という邦題で公開されました。

この59年版のミイラ男の正体はカリスで、従ってタイトルこそ『The Mummy/ミイラ再生』を踏襲していますが、実質的に『The Mummy’s Hand/ミイラの復活』を意識しています。この59年版でもミイラ男は布巻怪人姿で大暴れするので。

その後、いろいろな国でミイラ男物は作られます。フランケンシュタインの怪物、ドラキュラ、狼男等と並んで洋物モンスターのアイコンの一つになりました。

ザ・マミーはハムナプトラ・シリーズへ

その後、ミイラ映画は目立った動きはなかったのですが1999年『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』としてリメイクされます。1992年ごろからプロジェクトが始まったとされます。なぜ“The Mummy”を復活させようと思ったのかはわかりませんが、1992年にフランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』が公開されたこと、また1989年に『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の原作者であるアン・ライスがミイラ男をテーマにした怪奇ロマンス小説『ザ・マミー/The Mummy』を発表し話題になっていたことも影響したのかもしれません。

“The Mummy”のリメイク化にあたってユニバーサルはどのような作品にするのかいくつか方向性を検討したようですが、最終的にメガホンを執ることになったスティーヴン・ソマーズの意向を組み、冒険活劇テイストでリメイクすることを決定します。スティーヴン・ソマーズは1998年の海洋怪獣映画『ザ・グリード』を手掛けています。

この作品もモンスターパニック物と海洋アクション物の楽しさがうまくミックスされており、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』も見事にモンスター映画にしてアドベンチャー映画を両立させています。なお『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』とは日本の配給会社がつけた邦題です。繰り返しになりますがこの作品の米公開名はあくまでも“The Mummy”なのです。ヴィランとなるミイラ男は『ミイラ再生』のイムホテップの名が使われています。

トム・クルーズ版ザ・マミー

『ハムナプトラ』シリーズは3作目の『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』(08)で一旦ストップします。3作目はもはやエジプトは関係なく、中国のミイラと戦います。

こうした中“The Mummy”はまた新たな形で復活します。それが2017年の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』です。出演はなんとトム・クルーズ。しかし彼がミイラ男を演じるのではなく、ミイラ女王に見初められる軍人役です。そう本作はミイラ男ではなくミイラ女の物語です。この作品は極めてユニークな状況から生まれました。

当時マーベル・シネマティック・ユニバース/MCUやハリウッド版ゴジラおよびキングコングを軸とするモンスター・ヴァース等、いわゆるシェアード・ユニバース(一つの世界観の中で個別作品を展開していく)が始まっていました。ユニバーサルは自社が持つフランケンシュタインの怪物、ドラキュラ、透明人間、狼男、ジキルとハイド、大アマゾンの半魚人等をこの形で復活させようとします。ユニバーサルはその構想を“ダーク・ユニバース”と名付けました。

その第一弾として“The Mummy”に白羽の矢をたてたのです。それが『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』です。ですから本作の冒頭には“ダーク・ユニバース”というロゴが出てきます。しかしながらこの『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』は思ったほどヒットせず“ダーク・ユニバース”自体も立ち消えになりました。

なお筆者の感想としては、この『ザ・マミー /呪われた砂漠の王女』は大変おもしろく、印象に残るシーンも多い。いつかまた“ダーク・ユニバース”構想が復活してほしいと願います。

ザ・マミーは新たなる傑作へと昇華!

その後も“The Mummy”復活の動きは続きます。ユニバーサルとしては根強い人気のある『ハムナプトラ』をまた復活させるということを決定します。それが2028年10月15日予定の『ハムナプトラ4』シリーズ第4作『The Mummy 4(仮題)』です。

一方、もう一度ミイラ物を怖いホラーとして復活させようという試みから生まれたのが『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』というわけです。どちらも“The Mummy”でややこしいですが、ミイラという言葉自体は一般名詞なのでどっちも使えるということでしょうか?

ネタバレになるので詳細は避けますが、『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』は製作陣がねらった通り、本当に不気味でダークなオカルト・ホラーに仕上がっています。ただでさえ不気味なミイラ伝説をかなりエグく味付けした作品です。

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

さすがは『死霊のはらわた ライジング』のリー・クローニンです。実はこの作品、ホラー映画ファンの観客の間では好評ですが、批評家の間では賛否両論だったそうです。まずホラー映画としては抜群におもしろいのですが、恐らく「否」の意見としてはミイラ物としてどうなのか?ということなのでしょう。というのもミイラ映画のルーツである『ミイラ再生』から“古代エジプトのミイラが現代に蘇る”というのがベースでしたが、本作はそうではない。

また、ミイラたちの動機にちょっと悲しいロマンス的な味付けがあったのが今までのミイラ物のパターンでしたがそうした要素はこの映画にはありません。ミイラ男ではなくミイラ少女というのもかなり異色です。本作は『エクソシスト』や『死霊のはらわた』的なアプローチでミイラ物を再構築しました。だからホラー映画として良いがわざわざミイラ物ブランドでこれをやる意味があったのか?というのが「否」につながっているのかもしれませんね。

本作で怪異に立ち向かうのは今までのミイラ映画のような考古科学者や冒険家ではない、普通の家族です。だからなおさら怖い。かつてブラムハウスの社長でプロデューサーのジェイソン・ブラムにインタビューすることがあったのですが、彼がプロデュースするホラー映画は、普通の家族が主人公のことが多い。その理由を聞いたところ「家族というのが一番身近でリアルな窓口。だからこそ、そこを通じてすんなりと観客を信じられない世界に連れていくことができる」と言っていました。ミイラの呪いというのは異国情緒のある遠い悪夢です。それをいかに現代の観客に自分事として感じさせられるか、が製作陣の挑戦であり成功しています。

とはいえ、この映画においてはエジプトというのは必要不可欠な重要な要素であり、ミイラ物に必要な呪術的な怖さはちゃんとあります。ミイラを巻く布にも意味がある。すぐれたミイラ・ホラーに仕上がっています。

最後にトリビアを。この映画に登場する女刑事ザキ役のメイ・カラマウィはエジプト・パレスチナ系の女優さんで、MCUドラマ『ムーンナイト』でスカーレット・スカラベというエジプト人初のヒーローを演じた人です。本作でも大活躍。

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

また途中で出てくる考古学者の名前にご注目ください。実はこの教授の苗字が『死霊のはらわた ライジング』の人物と一緒です。これはお遊びか?それとも『死霊のはらわた』とシェアード・ユニバースでしょうか?

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved
『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』 ©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』作品情報

監督・脚本:リー・クローニン(『死霊のはらわた ライジング』)
製作:ジェームズ・ワン(『死霊館』シリーズ)、ジェイソン・ブラム(『M3GAN/ミーガン』)
出演:ジャック・レイナー、ライア・コスタ、メイ・キャラマウィ ほか
配給:東和ピクチャーズ・東宝
公開日:5月15日(金)より全国公開
©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿