第95回アカデミー賞: ショートリスト発表!気になる今年の傾向は…?
現地時間20日(火)、映画芸術科学アカデミーが第95回アカデミー賞のショートリストを発表した。ショートリストに選出された国際長編映画賞、歌曲賞、作曲賞、視覚効果賞、長編・短編ドキュメンタリー賞などを含む10部門のノミネート候補は、来年1月12日~17日の期間に投票され、1月24日にノミネート作品として発表される予定だ。
米The Hollywood Reporterきっての“アワード・エキスパート”こと、スコット・ファインバーグ氏が今年の賞の傾向を分析。
国際長編映画賞ショートリスト
- 『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』(アルゼンチン)
- 『西部戦線異状なし』(ドイツ)
- 『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(メキシコ)
- 『エンドロールのつづき』(インド、来年1月20日に日本公開)
- 『別れる決心』(韓国、来年2月17日に日本公開)
- 『Holy Spider(原題)』(デンマーク、来年4月に日本公開)
- 『EO(原題)』(ポーランド、来年5月5日に日本公開)
- 『Corsage(原題)』(オーストリア)
- 『Close(原題)』(ベルギー)
- 『Return to Soul (原題)』(カンボジア)
- 『Saint Omer(原題)』(フランス)
- 『The Quiet Girl(原題)』(アイルランド)
- 『The Blue Caftan(原題)』(モロッコ)
- 『Joyland(原題)』(パキスタン)
- 『Cairo Conspiracy(原題)』(スウェーデン)
今回、国際長編映画賞のショートリスト選考は、史上初めて主要部門の作品賞と同じくランキング投票形式で行われた。その結果、選出されたショートリストの15作品は、世界5大陸から幅広く選出された。ドイツの『西部戦線異状なし』と、メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『バルド、偽りの記録と一握りの真実』はそれぞれNetflixの配信作品である。メキシコは、今年で3年連続国際長編映画賞ショートリスト入りを果たした。今年のカンヌ国際映画祭を受賞したベルギーの『Close(原題)』、韓国の『別れる決心』、オーストリアの『Corsage(原題)』、ポーランドの『EO(原題)』、デンマークの『Holy Spider(原題)』や、ヴェネツィア国際映画祭を受賞したフランスの『Saint Omer(原題)』、アルゼンチンの『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』など、他の主要な国際映画祭に絡むノミネート候補が多く見受けられた。
歌曲賞ショートリスト
- 『トップガン: マーヴェリック』より、“Hold My Hand”
- 『アムステルダム』より、“Time”
- 『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』より、“Nothing Is Lost (You Give Me Strength)”
- 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』より、“Lift Me Up”
- 『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』より、“Ciao Papa”
- 『スピリテッド』より、“Good Afternoon”
- 『ザリガニの鳴くところ』より、“Carolina”
- 『セレーナ・ゴメス:My Mind & Me』より、“My Mind & Me”
- 『RRR』より、“Naatu Naatu”
- 『ホワイト・ノイズ』(12月30日、Netflixで配信開始)より、“New Body Rhumba”
- 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(来年3月3日に日本公開)より、“This Is A Life”
- 『The Voice of Dust and Ash(原題)』より、“Dust & Ash”
- 『Till(原題)』より、“Stand Up”
- 『Tell It Like A Woman(原題)』より、“Applause”
- 『A Man Called Otto(原題)』より、“Til You’re Home”
歌曲賞には、テイラー・スウィフト(“Carolina”)、リアーナ(“Lift Me Up”)、レディー・ガガ(“Hold My Hand”)をはじめ、セレーナ・ゴメス(“My Mind & Me”)、ドレイク(“Time”)、ザ・ウィークエンド(“Nothing Is Lost (You Give Me Strength)”)ら、有名人気歌手の楽曲がノミネート候補に選出され、大衆ウケしやすいラインナップに。この部門の前回の受賞者であるビリー・アイリッシュとフィニアスは、ディズニー/ピクサー作品『私ときどきレッサーパンダ』に提供した楽曲“Nobody Like U”での候補入りとは至らなかった。
今年のショートリストの中で特に目立つのが、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、歌曲賞、作曲賞、視覚効果賞、音響賞の5部門入りを果たした『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』と、予想を大きく上回り5部門(国際長編映画賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞、視覚効果賞、音響賞)に選出された『西部戦線異状なし』だ。大躍進を果たした『西部戦線異状なし』は、同名の長編小説をドイツ本国で初めて映画化した作品で、一時Netflixで最も視聴された映画になった。『西部戦線〜』は、今年の国際長編映画賞の最有力候補作として大注目だ。
3部門でショートリスト入りしたのは、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』、『トップガン:マーヴェリック』、『THE BATMANーザ・バットマンー』『バビロン』(来年2月10日に日本公開)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』の6作品。『アムステルダム』、『NOPE/ノープ』、『エルヴィス』は、それぞれ2部門に名を連ねた。
A24配給の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(米カリフォルニア州オレンジ郡のたった6人だけで、あの見事なVFXを作り上げたというから驚きだ)と、『RRR』(虎のシーンだけでも一見の価値アリ)が視覚効果賞の候補から外れたのは意外だった。
その他の部門のショートリストはこちらから。
第95回アカデミー賞授賞式は、米ハリウッドのドルビー・シアターにて、来年3月12日(現地時間)に行われる。