なぜ「メソッド俳優」といえば男性なのか?アニャ・テイラー=ジョイが鳴らすハリウッドへの警鐘
役柄に没入するあまり、私生活まで役に浸食される過剰な役作り。映画界でたびたび話題となるこの「メソッド演技法」について、『マッドマックス:フュリオサ』などで知られるアニャ・テイラー=ジョイが興味深い持論を明かした。
▼なぜ男性ばかり?「メソッド俳優」の現実とは

アニャ・テイラー=ジョイは、米メディア『Complex』に対し「女性がメソッド演技をやらないのは、ケアすべき現実の事柄があるからです」と語る。演技を「コントロールされた精神状態」と例えつつ、16時間も別人を演じる過酷さを認めながらも、共演者やスタッフへの配慮と責任を果たすことが第一であると主張した。
【動画】アニャ・テイラー=ジョイが語る、新作『ラッキー』&『デューン3』
この考えにはナタリー・ポートマンも同調しており、過去に「過剰な役作りは女性には与えられない贅沢です」と語っている。周囲に負担をかけてまで役に没頭するスタイルは、女性俳優にとって現実的ではないという共通の認識が浮かび上がる。
▼徹底的な没入が生む狂気と名演の系譜

一方で、過激なアプローチが劇的な成果を生んできたのも事実だ。『マイ・レフトフット』のダニエル・デイ=ルイスや『マン・オン・ザ・ムーン』のジム・キャリーのように、撮影中も役に留まり続けた例は伝説として語り継がれている。
3度のオスカーに輝いたダニエル・デイ=ルイス自身は、「カメラの前で自由に反応するための手段に過ぎない」と反論している。しかし、その自虐的とも言える情熱は、映画史に残る怪演を生む一方で、撮影現場に緊張をもたらす要因としても議論されてきた。
▼演技と現実の境界線をめぐる新たな議論

一方で、『ジョーカー』のホアキン・フェニックスのように極限の肉体改造を行いながらもカメラの外では役を切り離すスタイルや、『ハウス・オブ・グッチ』で9か月間イタリア訛りを保ち続けたレディー・ガガのような挑戦も存在する。
役にどこまで寄り添い、どこで自分を取り戻すのか。テイラー=ジョイやポートマンの発言は、心身を削る役作りのあり方や、映画制作現場における安全性とプロフェッショナリズムのバランスについて、新たな視点を投げかけている。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。編集/和田 萌

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