『バックルームズ』ケイン・パーソンズ監督、続編の可能性に言及――21歳の新星にハリウッドが大注目
A24製作の映画『バックルームズ』で長編映画デビューを飾った21歳の映画監督、ケイン・パーソンズが、第22回チューリッヒ映画祭のセッションに登壇。同作のヒットによって世界的に知名度を上げた経験を振り返るとともに、続編の可能性を語った。
YouTubeから映画化!21歳監督が手掛ける『バックルームズ』、続編の可能性は?
『バックルームズ』は、パーソンズ監督が10代の頃に立ち上げ、ネット上で話題を呼んだYouTubeシリーズを映画化したもの。
家具店を営むクラーク(演:キウェテル・イジョフォー)はある日、地下のショールームの壁を抜け、黄色い壁が無限に続く不思議な空間を発見する。その後、行方不明となったクラークを捜すため、彼のセラピストであるメアリー(演:レナーテ・レインスヴェ)も同じ空間へ足を踏み入れる。

今年は、同じくYouTube出身である27歳のカリー・バーカー監督の『オブセッション 災愛』もヒット。ネットから誕生した若き才能として、2人は大きな注目を集めている。
パーソンズ監督は現地時間9月27日(土)、「ソーシャルメディアとオンラインプラットフォームの時代に、どう観客の注目を集めるか?」と題されたセッションに登場した。
パーソンズ監督は、『バックルームズ』を「伝統的なホラー映画だとは思っていない」と語った。
「ホラー映画として監督したわけではないし、ホラー作品だとは思っていません。マーケティングの観点からすれば、それ(ホラー映画ジャンルに含めること)が最も自然で、抵抗の少ない道だったのだと思います。観客にとって、作品を理解するためのジャンルとしても安心できるでしょう」
「ただ、私はそうしたレッテルにはできるだけ捉われず、今後の作品では、自分がよりコントロールできる部分に集中したいです。そうしたジャンル分けの影響も弱まると思います」
また、A24のマーケティングや配給計画について尋ねられると、パーソンズ監督は「映画が実際に公開されるまで、これがどのような作品になるのかという確かな感覚はありませんでした」と説明した。
パーソンズ監督によれば、映画がヒットした一因は「YouTubeシリーズの視聴者たちの好奇心」だったという。
「この作品が皆さんにとって響くのか、感覚的に分かっていませんでした。何年もの間、漠然とした形で(自身が制作したYouTubeシリーズ)『The Backrooms』を知ってくれている人たちはいました。しかし、映画の予告編が突然公開されると、その人たちの中に『ハリウッドはこのシリーズをなぜ台無しにしたんだ?』という好奇心が呼び起こされたのでしょう」
そして、パーソンズ監督は「彼らが支持してくれた核心的なアイデアの部分を、正しく表現できたと思います」と、映画の完成度に自信を見せた。
一方で、この日取材に応じたパーソンズ監督は、続編の可能性についても言及。「様子を見ましょう」と回答し、明言を避けた。
映画業界が『バックルームズ』で得た希望――若者が映画館へ行くきっかけに
さらにセッションは、興行収入や観客層の話題へと移った。本作は5月に全米公開、9月4日(金)に日本公開を迎え、全世界興行収入4億100万ドル(約630億円)という驚異的な記録を叩き出している。
このセッションでは、「若い世代が映画館に足を運ぶきっかけ」の好例として『バックルームズ』が挙がった。パーソンズ監督自身も「需要はあります」と語る。
「『バックルームズ』は(YouTubeシリーズとして)以前から存在していましたが、ネット上では分散化されたIPとしての需要があります。単純に、人々はそうした新鮮さを求めているのだと思います。現在のハリウッドの傾向である“使い回し”の文化的アイコンから、距離を置きたいのではないでしょうか」
映画芸術科学アカデミーCEOのビル・クレイマー氏は、「YouTubeが、観客が映画館に足を運ぶこととこれほど密接に結びついているとは気づかなかった。これはこの夏の大きな収穫だった」と語った。
さらにクレイマー氏は、「若い観客が映画館に戻ってきているのを目の当たりにして、映画業界にとって大きな希望を感じた」と述べた。
クレイマー氏によれば、最近のアカデミー映画博物館は全てのスクリーンが満席で、チケット購入者の半数以上が40歳未満だという。「つまり、観客は映画館で映画を観ることが好きなのだ。私たちに必要だったのは、新しいファンを惹きつけること。それを今夏、パーソンズ監督がサポートしてくれた」と、クレイマー氏は続けた。
この意見にパーソンズ監督も同意。「私の世代がショート動画コンテンツに惹かれるという考え方は、単純化しすぎです」と説明した。
「そうした意見はかなり耳にします。統計的には正しいのかもしれませんが、むしろ(ショート動画は)武器として利用され、アルゴリズムによって促進されているという感覚が強いです。ほとんどの人は心から楽しんでいるコンテンツではないと思います。人々は、『ショート動画を消費し続ける』という悪循環に陥り、注意力が削がれていくことを好んでいないのです」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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