生田斗真、「渇水」の撮影では雨男の“本領発揮”も「自信を持ってお届けできる」
俳優の生田斗真が主演の映画「渇水」(6月2日全国公開)の完成披露試写会が11日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。生田は共演の門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子、山﨑七海、柚穂と髙橋正弥監督、企画・プロデュースの白石和彌監督とともに舞台挨拶。「監督の熱い熱い思いから始まった、自信を持ってお届けできる作品」と胸を張った。
1990年に出版され、芥川賞候補にもなった河林満氏の同名小説が原作。料金未納家庭の水道を停止する業務に従事する水道局職員が、その対象となった家庭の姉妹に出会ったことで自身の生き方に葛藤が芽生えていく物語だ。髙橋監督は小説を読み、「当時はバブルで日本が裕福な時代だったが、その裏でいろいろな格差や貧困があった。それは30年たっても変わっていないと強く思い抱き、映画として見てもらえればと思った」という。
10年ほど前に脚本を執筆し、映画化に奔走。その脚本にほれ込んだのが「孤狼の血」シリーズなどで知られる白石監督で、「素晴らしくて映像化できないのはもったいない。髙橋監督が粘り強く動いていることは知っていたので、一歩でも前に進むのであればお手伝いしたい」と初のプロデュースを買って出た。
撮影は小説の時代を表現するため16ミリフィルムを使用。姉妹を演じた山﨑と柚穂には脚本を渡さず、その日に撮影するシーンのセリフを口頭で伝える独特の手法を取った。生田は「監督が生々しい芝居を求めていたからで、僕も監督とプロデューサーから『2人としゃべっちゃダメ』と言われていた。でも、彼女たちは無邪気に話しかけてくるので申し訳ない気持ちになって心苦しかった」と振り返った。
その上で、「形式上、僕の名前が最初に出てきますが、2人の新しい時代を担う女優を発見してもらう映画でもあります」と絶賛。髙橋監督も、「2人とも勘がいいので、一回説明すれば大体は把握してくれた」と称えた。
ただ、映画は日照りが続き給水制限が出されている夏という設定だったが、群馬県での撮影はほとんどが雨。その原因と共演者から指摘されたのが「雨男」の生田。門脇は相次ぐ撮影中止に、東京とロケ地を3往復したことを明かし「一番大変だったのがその車内」と愚痴り、生田を閉口させた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元