菊地凛子が明かす、3冠獲得の上海国際映画祭授賞式後の顛末とは…

女優の菊地凛子が主演の映画「658㎞、陽子の旅」の公開記念舞台挨拶が29日、東京・テアトル新宿で行われた。菊地は共演の竹原ピストル、浜野謙太、オダギリジョーと熊切和嘉監督とともに登壇。「私にとって宝物の映画が、ここまでたどり着けたことがうれしい」と笑顔をはじけさせた。

菊地にとっては、オーディションでヒロインに選ばれ初めて名前のある役を得た2001年「空の穴」以来となる熊切監督とのタッグ。「熊切監督には映画はこんなに面白い、皆で作る楽しさを教えてもらった。自分も40歳の節目で、あとどれくらい演じられるかという漠然とした不安があった中で、私を拾ってくれた熊切監督と一緒にやれたことが何よりうれしく感謝でいっぱい。長く役者をやっていて良かった」と声を詰まらせた。

「スイッチが入っちゃうとダメなんです」と涙を流す姿に、オダギリは「この不安定な感じが素敵、感受性は大事だよねえ」と称賛。熊切監督も、「『バベル』で世界的な女優になったことはうれしかったけれど、自分が菊地さんの代表作を撮れなかったというしこりのようなものがあった。今回、一緒に撮れて夢のような時間だった」と振り返った。

同作は6月の上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀女優賞、最優秀脚本賞の3冠を獲得。だが、受賞を想定していなかったため、授賞式当日夜の帰国便を予約していたという。菊地は、「ドレスや豪華なジュエリーを着けていたのに、授賞式後のインタビューを受けた後、トイレで早着替えをしてアフターパーティにも参加できず、トロフィもむき出しのまま窃盗団のように空港に向かった」と顛末を明かした。

熊切監督も「審査委員長(イエジー・スコリモフスキ監督)に挨拶もできなかった」と悔やんだ。結局、飛行機の出発が1時間ほど遅れたため空港のバーで祝杯を上げたそうで、菊地は「あのビールはおいしかったあ」と満面の笑みを浮かべた。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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