クリストファー・ノーラン監督全12作をランク付け 最新作『オッペンハイマー』も

写真: ©MELINDA SUE GORDON/UNIVERSAL PICTURES; WARNER BROS./COURTESY EVERETT COLLECTION; MELINDA SUE GORDON/©PARAMOUNT/COURTESY EVERETT COLLECTION
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『オッペンハイマー』の公開に際し、クリストファー・ノーラン監督作品をワーストからベストまでランク付け。ノーランは、歴史ドラマ(『ダンケルク』『オッペンハイマー』)から、SF(『インターステラー』『TENET テネット』)、バットマン3部作に至るまで様々なジャンルの全12作品を抱えている。そして今や世界で最も優れた映画制作者の1人、オープニング週末で劇場を満員にできる数少ない1人となった。

以下、ノーラン監督作品のランキング

12. 『インソムニア』 (2002)

“ワースト”作品がそれでもなお良作なのは、さすがノーランだ。同名のノルウェー映画のリメイクで、ノーラン自身が脚本を兼ねなかった唯一の作品。アル・パチーノ、ヒラリー・スワンク共演の優れた刑事ドラマだが、いつもの意欲的な視野が欠けている。

11. 『フォロウィング』 (1998)

当時20代だったノーランのデビュー作。白黒で撮影され、いくつかのテーマは後の作品でも掘り下げられている。主人公は見知らぬ人を尾行する男で、“同じ人を2度つけない”というルールを破ってしまい思いもよらぬ事態に巻き込まれていくという物語。上映時間は70分。“長編には入らない”という声もあるが、構想に3年を費やしたノーランは“他と変わらず正当な作品”だと語った。

10. 『TENET テネット』 (2020)

現在VS未来の戦いを阻止する工作員を演じたジョン・デイヴィッド・ワシントンは圧倒的。「TENET」はノーランの気をくじくような癖の結晶だ。会話をかき消すサウンドスケープ、単調なキャラクター、観客を追いていくレベルの物語の捻りなど。それでも、視覚・聴覚的な凄さや、タイムトラベルへの独創的な挑戦といった表面的な部分は認められる。(米THRのレビュー

9. 『ダークナイト ライジング』 (2012)

恐ろしいテロリスト・ベインに扮したトム・ハーディは、素晴らしい。ノーラン3部作のクライマックスで、“奈落”でのブルースの試練など印象的なシーンも数々ある。また、犯罪者がゴッサム・シティを掌握するという大局的な視点は、称賛に値する。(警官が地下水路に何か月も閉じ込められることの信憑性を考えない限り)(米THRのレビュー

8. 『メメント』 (2000)

ノーランの第2作目は、弟のジョナサンと共同脚本を務めた衝撃的な展開のスリラー。ガイ・ピアース主演の今作は、記憶障害の男が殺害された妻の謎を解き明かそうとする。とっつきやすいジャンルと難解な語り口を見事に融合し、忘れられない結末へと向かっていく。

7. 『ダンケルク』 (2017)

『ダンケルク』は、リーフレットが宙を舞うファーストショットから巧妙に作り込まれている。第二次世界大戦時、迫り来る時間のなかで英国兵士がドイツ軍から必死に逃げ惑う。アクションにおいては、ノーランの技量が心をつかむシークエンスに表れている。圧倒的なテクニックを用いながらも、登場人物の何人かは描写が浅く、そこに観客との温度差が生まれている。米THRのレビュー

6. 『インターステラー』 (2014)

しばしば、ノーランは冷酷な制作者だと非難されるーそうかもしれない。それでも、宇宙飛行士役のマシュー・マコノヒーの力強い演技には、非情なところなど全くない。プロットにいくつか(というか、沢山)穴があるものの、『2001年宇宙の旅』にインスパイアされた驚きと、感動の大きさが合わさって今作を最も人気の高い作品の1つにしている。(現在、スーパーヒーロー映画を除きノーラン作品で最も興行的な成功を収めた作品でもある)(米THRのレビュー

5. 『インセプション』 (2010)

ここからは、ホームラン級の作品が続く。ノーランの才能が存分に発揮された『インセプション』は、クライアントに偽の記憶を植え付ける男(レオナルド・ディカプリオ)の物語。視覚的にも素晴らしく、独創性に溢れ、ノーラン史上最もクールなエンディングが用意されている。ハンス・ジマーの音楽も、彼の最高傑作の1つだ。(“Time”をチェック)(米THRのレビュー)

4. 『バットマン ビギンズ』 (2005)

最初の1時間は「ダークナイト」3部作の最高の始まりになっている。さらに、素晴らしい犯罪ドラマとして扱うと、スーパーヒーロー映画について再考させてくれる。クリスチャン・ベールはすぐに優れた継承者だと証明してみせ、マイケル・ケインも史上最高のアルフレッド役に徹している。

3. 『プレステージ』 (2006)

クリストファー・プリーストの小説を基にした驚くべきミステリー。2人のマジシャンの勝負を描き、ベールとヒュー・ジャックマンがそれぞれ圧倒的、熱のこもった演技を披露している。ノーラン兄弟の脚本はナレーションを効果的に用いており、驚愕の結末が待ち受けている。

2. 『オッペンハイマー』 (2023)

『オッペンハイマー』は非常に長尺で言葉数の多い作品だ。終盤では、男性陣がセキュリティ・クリアランスについて議論を交わす。(想像してほしい。もし『バットマン ビギンズ』でバットマンがスケアクロウに負け、その後40分間延々とゴッサム・シティのモノレールの修理について議論したら)一方、ノーランはあらゆる技量を尽くして、他とは異なるドラマチックな傑作を生み出した。つまりは、現代における重要性がある。同作でノーランは、歴史上の重要人物の物語を巧みに語り、科学を支持し、大量殺戮兵器の危険性を世界に思い出させた。トリニティ実験後の激励会のシーンは、おそらくキャリア史上最も巧みかつパワフルなシークエンスになっている。 (米THRのレビュー

1. 『ダークナイト』 (2008)

『オッペンハイマー』を『ダークナイト』ほど繰り返し観る人はいないだろう。現在もなお、史上最高のスーパーヒーロー映画で、ジョーカーに扮したヒース・レジャーは伝説的な演技を披露。上映時間152分のうち、登場するのはたった33分だけだが、レジャーは死後オスカーを獲得した。脚本が素晴らしく、印象的なセリフも満載。助演俳優もそれぞれ活躍し、ジマーの音楽には不穏な緊張感が漂う。アクションも安定していて、効果的。ノーラン作品の多くは長尺だが、『ダークナイト』は終わりが来てほしくない映画だ。 (米THRのレビュー)

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

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