『スピード』脚本は90%書き直されていた――脚本家クレジット論争と名ゼリフ誕生の真相
 
		キアヌ・リーブスの代表作の一つである『スピード』(1994年)は、シリアスとユーモアが絶妙に調和した疾走感あふれるスリラー映画だ。8月28日配信のポッドキャスト『50 MPH』に、脚本家のグラハム・ヨストとジョス・ウェドン、ポール・アタナシオ、プロデューサーのウォルター・F・パークスとローリー・マクドナルドが出演し、『スピード』の制作に貢献したものの、クレジットされなかった経緯を明かした。
『スピード』脚本の裏側――名作の陰で起きていたクレジット論争
ウェドンは脚本の最終調整のために招かれ、同作に急遽参加した。そして最終的にセリフの約90%を書き直したものの、WGA(全米脚本家組合)の仲裁もあり、ウェドンの名前はクレジットされなかった。一方で、同作のコンセプトや登場人物、主要なストーリー展開を担当したヨストが単独でクレジットされている。
ウェドンによれば、リーブス演じるSWAT隊員を描く上で、リーブスの提案が大きなヒントになったという。
「リーブスは実際のSWAT隊員と過ごし、役作りのためのリサーチをしたのです。そして彼らがいかに礼儀正しいかを教えてくれました。彼らは状況をどう収めるかを考え、相手を『サー』や『マダム』とだけ呼ぶのです。それを聞いて、キャラクターがどんな性格なのかピンと来ました。私の解釈では、彼は短絡的ではなく、柔軟な思考の持ち主です。自分が正しいと思うことを実行するためなら、時に変則的なアプローチも採ります。当時のアクション映画のヒーローといえば勢いのある人物像が当たり前でしたが、彼は正反対でした」
また、ファンや映画関係者の多くは同作の名ゼリフ「Pop quiz, hot shot!(ここでクイズだ、天才くん!)」をウェドンが書いたと考えていたが、ウェドンは「書いていません」と語る。しかし、ヨストも「このセリフはウェドンが考えたもので、私ではありません」と主張した。
そこでポッドキャストの司会者、クリス・タプリーが『スピード』の脚本の草稿を調査した結果、このセリフはアタナシオが書いた可能性が高いことが分かった。もっとも、アタナシオ本人はこのセリフを書いた覚えがないという。
その後、ウェドンとヨストは同作のプレミア上映で顔を合わせた。ヨストは「ウェドンがクレジットされなかったため、私たちの関係は悪化しました。まるで彼に責められているように感じました」と振り返る。
しかし、ウェドンは当時、「もう大丈夫。クレジットされなかったことは気にしていません。それより、私にはもっと考えるべき仕事がたくさんあるのです」と反論した。ウェドンは次の仕事として『トイ・ストーリー』(1996年)の脚本を進めていた。
不適切行為で告発されたジョス・ウェドン、疑惑の真相とは
ウェドンは2020年から2022年にかけて、『バフィー 〜恋する十字架〜』シリーズ(1997~2003年)や『ジャスティス・リーグ』(2017年)の制作中におけるスタッフや関係者に対する暴言や不適切行為などの疑惑により、度重なる告発を受けた。

『バフィー 〜恋する十字架〜』に出演したミシェル・トラクテンバーグや、ワンダーウーマン役のガル・ガドットは、ウェドンと二人きりになることを禁止する規則があったと証言した。『ジャスティス・リーグ』に出演したレイ・フィッシャーは、ウェドンが自身のキャラクターのバックストーリーを削除したとして非難した。

ニューヨーク・マガジンはこれらの疑惑を徹底調査し、『バフィー 〜恋する十字架〜』シリーズのスピンオフ作品『エンジェル』(1999~2004年)を手がけた際、ウェドンは自身の言動が「マナー違反」で「礼儀知らず」だったことを認めた。
しかし、脅迫や自身の発言が歪曲されているという疑惑について、ウェドンは否定している。「当時は若かったのです。そして時には、若いキャストに対して怒鳴る必要がありました。(告発者たちは)私が暴力的な怪物であるかのように見せるため、あらゆる言葉を武器として使いました。私は今までのショーランナーの中でもまだ良い方だと思います」とウェドンは弁明した。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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