尚玄「ここで映画体験を」地元沖縄での国際映画祭にかける情熱

俳優の尚玄が11月23~29日にかけて、沖縄各地で行われる「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル2023」のアンバサダーを務める。自身の地元・沖縄での開催、名実ともにインターナショナルな本企画に彼はどのような姿勢で臨むのか。映画祭の会見後に話を聞いた。

本映画祭は「太平洋、海をまなざし、海を知る」をスローガンに、環太平洋の国々、またゆかりのある監督らの作品を約40本上映。優れた映画の発掘と発信を通じて、各国の文化や民族、個々人の相互理解を深め、将来的に沖縄が環太平洋地域において新たな国際文化交流を目指す。

これに加えて「沖縄から世界へ」という狙いも持っている尚玄だが、記者会見で「映画に自分は救われた」と語る姿が印象的だった。裏にはどんな過去があったのか。

「実は中学時代から周囲と馴染めなかったんですよ。疎外感を味わいながら、自分自身はアウトサイダーだと感じていました。でも映画を観ると、自分の生きる狭い世界だけではなく、多種多様な人間がいると学べたんです。登場人物に自分を重ねていたところもありましたし、色々な面で救われたなと」

少年・尚玄に大きな視点を与えたのが映画の世界で、そこに自身も飛び込んでいったというわけだ。さらに映像配信はサブスクリプション形式が全盛となっている今、映画は大勢というよりも個人で楽しむものになってきている。映画館が少なくなっている現状に彼は危惧を抱いているという。

「映画館へ行くということ自体が体験。色々な人と場を共有することで記憶に刻まれるじゃないですか。保育園の頃、『大魔神』と『妖怪大戦争』の二本立てを親父が観に連れて行ってくれたんですよ。内容は覚えてないけど、『一緒に友達も連れてきていいよ』と言ってくれて、何人かで行った時の誇らしい気持ちは今でも思い出せます。そういう体験を本映画祭でもしてもらえたら」

さらにオフィシャルパートナーであるTHRJについては、「MEGUMIさんとの対談も他ではできなかったことですし、既存の枠に囚われない自由な可能性がある媒体。今後とも一緒に新しいことを開拓していきたい」と語ってくれた。

太平洋に面した大小問わず多様性あふれる国々より集められた、娯楽映画からマニアックな映画まで豊富なラインナップ。「Cinema at Sea 沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル2023」が日本の映画界に新風を巻き起こすか。引き続き注目している。

(取材:山本真紀子、文/撮影:小池直也)

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