2024アカデミー賞 日本映画3作品がノミネート!海外の反応は?
第96回アカデミー賞ノミネート作品が1月23日に発表。
日本からは、『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞、役所広司主演の『PERFECT DAYS』が国際長編映画賞にノミネートされました。
海外でも日本映画3作品の人気が高く、絶賛する声が多く聞こえてきます。
いま世界から熱い視線を浴びている『ゴジラ-1.0』『君たちはどう生きるか』『PERFECT DAYS』それぞれの海外での反応をまとめました。
『ゴジラ-1.0』批評家は「ゴジラ史上最高傑作」
全米では12月1日に公開。上映後には拍手がおこり、批評家たちからは絶賛の声が届くなど、アメリカでゴジラ旋風を巻き起こしています。
ワシントン・ポストのルーカス・トレバー氏は「山崎貴監督は、キャスリン・ビグロー、ジェームズ・キャメロン、クリストファー・マッカリーのアクション監督の最高傑作を彷彿とさせるクライマックスを作り出した」と賞賛。
『ReelViews』のジェームズ・ベラルディネリ氏は「スクリーンを飾ったゴジラ映画のなかでは、おそらく最高傑作だ」と述べました。
『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞監督賞を受賞した巨匠ギレルモ・デル・トロは、X(旧Twitter)で「今年トップ3に入る傑作。奇跡だ」とコメント。
批評家のピーター・トラバース氏は、「ゴジラが登場したら座席から飛び上がってしまう覚悟を」とレビューしています。
映画批評サイト『Rotten Tometos』のユーザーは、「迫力あるゴジラと胸が熱くなる人間ドラマに圧倒された」「ここ数年のベスト映画」「3回観たけど、毎回涙が止まりません」「何度もみる価値がある傑作」「ゴジラのアングルが最高!」と高評価のコメントが相次いでいます。
人間ドラマのパートに絶賛の声
ゴジラの迫力満点な破壊シーンが賞賛されていることに加えて、トラウマを抱えた主人公の人間ドラマに高い評価が寄せられています。
映画批評家のアレックス・アダムスは「ゴジラとの対決では残忍なシーンになりかねないところを、山崎貴監督の脚本や視覚効果により、主人公たちの団結力、思いやり、希望を前面に押し出し映画全体に人間ドラマを吹き込んでいる」と述べます。
北米では公開から1月27日までの60日間で、興行収入が5214万ドル(78億円)を突破。
『ゴジラ‐1.0』は製作費1500万ドルの低予算ながら、第96回アカデミー賞視覚効果賞にノミネートされました。
同部門でノミネートされた『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』は2億9100万ドル、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は2億5000万ドルと、膨大な製作費をかけたハリウッド大作が並んでおり、『ゴジラ‐1.0』のノミネートがどれほどの偉業なのかが伝わってきます。
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『君たちはどう生きるか』最も独創的でクリエイティブな映画
2024年1月7日(現地時間)に発表された第81回ゴールデン・グローブ賞では、アニメ映画賞を受賞。同部門での受賞は日本映画史上初の快挙となりました。
レオナルド・ディカプリオはジブリ作品の素晴らしさをマーティン・スコセッシ監督に語り、アリアナ・グランデはジブリファンを公言。ハリウッドではジブリ人気が根強く浸透しています。
映画ファンらは「宮崎駿監督作品を映画館で見れるのを楽しみにしていました」と、10年ぶりの宮崎駿監督作品となる『君たちはどう生きるか』の公開を待ち望んでいた声が多く聞かれます。
シカゴ・サン・タイムズのリチャード・ローパー氏は、「2023年で最も独創的でクリエイティブな映画の1つである」とし、「スクリーンから飛び出すような手描きのアニメーションに心が奪われるだけでなく、インスピレーションが刺激され、ワクワクし、ときにはクスっと笑わせてくれます」と述べました。
批評家のショーン・コリアー氏は「表現豊かで活気に満ちた旅であり、哲学的な冒険物語。美しいアニメーション、魅力的なキャラクター、胸が躍るストーリー展開など、魅惑的な世界が広がります」と言及。
映画批評家のカンボレ・キャンベル氏は「この壮大なストーリーをまとめるのは難しい」と述べながらも、「新しい世代が、自分たちに手渡された世界をただ嘆くのではなく、もはや燃え尽きることを恐れず、より良い方向に変わることができると楽観的に考えて、希望を与えてくれる」と述べました。
宮崎駿監督の「手描き」アニメーションに賞賛
難解なストーリーだという声も聞こえる一方で、宮崎駿監督が生み出すアニメーションに絶賛の声が寄せられています。
近年はデジタル画で制作する映画がほとんどですが、宮崎監督は紙に鉛筆と絵具で「手描き」することを忠実に守っています。
批評家のカルロス・アギラール氏は、「『君たちはどう生きるか』の精巧さと細部にまでこだわったアニメーションは、スタジオジブリが最高峰であることを改めて思い起こさせます。質感、色彩、陰影の豊かさは、誰もいない部屋や異世界へ繋がる古びた入り口などシンプルなシーンでも、生き生きとしていて、畏敬の念を起こさせるほどゴージャスなのです」
SNSのユーザーからは、「ジブリに再び魔法をかけられた」「久石譲氏の音楽も素晴らしい」「美しくてパワフル」「宮崎監督らしい作品でした」との感想が。
第96回アカデミー賞では長編アニメ映画賞にノミネート。2003年には宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が同部門を受賞し、21年ぶりのオスカー獲得が注目されています。
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『PERFECT DAYS』言葉では言い表せないほど美しい
『PERFECT DAYS』はドイツの巨匠ヴィム・ヴェンダースが役所広司を主演に迎え、東京・渋谷で働くトイレ清掃員の日々を描いたヒューマン・ドラマです。
第76回カンヌ国際映画祭では、役所広司が最優秀男優賞に輝きます。『誰も知らない』の柳楽優弥に続き、日本人では19年ぶり2人目の快挙。
米アカデミー賞では国際長編映画部門でノミネートされました。
物静かで繊細な演技が評価
セリフで多くを説明しない本作は、ヴェンダーズ監督の詩的で美しい映像や寡黙な平山を演じる役所広司の佇まいが高く評価されています。
デイリー・ビーストのニック・シャーガー氏は、「ヴィム・ヴェンダース監督の過去20年間で最高傑作となった本作は、孤独な日々を甘く切なく描いており、今年のカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した役所の演技に支えられている」とコメント。
批評家のロス・ボナイム氏は「平山(役所広司)は細部まで気を配り美しさを見つける眼力がある。彼は一日を笑顔でスタートしますが、何気ない毎日に愛情を注ぐ姿を見ていると、こちらも思わず笑顔になってしまう」と述べました。
米The Hollywood Reporterの批評家デビッド・ルーニー氏は「言葉では言い表せないほど美しい作品」と絶賛し、「一見シンプルな映画だけど、慎ましくも華やかな自然を中心に日常生活の細部を鋭い観察力と深い感性、そして共感を持って捉えたこの映画は、気がつくと大きな感情の波を生み出している」とレビュー。
さらに「渋谷のトイレは欧米の公園で見かけるようなものではなく、寺社仏閣と見紛うほどの立派で特徴的な建築物」と日本らしさにも言及し、平山の印象は「まるで修行僧のようだ」と述べました。
ヴィム・ヴェンダース監督は小津安二郎を敬愛していることで知られており、役所広司演じる「平山」は『東京物語』に登場する役名から名付けられています。
ヴェンダーズ監督の日本愛がつまった本作。オスカー獲得の期待がかかります。
第96回アカデミー賞授賞式は、3月10日(現地時間)にロサンゼルスで開催。
日本3作品のアカデミー賞の行方に注目が集まります。
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