『グラディエーターII』の予告編が不評なワケ ― 低評価が上回る事態に
リドリー・スコット監督のオスカー受賞作『グラディエーター』の続編となる最新作『グラディエーターII』の予告編が公開後数日で、世界中のプラットフォームで2億1500万回視聴を記録した。
大作の予告編としては異例の事態に
新作では、成長したルシアス役をポール・メスカルが演じ、ペドロ・パスカルとデンゼル・ワシントンも出演。多くのファンが熱狂的に支持している一方で、パラマウント公式YouTubeにアップされた予告は、13万3000件の高評価に対し、低評価が27万9000件を超えるという異例の状況になっている。
動画のコメントやXでの反応を見ると、批判には3つの理由があるとようだ。そのうち2つは予告編の作り方に関するもので、映画全体への評価を反映したものではない。
内容を見せ過ぎ?
まず、3分を超える予告編が、内容を出し過ぎているという批判だ。パラマウントは、昨年の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』の予告も同様に、主要なシーンをすべて公開していた。
使用楽曲への批判
そして、圧倒的に多い2つ目の理由は、予告にカニエ・ウェストとジェイ・Zの楽曲「No Church in the Wild」が使用されていること。これに対しては、「ローマ帝国の映画になぜラップ音楽?」という声が上がっている。確かに、1作目はハンス・ジマーによる音楽が高い人気を誇り、「The Battle」は史上最高のアクション・アンセムの1つとされている。
もちろん、本編の古代ローマのシーンでこのような現代音楽が使われているとは考えにくい。また、「No Church in the Wild」には「血がコロセウムの扉を染める」という歌詞もある。しかし、同曲への抗議は、次の点を考慮すると、ある種の差別的な意図を感じさせる。
3つ目の理由は?
3つ目は、残酷な権力者・マクリヌスを演じるオスカー俳優デンゼル・ワシントンの役柄への批判だ。ニューヨーク訛りで話すマクリヌスに非難の声が上がるなか、ワシントンへの批判コメントの中には、人種差別的なものもある。
ラップソングへのバッシングと合わせると、残念ながら、よくある有害なファンの反応のようにも思える。ちなみに、実際の古代ローマの世界には、権力のある立場についている黒人もいた。
ワシントンは、『トレーニング デイ』のアントワーン・フークア監督が手がけるタイトル未定のNetflix作品にも出演予定で、ローマ時代の司令官ハンニバルを演じる。脚本は、1作目『グラディエーター』の脚本家ジョン・ローガンが担当する。
『グラディエーターII』予告編
『グラディエーター』予告編
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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