香川照之主演『災 劇場版』、サン・セバスチャン国際映画祭のコンペに選出
俳優の香川照之が主演する『災 劇場版』が、9月19日に開幕するスペインの第73回サン・セバスチャン国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことが29日分かった。
同作は監督集団「5月」の関友太郎、平瀬謙太朗両監督・脚本・編集によるオリジナルのサイコサスペンス。交わることのなかった6人の前に、顔つき、口調、所作などを変えた香川が1人6役で演じる「男」が現れさまざまな災いをもたらす恐怖を描く。
今年5月からWOWOWで放送されたドラマW『災』の 1話完結の全6話を、時系列や展開を変えて映画として再構築。香川は「長尺のドラマ版でさえ難解奇妙な物語だったものを、三分の一の尺の2時間の映画に編集し直してさらに混迷を極め、理解不能が大前提のような狂作へとぶっ返った」と独特の表現で評している。
関、平瀬両監督はこれまで短編2作がカンヌ映画祭に正式出品。香川が主演した22年の長編デビュー作『宮松と山下』はサン・セバスチャンのニュー・ディレクターズ部門に招待されるなど、海外からも注目を集めてきた。
サン・セバスチャンには2作連続での選出となり、初のコンペに関監督は「ドラマから産声をあげた風変わりな映画が、世界的な舞台に呼んでもらえたこと、本当にうれしく思います」と感想。その上で「映画愛があふれ返っている街で、この得体の知れぬ作品がどう受け止められるのか…。緊張と興奮が渦巻いたまま上映当日を迎えることになりそうです」と現地入りを心待ちにしている。
平瀬監督は「目に見えぬ恐怖を今までにない形で描こうと試み、映画にしかできない形で見る人の胸中に”目に見えぬ恐怖 を静かに呼び起こします」と自信のコメント。「この試みが世界に届いたことをうれしく思うのと同時に、世界中から集まった映画を愛する観客がこの映画から何を受け取り、何を感じるのか、すこしだけ緊張しています」と素直な心情を吐露した。
香川にいたっては、「猛者たちが群雄割拠するコンペティション部門へ招いたとサン・セバスチャンの勇猛果敢さには心底頭が下がる。シーンの順番はめちゃくちゃ、私が演じる多岐にわたる人物像がさらにそれを混沌とさせ、現地の人たちは一体どこまでこれを理解するというのだろう」と疑心暗鬼。さらに、「世界屈指の美食の街サン・セバスチャン。何はともあれ、そこから黒船は出発する。心配である」と自嘲を交え期待を寄せた。
『災 劇場版』は中村アン、竹原ピストル、宮近海斗、中島セナ、松田龍平らが共演。日本公開は2026年を予定している。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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