スティーヴン・キング、チャーリー・カーク氏めぐる「誤爆ツイート」で謝罪 過去の炎上発言と米国政治の背景とは

右翼活動家のチャーリー・カーク氏、2025年3月6日、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校での討論会にて
右翼活動家のチャーリー・カーク氏、2025年3月6日、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校での討論会にて 写真:BENJAMIN HANSON/MIDDLE EAST IMAGES/AFP/GETTY IMAGES
スポンサーリンク

ホラー小説の巨匠スティーヴン・キングが、米国保守派活動家チャーリー・カーク氏の死去をめぐる発言で謝罪を繰り返している。問題の発言はSNS「X(旧Twitter)」に投稿されたもので、キングは「カーク氏が同性愛者の石打ちを提唱した」と誤った内容を引用。その後、複数回にわたり訂正と謝罪を行った。

何が起きたのか

チャーリー・カーク氏(享年31)は、保守系団体「ターニング・ポイントUSA」の共同創設者として知られ、学生や若者を中心に強い影響力を持つ存在だった。カーク氏はユタ州で行われたイベント中に銃撃を受け死亡。米国では大きな波紋を呼んでいる。

このニュースに関連し、FOXニュースの司会者ジェシー・ワターズ氏が「カークは決して物議を醸す人物ではなかった。彼は愛国者だ」と投稿。これに反応する形で、キングは「言っておくが、彼は同性愛者を石打ちにすることを提唱していた」と投稿した。

しかしこの発言は事実誤認であり、テッド・クルーズ上院議員などから「悪質な嘘つき」と強い批判を浴びることに。キングはすぐに「私は間違っていた。謝罪する」とツイートを削除し、「事実確認を怠った」と反省の弁を重ねた。

メディア関係者も炎上

キングだけではなく、米メディア関係者もカーク氏の死をめぐる発言で炎上している。

MSNBCの政治アナリスト、マシュー・ダウド氏は「憎悪の言葉は憎悪の行動を生む」と発言し、あたかもカーク氏自身に責任があるかのように受け取られたことで即座に解雇された。

さらに、NBCとMSNBCの親会社トップ3人は社員に宛てたメモで「異なる意見に耳を傾け、敬意を持った議論を行うことが重要だ」と呼びかけ、報道姿勢の改善を求めている。米国社会全体で「言論の自由」と「表現の責任」をめぐる議論が再び熱を帯びている状況だ。

スティーヴン・キング
スティーヴン・キング 写真:SCOTT EISEN/GETTY IMAGES

キングの過去の炎上発言

スティーヴン・キングはホラー小説の名手として世界的に評価されている一方、SNSでの政治的発言をたびたびめぐり炎上してきた。

  • トランプ大統領批判:過去には「史上最悪の大統領」と繰り返し投稿し、保守派から敵視された。
  • 文化論争への発言:アカデミー賞の多様性ルールを巡って「芸術は多様性よりも質で評価されるべき」と発言し、ハリウッド内外で大きな議論を呼んだ。
  • 銃規制問題:銃乱射事件のたびに「銃社会そのものが病理だ」と繰り返し主張。保守派との対立を深めている。

今回の「誤爆ツイート」も、こうした政治的スタンスの延長線上にあるとみられる。

米国政治の背景:チャーリー・カークという存在

チャーリー・カーク氏は、米国の若年層保守の「顔」とされる存在だった。彼が共同設立したターニング・ポイントUSAは、全米の大学キャンパスで積極的に活動し、自由市場主義や愛国主義を掲げている。
しかしその一方で、移民LGBTQ+の権利拡大に反対する発言も多く、リベラル層からは「分断を煽る存在」と批判されてきた。今回の事件とその後の発言騒動は、米国内で根深い「保守vsリベラル」の対立を象徴するものといえる。

スティーヴン・キング原作『死のロングウォーク』 より
スティーヴン・キング原作『死のロングウォーク』より 写真:Murray Close/Lionsgate

映画『死のロングウォーク』公開のタイミング

奇しくも、今回の騒動と同じタイミングで、キングの1979年のディストピア小説『死のロングウォーク』が映画化され、全米で公開された。Rotten Tomatoesでは93%の高評価を記録しており、作家本人の謝罪騒動と並行して「作品は好調、発言は炎上」という対照的な状況が展開している。

今回の騒動は、チャーリー・カーク氏の暗殺に対するリベラル系著名人の発言をめぐる一連の論争の一部でもある。米ニュース局MSNBCの政治アナリスト、マシュー・ダウド氏は「憎悪の言葉は憎悪の行動を生む」と発言し、カーク氏自身に責任があるかのように受け取られる発言をしたことで解雇されている。

またNBCとMSNBCの親会社トップ3人は社員に向けて「異なる意見に耳を傾け、敬意を持った議論を行うことが重要だ」と呼びかけた。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

【関連記事】

スポンサーリンク

類似投稿