米『ハリウッド・リポーター』の批評家が選ぶ、2024年上半期のTVシリーズ10本 ―『SHOGUN 将軍』ほか

米批評家が選ぶ2024年上半期のドラマ10本 写真: COURTESY OF PEACOCK; COURTESY OF NETFLIX; COURTESY OF HBO; ATSUSHI NISHIJIMA/HBO
米批評家が選ぶ2024年上半期のドラマ10本 写真: COURTESY OF PEACOCK; COURTESY OF NETFLIX; COURTESY OF HBO; ATSUSHI NISHIJIMA/HBO
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米『ハリウッド・リポーター』の批評家2人が、2024年上半期のお気に入りのTVシリーズを選出した。

1.『私のトナカイちゃん』(Netflix)

このドラマが描く「残酷なまでの正直さ」は、作品の中毒性を高め、同時に不穏で、時にはユーモアのある要素になっている。

原案・主演のリチャード・ガッドによるストーキングと虐待に関する描写は、誰も容赦しない。しかし、不完全な被害者だけでなく、問題を抱えた加害者にも同情を寄せている。(アンジー・ハン)

2.『私のスーパーパワー』(Hulu, Disney+)

超能力者だらけのテレビ界で、このシリーズが際立っているのは、主人公のジェン(マレッド・タイアーズ)が特殊能力を持たない珍しい大人だからだけではない。実のところ、本作は25歳の大人の青春コメディーなのだ。

シーズン2は、登場人物の心理をさらに深く掘り下げ、セクシュアリティや喪失感といった親しみやすいテーマを探求している。(ハン)

3.『Fantasmas』(HBO)

ドラマ『ロス・エスプーキーズ』のフリオ・トーレスが手がけた本作は、立ち退きを免れようとする作家の姿を描く。

しかし、ハムスターのナイトクラブや人魚のコールセンターなど、シュールな寄り道が織り込まれ、私たちの美しく、恐ろしく、奇妙な現実について訴えかけている。(ハン)

4.『God Save Texas』(HBO)

HBOのテキサス州に関する3話構成のドキュメンタリー。リチャード・リンクレイター監督の壮大な1話目『Hometown Prison』は、死刑制度とリンクレイター自身の作家としての起源を描いている。

第3話のイリアナ・ソーサによるエル・パソ国境についての考察や、第2話の石油による富の代償をテキサスの黒人がどのように支払ったかについてのアレックス・ステイプルトンの見解も一流だ。(ダニエル・フィーンバーグ)

5.『Hacks』(Max)

『Hacks』は、シーズン3で新たな高みへと舞い上がった。デボラ(ジーン・スマート)とエヴァ(ハンナ・アインバインダー)のキャラクターをキャリアの頂点へと押し上げ、2人がどれだけ進化したのか、そしてどれだけ進化することがないのかを明らかにした。(ハン)

6.『Mr. & Mrs. スミス』(Amazon)

2005年の映画版よりもはるかに豊かな内容で、ドナルド・グローヴァーとマヤ・アースキンがバカバカしさと生々しさの間を自在に行き来しながら、結婚生活の浮き沈みを描いている。

派手なアクションシーンを期待した人はがっかりしたはずだが、このシリーズは巧みな脚本、豪華なゲスト俳優陣、そして人間関係のもろさについてのリアルな洞察を提供してくれた。(フィーンバーグ)

7.『リプリー』(Netflix)

アンソニー・ミンゲラ監督の映画版とは対照的に、満たされない可能性と年を重ねた後にやって来る青春について冷静に考察している。

アンドリュー・スコットが演じる謎めいた主人公は複雑で、脇役もこれ以上ないほど素晴らしい。しかし、一番の見どころは、ロバート・エルスウィットによる目を見張るようなモノクロ撮影だ。(フィーンバーグ)

8.『SHOGUN 将軍』(FX)

今年、この豪華絢爛な大作ほど夢中になったシリーズはほとんどなかった。『ゲーム・オブ・スローンズ』さながらの手腕で、壮大なスケールと心を揺さぶる親密さのバランスを見事に保っている。

高貴で狡猾な虎長を演じる真田広之や、アンナ・サワイら一流のキャスト陣が、人間の生々しい衝動を見事に表現し、17世紀の日本の血塗られた歴史の歯車を動かしている。(ハン)

9.『絶叫パンクス レディパーツ!』(Peacock)

シーズン2は、ニダ・マンズールのコメディーがテレビ界で最も面白く、多彩な作品の1つであることを証明している。

三角関係が観たい?キャッチーな新曲が聴きたい(ノーベル賞受賞者マララ・ユスフザイのカメオ出演もあり)?2024年のロンドンで、ムスリム女性として生きることの現実を知りたい?それなら、このシリーズにお任せを。(フィーンバーグ)

10.『ようこそレクサムへ』(FX, Disney+)

ロブ・マケルヘニーとライアン・レイノルズが、ウェールズのサッカーチームを買収できるほどリッチなことを称える物語が、いつから男性の脆さについての論文になったのだろうか?

弱小チームのスポーツドラマでありながら、いかにしてこれほどまでに涙を誘う作品に進化したのか?分からない。しかし、シーズン3では作品の幅が広がり、くだらない悪ふざけ、刺激的な人物描写、愉快なメタ的洞察が盛り込まれている。(フィーンバーグ)

※初出は、米『ハリウッド・リポーター』(6月19日号)。本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌

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