タランティーノ、ロバート・レッドフォードに感謝――『パルプ・フィクション』など名作の制作秘話や10作目の展望も語る

クエンティン・タランティーノ 写真:Tristan Fewings/Getty Images
クエンティン・タランティーノ 写真:Tristan Fewings/Getty Images
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 映画監督のクエンティン・タランティーノは現地時間9月28日(日)、バーバンク国際映画祭の授賞式に出席し、ヴァンガード賞を授与された。その後、タランティーノと米『ハリウッド・リポーター』のスコット・フェインバーグによる対談が開かれ、タランティーノは9月16日に89歳で亡くなった故ロバート・レッドフォードに感謝を表した。

レッドフォードは、インディペンデント映画を対象とするサンダンス映画祭を開催し、サンダンス・インスティテュートを設立した。インディペンデント映画とクリエイター育成の分野で、レッドフォードが与えた影響は計り知れない。

タランティーノは長編デビュー作『レザボア・ドッグス』(1992年)の制作初期段階に、サンダンス映画祭のディレクターズラボに参加した。対談でこの頃のキャリアについて問われたタランティーノは、「サンダンス・インスティテュートがなければ、私たちインディペンデント映画監督は誰も今のような立場にいなかったでしょう」と語った。

タランティーノは、ディレクターズラボでテリー・ギリアムやフォルカー・シュレンドルフ、スタンリー・ドーネンから指導を受けた。「私が『レザボア・ドッグス』の最初のシーンを編集している部屋に、彼らがいるなんて!」とタランティーノは思い出を明かした。

タランティーノは「ただ僕たちにインディペンデント映画を作るチャンスを与えるためだけに、多くの人が多くのお金をかけて尽力してくれている。芸術分野でこれほど慈善的な事業があるなんて信じられなかった」と当時の思いを振り返る。その言葉に会場から拍手が沸き起こると、タランティーノは「レッドフォードさん、本当にありがとうございました」と付け加えた。

バーバンク国際映画祭に出席したクエンティン・タランティーノ 写真:Borys Kit
バーバンク国際映画祭に出席したクエンティン・タランティーノ 写真:Borys Kit

タランティーノが語る名作の制作秘話と俳優たちとの信頼関係

話題は、タランティーノ作品の制作裏話へと移る。タランティーノによれば、代表作『パルプ・フィクション』(1994年)でボクサーのブッチ役を演じるブルース・ウィリスは当初、主役で殺し屋のヴィンセント役を希望したという。タランティーノは「一度脚本を読んでほしい」とウィリスに伝え、何度も話し合いを重ねた。最終的に翌朝8時の電話で役が決定した。

フェインバーグはサミュエル・L・ジャクソンとの関係について訊ねた。タランティーノ作品におけるジャクソンは、セリフの自由度が高いことで知られている。「私がセリフを書くことは、音楽や詩、ヒップホップ、スタンダップコメディ、そして人生を書くようなものだ。だから彼がセリフを言う時、僕には音楽や詩、ヒップホップ、コメディ、リズムが聞こえる」

また、ユマ・サーマンとの関係を問われると、「私がセルジオ・レオーネ(監督)で、彼女がクリント・イーストウッド(俳優)のようだった」と西部劇にたとえて回答した。

興行的に振るわなかった『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007年)に話題が及ぶと、「当時は観客をまるで恋人のように思っていたけれど、その恋人に別れを告げられたような気分だった」と痛切な心境を明かした。タランティーノは当時、トニー・スコットスティーヴン・スピルバーグに助言と支援を求めた。

ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年)の企画段階では、本物の農園で撮影すべきかどうか、そして奴隷や奴隷所有者役を演じる俳優のメンタル面をどうケアすべきかなど、検討事項が多かったという。トラブルを避けるため、ブラジルで撮影する案も出た。しかし、黒人俳優のシドニー・ポワチエから言われた「あなたは自分の映画を恐れているようだ。それを乗り越えて立ち向かわなければならない」という言葉で決意し、アメリカ国内での撮影を決行した。

『ジャンゴ 繋がれざる者』より 写真:EW
『ジャンゴ 繋がれざる者』より 写真:EW

10作目で本当に最後?今後の展望を語る

そして話題は、タランティーノの10作目の長編映画について及んだ。フェインバーグが「本当に10作目が最後の作品になるのですか?」と尋ねると、タランティーノは「そういう計画だ。今は様子を見よう」と答えた。

タランティーノは以前「奴隷制度廃止運動家のジョン・ブラウンを題材とした長編映画を企画している」と話題になったが、その可能性は低いと述べ、スランプに陥っているという説も否定した。

バーバンク国際映画祭のガラには、タランティーノの母親コニー・マクヒュー、長年のエージェントであるマイク・シンプソン、ソニー・ピクチャーズの最高責任者トム・ロスマン、そして『レザボア・ドッグス』や『ヘイトフル・エイト』(2015年)に出演した俳優故マイケル・マドセンの息子、クリスチャン・マドセンらが参加した。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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