ダニエル・デイ=ルイス、役に没頭する“メソッド演技法”を巡りブライアン・コックスに反論――「この演技法は誤解されている」
		俳優のダニエル・デイ=ルイスは、英「ビッグイシュー」誌のインタビューにて、「メソッド演技法」をめぐってブライアン・コックスと対立した事実を明らかにした。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などの名演技で知られるデイ=ルイスは、撮影中に徹底的に役柄へ没頭するメソッド演技法のアプローチを行っている。デイ=ルイスはこの演技法を「理にかなっている」と主張し続けている。先月開催された第69回BFIロンドン映画祭でも、「カメラの前で共演者と仕事をしている時、その瞬間に心を動かされるまま自発的に行動できるよう自分を解放する方法」とこの技法を説明した。

しかし、メソッド演技法はハリウッドの一部で物議を醸している手法だ。デイ=ルイスは先日、コックスとジェレミー・ストロングによる論争に巻き込まれたとして、苦言を呈した。
ジェレミー・ストロングの演技はデイ=ルイスの影響か
ドラマシリーズ『メディア王~華麗なる一族~』(2018~2023年)でストロングと共演した際、コックスはストロングの激しい演技スタイルを「アンサンブルにとって良くない」「他のキャストの敵意を生む」と批判した。
コックスは、ストロングが『ジャック&ローズのバラード』(2005年)と『リンカーン』(2012年)でデイ=ルイスと共演した際に、メソッド演技法の影響を受けたと主張した。

これに対し、『ボクサー』(1997年)でコックスと共演したデイ=ルイスは、「私はブライアンと一度仕事をしたことがありますが、どういうわけかこの対立に巻き込まれてしまったのです。ブライアンはすばらしい演技をする優秀な俳優です。その結果、彼自身の演技論を語り続けています。それについて私と話したいのなら、いつでも応じます」と反論した。
デイ=ルイスは「ブライアンと共演した際、私が彼の演技を邪魔したことはなかったと思います。ですから、一体どこからそんな考えが出てきたのか全く分かりません」と付け加えた。
デイ=ルイスはストロングを「非常に優れた俳優です」と称賛した上で、「彼がどのように演技に取り組むのかは分かりませんが、私が責任を感じることはまったくありません」と語った。
デイ=ルイス、メソッド演技法の“核”を語る
さらにデイ=ルイスは、メソッド演技法について「誤解されている」と前置きし、持論を展開した。
デイ=ルイスは『父の祈りを』(1993年)における自身の評価を振り返り、このように語った。「観客は『彼は6ヶ月間牢獄で暮らしたんだ』と感じ、そこばかりにこだわりますが、それは些細なことで重要ではありません。すべての舞台芸術において、メソッド(方法)は目的達成のための手段と捉えられます。メソッド演技法は、共演者たちに対してキャラクターを“生きた人間”として見せるものです。それは非常にシンプルなことでしょう」
さらに「ですから、『彼はメソッド演技法を徹底したのだ』という批評には腹が立ちます。それはある種、狂気的なイメージと結びつけられるためです」と率直に明かした。
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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