Netflix『Formula1:栄光のグランプリ』S7公開後に批判の声も― オーストラリアgPが開幕

マックス・フェルスタッペン
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2025年F1シーズンの開幕戦が、メルボルンで過去最高の盛り上がりを見せている。この熱狂に先駆け、今月初頭にNetflixはF1のドキュメンタリーである人気シリーズ『Formula1:栄光のグランプリ』のシーズン7を公開。これから繰り広げられる戦いの舞台裏を、ファンに先取りで届けた。

このシリーズはF1界の重鎮たちからも高い評価を得ている。メルセデスのトト・ヴォルフ代表、マクラーレンのザク・ブラウンCEOはともに支持を表明。7度の世界王者ルイス・ハミルトンも、このドキュメンタリーがF1の世界的人気拡大に貢献していると評している。

だが、全員が手放しで喜んでいるわけではない。レッドブルF1のドライバーで4度の世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペンは、過度にドラマ化された演出に不満を示してきた。彼の父、ヨス・フェルスタッペンも同様の懸念を最近口にしている。

2019年の登場以来、『Formula1:栄光のグランプリ』はF1の舞台裏を独占的に映し出してきた。だが、そのドキュメンタリー映像は必ずしも現実を正確に伝えているわけではない。最新シーズンでは、マイアミGPでのランド・ノリス初優勝に対するフェルスタッペンの反応が物議を醸した。シリーズではフェルスタッペンが不機嫌そうに描かれていたが、実は使われた映像はオランダGPの場面で、全く別の理由で不満を示していたものだった。

この編集についてフェルスタッペン本人が言及。マイアミレース後は「マイアミでのレースは充分に楽しんでいた。怒る理由など全くなかった」と説明した。

F1人気を支える原動力となっている『Formula1:栄光のグランプリ』だが、エンターテイメント性と事実の正確さのバランスは、シーズン8の制作が進む中でも、依然としてパドック内で議論の的となっている。

オーストラリアGP予選 ― “Netflix映え”するドラマが続出

今回のオーストラリア予選は、『Formula1:栄光のグランプリ』の新シーズンにふさわしい展開の連続だった。地元ヒーローのオスカー・ピアストリは、詰めかけた観客から大歓声で迎えられた。一方、フェラーリのファンが会場を埋め尽くす光景も印象的だった。これは、今年からフェラーリに移籍したルイス・ハミルトンを追って、メルセデスから応援先を変えたファンも多いためと見られる。

だが、この日の主役はマクラーレンのランド・ノリスだった。1分15秒096という圧巻のタイムでポールポジションを獲得。チームメイトのピアストリを僅か0.1秒未満の差で上回った。現王者マックス・フェルスタッペンは3位に甘んじ、トップとは0.3秒もの差がついた。ジョージ・ラッセルはメルセデスで堅実な4位。そして日本人ドライバーの角田裕毅がレーシングブルズで5番手予選通過という快挙を達成し、パドック中を驚かせた。

フェラーリは今回苦戦を強いられた。シャルル・ルクレールは7位、ルイス・ハミルトンは8位と、マクラーレンやレッドブルのペースに遠く及ばなかった。アレックス・アルボンはウィリアムズで好調の6位。ピエール・ガスリーとカルロス・サインツがトップ10入りを果たした。

ルーキー勢では、角田のチームメイトであるアイザック・ハジャーが目覚ましい走りを見せた。Q2に進出してP11を獲得し、レッドブル顧問のヘルムート・マルコ博士からも「スーパー!」と絶賛された。ジャック・ドゥーハンもQ2まで進んだが、ハミルトンのスピンによる黄旗の影響でP14に終わった。ガブリエル・ボルトレートはベテランのヒュルケンベルグを上回るP15。苦戦が続くザウバーにとっては光明となる結果だ。

その一方で、期待通りの結果を残せなかったルーキーもいる。アンドレア・キミ・アントネッリはQ1敗退でP16と振るわなかった。ハースは小松礼雄チーム代表の下で苦しいセッションとなり、エステバン・オコンはP19、オリバー・ベアマンはギアボックストラブルで出走すらできなかった。

レッドブルのリアム・ローソンはP18に沈み、「フェルスタッペンのチームメイトにかかる呪い」は続くことになった。ニュージーランド出身のローソンは、アタックラップでマシンコントロールを失い、Q2進出を逃した。王者の隣のシートに座る「セカンドドライバー」の苦悩は、今回も変わらなかった。

一方、日本のファンにとっては喜ばしい日となった。角田裕毅が見事なP5を記録し、自身のキャリアでも最高クラスの予選結果を残したのだ。ヘルムート・マルコ博士も角田の成長ぶりを高く評価した。

角田裕毅のコメント

素晴らしい結果を残した角田裕毅は次のようにコメントした。

「最高の気分だ!こうやってシーズンをスタートできるのは、モチベーションにも繋がるし、コースのキャラクター性もそうだけど、それだけチームが今年に向けてクルマを開発してくれたということの表れだよ。だからまずはチームに感謝したい」

角田裕毅

「Q3まで行けたのは予想外だった。経験豊富なカルロス(サインツ)やアレックス(アルボン)、ピエール(ガスリー)がいたから、絶対にミスをしてはいけないとわかっていた。彼らを上回れたのは嬉しかった。予選は楽しめたよ」

「でもレッドブルに証明できた、とかは特に考えてはいないよ」

「雨のコンディションになっても、準備はしているし自信はなくはないよ。どちらの天候でも大丈夫だ」

決勝レースは現地時間15:00時(日本時間13:00)からスタート予定。天気予報では雨の可能性も示されており、開幕戦にさらなる波乱要素が加わりそうだ。

このような展開の連続は、『Formula1:栄光のグランプリ』シーズン8の制作陣にとって格好の素材となっている。新旧入り混じるF1ファンを魅了する、新たなドラマが今また始まろうとしている。

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