是枝裕和監督「怪物」カンヌ7度目のコンペ選出、2度目のパルムドールに期待

 是枝裕和監督の「怪物」(6月2日公開)が、第76回カンヌ映画祭(5月16~27日)のコンペティション部門に選出された。是枝監督にとっては昨年の韓国映画「ベイビー・ブローカー」に続く出品で、通算では7度目のコンペ出品となる。

 是枝監督は、「さすがに2年続けてはハードルが高いですよとスタッフには話していたので、連絡をいただいた時はうれしいというよりはホッとしたという気持ちの方が強かったです」と素直な思いを吐露。これまで、2018年「万引き家族」でのパルムドール(最高賞)をはじめ数々の賞を獲得しており、「映画はスタッフとキャストの一期一会の短い出会いと別れの間に生命を授かります。その産声を初めて観客の皆さんに聞いていただく場所としてカンヌ映画祭は最高の舞台」と、レッドカーペットを歩く日を心待ちにしている。 

 「怪物」は、ドラマ「東京ラブストーリー」などの脚本家・坂元裕二氏(55)とタッグを組んだオリジナル作品。大きな湖のある郊外の町で、子供たちの些細なけんかが大きな事件へと発展していく物語。先月28日に死去した坂本龍一さんが音楽を手掛け、ピアノ曲2曲を書き下ろしたほか、最後のアルバム「12」の収録曲も使用されている。

 安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太の4人が主演。「万引き家族」にも出演している安藤は、「こんなにも早くあの場所に戻れるとは思ってもいませんでした。今はまだ気持ちがフワフワしていて、少しおなかが痛いくらいです」と歓喜。永山も、「素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんの座組に私が携われたこと、改めて幸せをかみ締めてます」とコメントを寄せた。

 オーディションで抜てきされた黒川は「現場の皆さんが温かく包み込んでくださって、なんとか撮影を乗り越えることができました。是枝監督と皆で作り上げた作品を、世界中の方々に見てもらえることがとても楽しみです」、柊木も「是枝監督や共演者の皆さんと一緒に行くのが本当に楽しみです」と初の海外に心を躍らせている。日本人として今村昌平監督以来2人目となるパルムドールを射止められるか、期待は高まるばかりだ。

 また、役所広司が主演したヴィム・ベンダース監督の「パーフェクトデイズ」もコンペに出品。北野武監督の6年ぶりの新作「首」は、世界の歴史、民族、風土、生活習慣、信仰など現代社会を取り巻くテーマを描くワールドシネマにフォーカスした作品が選ばれるカンヌ・プレミア部門での上映が決まった。

写真 ©2023「怪物」製作委員会

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木 元

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