拡大するイスラエル映画ボイコット論争、パラマウントが反対声明を発表

ハリウッドの大手スタジオであるパラマウントが、イスラエルの映画会社に対するボイコット運動の拡大を受け、初めて公式声明を発表した。多くの著名な俳優や映画監督が支持を表明する中、同社はこの動きを強く非難した。
声明にはこう記されている。
「パラマウントは、物語の力が人々をつなぎ、たがいの理解を深め、私たちが共有する世界を形作る瞬間や思想、出来事を記録し続けると信じている。これこそが我々の創造的使命である。イスラエルの映画制作者をボイコットする最近の動きには賛同できない。国籍を理由に創作活動を封じることは、理解を促進することにも、平和の実現にもつながらない。世界のエンターテインメント業界は、芸術家たちが自らの物語を語り、考えを世界中の観客と共有することを奨励すべきだ。いま必要なのは交流と対話であり、その逆ではない」
映画業界の有志団体「Film Workers for Palestine」は、現地時間9月8日(月)に誓約を発表した。
その時点で署名はすでに1,300名を超えており、オリヴィア・コールマン、アヨ・エデビリ、マーク・ラファロ、リズ・アーメッド、ティルダ・スウィントン、ハビエル・バルデム、ヨルゴス・ランティモス、ジョシュ・オコナー、エマ・ストーン、エイヴァ・デュヴァーネイ、アシフ・カパディア、エマ・セリグマン、ブーツ・ライリー、ハンナ・アインバインダー、シンシア・ニクソン、アダム・マッケイ、ジョシュア・オッペンハイマーらが名を連ねていた。
その後も署名は増え続け、さらに多くのハリウッド関係者が加わっている。
誓約文にはこう記されている。
「我々映画制作者、俳優、映画業界の労働者、そして関連機関は、映画が人々の認識を形作る力を持つことを自覚している。ガザでの惨禍を多くの政府が容認しているこの緊急の事態において、我々はその無慈悲な恐怖に対する共犯関係を断ち切るために、できる限りのことをしなければならない。国際司法裁判所(ICJ)は、ガザにおいて大量虐殺のリスクが存在すること、そしてイスラエルによるパレスチナ人への占領とアパルトヘイトが不法であると判断した。すべての人に平等・正義・自由を保障することは、我々誰一人として無視できない深遠な道義的責務である」
「Film Workers for Palestine」によれば、この誓約はジョナサン・デミやマーティン・スコセッシら著名監督らが結成した「Filmmakers United Against Apartheid」から着想を得たという。同団体はかつて映画業界に対し、南アフリカにおける作品の配給を拒否するよう求めた歴史を持つ。
一方、『ガーディアン』紙に寄せた声明の中で、イスラエル製作者協会はこのボイコット誓約に反発し、強く非難した。
「この嘆願書に署名した人たちは、矛先を向ける相手を間違えている。我々イスラエルの芸術家、語り部、クリエイターは何十年にもわたり、観客がパレスチナ人の物語やイスラエル国家政策への批判を含む複雑な現実に耳を傾け、見て理解できるようにしてきた中心的な存在だ。我々はパレスチナの創作者とも協力し、数千本に及ぶ映画やテレビシリーズ、ドキュメンタリーを通じて、平和と暴力の終結を訴え続けてきたのである」
声明は次のように続いた。
「このボイコットの呼びかけは根本的に誤っている。多様な物語に声を与え、対話を育んできた我々創作者を標的にすることで、署名者たちは自らの大義を損ない、我々を黙らせようとしているのだ。この近視眼的な行為は、暴力の終結と平和の実現に向けた共同の取り組みそのものを排除しようとするものだ。我々はこれを許さず、すべての人々の利益のために、暴力を終わらせ、公正な平和をもたらす努力を続けていく」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
【関連記事】
- 【最大35%OFF】ディズニープラス料金をお得に!2025年9月割引キャンペーン活用術とおすすめ作品
- 【第77回エミー賞】ノミネート作品発表!授賞式は9月15日、U-NEXTが日本独占ライブ配信
- 戦後80年に観たい戦争映画12選|名作で振り返る日本と世界の記憶 ― 日本の名作 火垂るの墓 、アカデミー賞7冠 シンドラーのリスト ほか
- カンヌ出品作に登場するパレスチナ人ジャーナリストがガザで命を落とす
- ガル・ガドットが語る『白雪姫』の興行不振とイスラエル人としての孤独「これまで以上に複雑」