マーゴット・ロビーの出演映画10選|『バービー』から隠れた名作までを完全網羅

(左から)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)、『バービー』(2023年)に出演したマーゴット・ロビー
(左から)『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)、『バービー』(2023年)に出演したマーゴット・ロビー 写真:Mary Cybulski/Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection; 30West/Courtesy Everett Collection; Warner Bros./Courtesy Everett Collection; Jaap Buitendijk/Warner Bos./Courtesy Everett Collection
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ハリウッドを目指してオーストラリアをあとにしてから、マーゴット・ロビーが歩んできた道のりはすでに10年以上に及ぶ。その間、ロビーは観客を泣かせ、笑わせ、そして映画館に人々を呼び戻すほどの存在となった。『バービー』(2023年)が世界的な大ヒットとなったのは、その象徴的な出来事と言える。では、ロビーはいかにしてこの成功をつかんだのか。

役づくりの哲学:徹底準備で役に没入

ロビーは、メソッド演技に頼ることなく、徹底した準備によって役に没入する俳優である。フィギュアスケートを習得し、自らスタントをこなし、アクロバティックなスタントにも挑み、日々何時間ものトレーニングを重ねる。さらに役の心理を理解するために綿密なリサーチを欠かさない。

そうした努力の積み重ねが、実在の人物――たとえばトーニャ・ハーディングや故シャロン・テートを演じる際にも、また、ネリー・ラロイやケイラ・ポスピシル、そして3度にわたるハーレイ・クインの解釈といったフィクションのキャラクターを演じる際にも、真実味のある表現を生み出す原動力となっているのである。

アカデミー賞3度のノミネート

世界的な知名度を得ただけでなく、マーゴット・ロビーはすでに3度のアカデミー賞ノミネートを果たしている。2024年には『バービー』で作品賞候補となり、プロデューサーとしては初、通算3度目のノミネートを手にした。

助演でも際立つ存在感

主演作でなくとも、あるいは出番が限られている場合でも、ロビーの存在感は際立っている。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)での登場は短いながらも、観客の記憶に強く残る演技を見せた。

なお、12月19日(金)に日本公開される主演作『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』を楽しみにしている人もいるだろうが、今回のランキングの対象には惜しくも入らなかった。では、どの作品が選ばれたのか。ここからは、俳優マーゴット・ロビーの代表的な名演を振り返っていく。

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10.『ドリームランド』(2019年)

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『ドリームランド』(2019年)より 写真:Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection
『ドリームランド』(2019年)より 写真:Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection
『ドリームランド』(2019年)写真:Amazon.co.jp
『ドリームランド』写真:Prime Video

1930年代のテキサスを舞台にした映画『ドリームランド』は、ボニーとクライドを思わせる設定を持ちながらも、一味ちがった切り口を見せる作品である。今回、犯罪者となるのは女性だ。マーゴット・ロビーが演じるのは、銀行強盗で逃亡中のアリソン・ウェルズである。

彼女は『ピーキー・ブラインダーズ』(2013年~)で知られるフィン・コール演じる10代のユージーン・エヴァンスと出会う。ユージーンはアリソンに恋をし、やがて彼女の犯罪の相棒となる。2人の相性は圧倒的で、その演技をいっそうリアルにしている。

物語の終盤、アリソンの最後のシーンで、ロビーは鮮烈な存在感を放つ。ユージーンに「私を置いていかないで」と懇願する場面は劇的であり、アリソンの心情が痛切に伝わってくる。

「私はあなたを変えていない。あなた自身が、もともと望んでいた人間になっただけよ」と語るアリソン。しかしアリソン自身は、自ら何を生み出してしまったのかに気づいていない。この瞬間にこそ、ロビーがアリソンという人物に宿したカリスマ性と脆さが凝縮されており、観客が彼女の複雑な旅路を納得するための鍵となっている。

本作は2019年のトライベッカ映画祭で初上映されたが、大規模な劇場公開には至らなかった。2020年11月に限定公開されたものの、新型コロナウイルスのパンデミック最盛期と重なり、興行的には苦戦を強いられた。ロビーの力強い演技と、撮影監督のライル・ヴィンセントによる美しい撮影を思えば、もっと注目されるべき作品であったことは間違いない。

9.『死の谷間』(2015年)

『死の谷間』(2015年)より 写真:Parisa Taghizadeh/Roadside Attractions/Courtesy Everett Collection
『死の谷間』(2015年)より 写真:Parisa Taghizadeh/Roadside Attractions/Courtesy Everett Collection

マーゴット・ロビーのフィルモグラフィを語るとき、『死の谷間』はしばしば見過ごされがちな作品である。彼女のキャリア初期にあたる本作でロビーが演じるのは、核戦争後に地球最後の生存者だと信じ、家族の農場でひっそりと暮らす若き女性アンである。

ロバート・C・オブライエンの小説を原作とし、『メア・オブ・イーストタウン / ある殺人事件の真実』(2021年)でも知られるクレイグ・ゾベルが監督を務めた。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』後の“セクシーアイコン”的な役柄とは異なり、華やかさを脱ぎ捨て、純粋に演技力で勝負した初期の重要作である。登場人物はわずか3人という構成ゆえ、物語は出演者の演技そのものに大きく依存している。

共演はクリス・パイン演じるケイレブと、キウェテル・イジョフォー演じるルーミス。3人は同じ家での共同生活を模索しながら生き残ろうとするが、やがてアンをめぐる三角関係が生まれる。家族を失い孤独に耐えてきたアンは、2人の間で揺れ動きながら、自らの感情と向き合わざるを得なくなる。ロビーは、人間が本能的に求める「つながり」への欲求を、自然体で表現することに成功している。

最終的に選択を迫られる展開は、嫉妬が破壊的な結果を招き、アンを深い孤独へと導いてしまう。だがその痛みを通して、ロビーはさらに深みのある孤独感を体現する。設定自体はシンプルでありながら、ロビーはその枠を超え、全身全霊で役に向き合ったのである。

8.『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018年)

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『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018年)より 写真:Focus Features/Courtesy Everett Collection
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(2018年)より 写真:Focus Features/Courtesy Everett Collection
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』写真:Prime Video
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』写真:Prime Video

俳優にとって歴史上の人物を演じる、あるいは時代劇に挑むことは、一種の通過儀礼のようなものである。しかし、そのすべてが記憶に残るわけではない。だが、エリザベス1世(演:マーゴット・ロビー)とメアリー・スチュアート(演:シアーシャ・ローナン)の王位をめぐる対立を描いた本作において、ロビーは確かな存在感を示した。

物語の大きなクライマックスは、終盤で2人の女王が初めて対面する場面である。ロビーとローナンの演技が激しくぶつかり合い、特にロビーはエリザベスが抱えていた不安や嫉妬を鮮烈に体現している。従来の冷徹な女王像とは異なり、夫も子も持たない“非伝統的な女王”として権力を維持する苦悩を、ロビーは脆さをにじませつつ演じ切った。

外見的にもロビーは徹底して役作りに挑んだ。毎日3時間以上をかけてヘアメイクを施し、天然痘の痕を再現したうえで、白いフェイスパウダーで覆われた女王の象徴的な姿を表現している。スクリーン上での出番はローナン演じるメアリーに比べて多くはないものの、映し出されたシーンのひとつひとつが強烈な印象を残す。


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7.『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)より 写真:Andrew Cooper/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)より 写真:Andrew Cooper/Columbia Pictures/Courtesy Everett Collection
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』写真:Prime Video
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』写真:Prime Video

クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』において、マーゴット・ロビーの出演時間はけっして多くない。だが、その存在感は強い印象を残す。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)公開後、憧れの監督に自ら手紙を書いたことがきっかけで、ロビーは本作にキャストとして選ばれたという。

ロビーが演じるのは、1960年代に人気を博し、ロマン・ポランスキー監督の妻であり、妊娠中にマンソン・ファミリーによって殺害された悲劇の俳優、シャロン・テートである。しかし、映画は凄惨な事件そのものではなく、テートが持っていた魅力的な人柄や存在感に焦点を当てている。カメラがロビー演じるテートを捉えるたびに、スクリーンは明るく輝き、踊る姿や劇場で自分の出演作を楽しげに観る姿からは、幸福感がにじみ出ている。ロビーが意図したのはまさにその「幸福の体現」であった。

役作りにあたり、ロビーはテートの家族、とりわけ妹と会話を重ね、関連書籍や出演作も徹底的に調べた。撮影の日には現実の世界から意識を切り離すため、メールすら確認しなかったという。

カンヌでの上映後、ロビーのセリフの少なさが物議を醸し、タランティーノ監督は記者に「その仮説は却下だ」と返答したことも話題となった。主演のブラッド・ピットレオナルド・ディカプリオの存在感が前面に出るなかで、ロビーの役が議論を呼んだ事実は、観客を惹きつける彼女の力の大きさを物語っている。

6.『スキャンダル』(2019年)

『スキャンダル』(2019年)より 写真:Hilary Bronwyn Gayle/Lionsgate/Courtesy Everett Collection
『スキャンダル』(2019年)より 写真:Hilary Bronwyn Gayle/Lionsgate/Courtesy Everett Collection
『スキャンダル』写真:Prime Video
『スキャンダル』写真:Prime Video

#MeToo運動にインスパイアされた象徴的な映画のひとつが、ジェイ・ローチ監督による2019年の『スキャンダル』である。共演のシャーリーズ・セロンニコール・キッドマンがそれぞれ実在のニュースキャスター、メーガン・ケリーとグレッチェン・カールソンを演じたのに対し、マーゴット・ロビーが演じるのは架空のアソシエイト・プロデューサー、ケイラ・ポスピシルだ。しかし、そのキャラクターは、フォックス・ニュースのロジャー・エイルズからのハラスメントを受けたとされる実在の女性たちを投影した存在である。

本作の象徴的な場面のひとつが、ケリー、カールソン、そしてケイラの3人がエレベーターに乗り合わせるシーンだ。沈黙の中に漂うのは、声を上げられない恐怖と共有された孤立感である。また、ケイラは作品の中でもっとも衝撃的で不快感を伴うシーンを担う。

エイルズのオフィスに呼ばれ、オンエア出演の可能性についての正式な打ち合わせだと思い込んでいたところ、実際には立ち上がらされ、その場で回るように指示され、ドレスを持ち上げるよう求められる。屈辱に打ちひしがれるケイラの姿は、観客に強烈な印象を残す。さらに、同僚であり友人でもあるジェス・カー(演:ケイト・マッキノン)に真相を打ち明け、号泣する場面も忘れがたい。

ロビーがケイラという人物に吹き込んだ生々しいリアリティは、彼女に2度目のアカデミー賞ノミネートをもたらした。今度は助演女優賞へのノミネートであり、その演技の重みと説得力を裏付けるものとなったのである。

5.『バビロン』(2022年)

『バビロン』(2022年)より 写真:Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection
『バビロン』(2022年)より 写真:Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection

デイミアン・チャゼル監督の5作目となる『バビロン』は、過小評価されている作品である。本作は映画への愛を込めて、1920年代におけるサイレント映画からトーキーへの移行期を描いた大作だ。出演陣も豪華で、マーゴット・ロビーに加え、ブラッド・ピット、ジーン・スマート、ディエゴ・カルバ、トビー・マグワイアらが名を連ね、それぞれが強烈な演技を披露している。

ロビーが演じるのは、パーティ好きでスター街道を駆け上がる俳優ネリー・ラロイである。しかし、映画界の変化に順応できず、やがてパーティでの大失態をきっかけにキャリアが失墜していく。

『バビロン』は3時間半に及ぶ上映時間や過剰な演出といった理由で酷評されたが、ロビーの演技は高く評価された。特に、冒頭のエネルギッシュなダンスシーン、混沌とした蛇に噛まれる場面、そして映画撮影中に自在に涙を流す場面など、ロビーの登場シーンは作品中もっとも魅力的と言ってよい。なお、自在に涙を流す技術は、ロビーがオーストラリアのメロドラマ『ネイバーズ』で培ったものだという。

ロビー自身は、「20年後に『バビロン』が再評価され、当時の観客には届かなかったメッセージが後世に響くのではないか」と語っている

4.『バービー』(2023年)

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『バービー』(2023年)より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection
『バービー』(2023年)より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection

ブロンドで完璧、まるでバービー人形のような存在――そう、マーゴット・ロビーほどその条件にふさわしい俳優はいないだろう。もっとも、本作で主演への起用を強く後押しし、プロデューサーのみにとどまらせなかった関係者たちに賛辞を送りたい。

マテル社のプラスチック製の人形を題材にした映画は、表面的で軽薄に映る危険性があった。だが『バービー』はきわめて中身のある作品である。バービーランドを後にし、現実世界へと足を踏み入れたロビー演じるバービーは、女性が直面する障害や「完璧であれ」という非現実的な期待に気づいていく。これを象徴するのが、アメリカ・フェレーラによる記憶に残るモノローグである。

ロビーは、人間としての複雑さを抱えたバービー像を鮮やかに体現しつつ、コメディ的な軽やかさとのバランスも見事に取り、さらには肉体づくりやパーティシーンのダンスレッスンなどの徹底した準備を行った。

その結果、ロビーは主演俳優としての地位を確立した。『バービー』は世界興収14億ドル(約2,079億円)を超え、ワーナー・ブラザース史上最高の興行成績を記録したのである。もっとも、アカデミー賞では作品が8部門にノミネートされたにもかかわらず、受賞は主題歌賞のみにとどまり、ロビーが主演女優賞候補から漏れ、グレタ・ガーウィグ監督も監督賞に名を連ねなかったことは大きな話題となった。とはいえ、続編の可能性も示唆されており、期待は尽きない。

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3.『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)

(左から)マーゴット・ロビー、レオナルド・ディカプリオ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)より 写真:Mary Cybulski/Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection
(左から)マーゴット・ロビー、レオナルド・ディカプリオ、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)より 写真:Mary Cybulski/Paramount Pictures/Courtesy Everett Collection
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』写真:Amazon.co.jp
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』写真:Amazon.co.jp

マーゴット・ロビーを一躍世界に知らしめたのが、この役である。オーストラリアのメロドラマ『ネイバーズ』で注目を集めた経歴はあったが、マーティン・スコセッシ監督の2013年のブラックコメディ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』こそ、ロビーにとって初の本格的なアメリカ映画出演であった。

原作はジョーダン・ベルフォートの回顧録であり、作品はベルフォート(演:レオナルド・ディカプリオ)がつつましい株式ブローカーから強欲な億万長者へと転じ、ストラットン・オークモント社を率いるに至る過程、そしてドラッグにまみれた生活が妻ナオミ(演:マーゴット・ロビー)を含む周囲の人間関係をいかに破壊したかを描いている。

脚本のナオミの人物紹介には「史上最高のブロンド」と記され、別名「ベイ・リッジの公爵夫人」とも呼ばれるキャラクターである。オーディションでは、ロビーがディカプリオを思い切り平手打ちしたことで監督の目に留まり、賭けともいえる行動が結果的に役を勝ち取る決め手となった。

ロビー演じるナオミは、いまなおポップカルチャーに引用される数々の名セリフを残している。「私たちは友達にはならない」とジョーダンが最初の妻とまだ結婚している最中に言い放つ場面や、「ベニスってだれ? フクロウにでもなったつもり?」と浮気を疑う場面、さらには性的関係を拒絶するあの象徴的なシーンなど、観客の記憶に深く刻まれている。

一見すると夫の添え物にすぎない役柄であるが、ロビーはそこに確かな演技力を吹き込み、ドラマティックな存在へと昇華させた。終盤でナオミがジョーダンに離婚を告げ、子どもを奪われる恐怖に怯える場面は、ロビーの実力を如実に物語る。アカデミー賞初ノミネートを逃したことは驚きであり、本人が自らの演技を過小評価していたというのも信じがたい事実である。だが、この作品こそが、マーゴット・ロビーがハリウッドに「確実に居場所を得た」ことを証明したのである。

マーゴット・ロビー、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のフル正面ヌードシーンを残すことを選んだ理由について語る

2.『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021年)より 写真:Warner Bros./Courtesy Everett Collection
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』写真:Amazon.co.jp
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』写真:Prime Video

特定のコミックのキャラクターを演じるために生まれてきたかのような俳優はまれである。ヒース・レジャーのジョーカー、ロバート・ダウニー・Jr.アイアンマントム・ホランドスパイダーマン、そしてマーゴット・ロビーのハーレイ・クインである。

ロビーが演じたハーレイの3作はいずれもすばらしい。2016年の『スーサイド・スクワッド』での初登場は、ハーリーン・クインゼル博士としての過去を描く必要があった作品であり、問題点は多かったものの、クインゼル博士とジョーカー(演:ジャレッド・レト)がついに実写映画で結ばれる姿を見られたのはファンにとって大きな満足であった。続く『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(2020年)では、「犯罪界の道化王女」としての世界が広がり、共依存的な関係から抜け出し、新たに女性チームを率いる姿が描かれた。

しかし何よりも秀逸なのは、2021年の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』におけるロビーの演技である。ロビーは愉快で、爆発的なエネルギーに満ちており、ついに「ハーレイ・クイン」という存在を完全に自分のものにしたのだと感じさせる。

ジョーカーから完全に独立した姿は、予測不能な魅力を加え、観客を惹きつけてやまない。さらに本作では、ジェームズ・ガン監督が彼女のために書いた壮絶な脱出シークエンスが用意されており、ロビー自身が訓練を積んでスタントをこなし、振付はスタントチームとともに作り上げた。

ガンがDCユニバースを拡張し続けるなかで、ロビー演じるハーレイ・クインの活躍が今後も描かれることを、だれもが願わずにはいられないだろう。

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1.『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)より 写真:30West/Courtesy Everett Collection
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)より 写真:30West/Courtesy Everett Collection
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』写真:Prime Video
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』写真:Prime Video

『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』に主演し、プロデューサーも務めたことは、マーゴット・ロビーのキャリアにおける大きな転機であり、かつもっとも興味深い挑戦のひとつである。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』といった話題作で助演を務めたのち、本作では初めて映画を牽引する主演として、そして役に完全に溶け込む俳優としての力量を証明した。

ロビーが体現したのは、実在のオリンピックフィギュアスケーター、トーニャ・ハーディングである。ハーディングはキャリアの絶頂期に難易度の高いトリプルアクセルを成功させたことで知られる。映画ではその技の再現にCGが用いられたものの、ロビー自身もプロ同然の滑りを身につけるべく5か月間にわたり徹底的にトレーニングを積んだ。結婚式の前日でさえ練習を欠かさなかったというエピソードは、ロビーの役作りへの執念を物語っている。

物語は、1994年の全米フィギュアスケート選手権の会場でライバルのナンシー・ケリガンが襲撃され、膝を負傷した事件を中心に展開する。ハーディングは関与を疑われ、捜査妨害の罪を認め、全米フィギュアスケート協会から永久資格停止の処分を受けた。また映画では、母親や元夫ジェフ・ギルーリーから受けたとされる虐待の実態も描かれている。

バスルームで泣きながら鏡を見つめるロビーの場面は、まさに魔法のようである。人生を通じて「自分は十分ではない」と感じ続けてきたトーニャ・ハーディングの葛藤が、言葉を発さずとも、その瞬間に凝縮されているのだ。しかもこのシーンは、ロビー自身が即興で生み出したものである。観客にハーディングの複雑さと重圧を体感させるという点で、この選択は実に見事であった。

この演技により、ロビーは2018年の第90回アカデミー賞で初めて主演女優賞にノミネートされた。同作で共演したアリソン・ジャネイが助演女優賞を受賞したことは当然の結果であったが、ロビーがオスカーを逃した事実はいまだに惜しまれる。

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※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。

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