『ラブストーリー ジョン&キャロリン』で90年代の名曲が再ブーム!音楽スーパーバイザーが語る舞台裏
【※本記事は、『ラブストーリー ジョン&キャロリン』最終話のネタバレを含みます。】
2月に米FXで放送が開始され、日本ではディズニープラスで独占配信された『ラブストーリー ジョン&キャロリン』は、ライアン・マーフィーがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、ジョン・F・ケネディ・ジュニアとキャロリン・ベセットの恋と悲劇を描いている。
本作が今、一大ブームを巻き起こしている。ニューヨーク市内のロケ地「パンナ II ガーデン インド レストラン」や「バビーズ」といった人気店は来客が急増し、ファンたちは2人の象徴的なシーンを再現して楽しんでいる。さらには、ジョン・F・ケネディ・ジュニアのものまねコンテストまで開催された。
SNSでも熱狂が広がっており、TikTokは劇中で使用された楽曲を使用した投稿で溢れている。劇中では、レディオヘッド、ビョーク、レニー・クラヴィッツ、ステレオラブ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ダイドといった90年代の懐かしい楽曲が数多く流れる。ドラマの影響は音楽チャートにも及び、米Billboardの2月「Top TV Songs」チャートでは、本作に使用された楽曲がトップ10のうち4曲にランクインし、トップ3を独占した。
米『ハリウッド・リポーター』は、本作の音楽スーパーバイザーであるジェン・マローンにインタビューを実施。楽曲の選定方法や時代考証へのこだわり、そして最終話の感動的な音楽について聞いた。

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「懐かしさ」と「新しさ」が共鳴したサウンドトラック
――ドラマ『ラブストーリー ジョン&キャロリン』の90年代ファッションはファンから絶大な支持を受けていますが、音楽も愛されていますね。サウンドトラックへの反響をどう受け止めていますか?当初の予想を超えた反響でしたか?
ファンからの反響は、予想をはるかに上回るものでした。私自身、実際に90年代を生きてきたからこそ、自分の大好きな名曲を作品に取り入れることができ、とても嬉しかったです。放送後の反響も大きく、スタッフ全員が深い愛情を込めて作り上げたものが、視聴者にしっかり届いたと感じます。特に「音楽」が強い共感を呼んでいる点が印象的です。
音楽は、多くの人の思い出を呼び起こします。「この曲を初めて聴いたときのことを思い出した」といったメッセージも数多く届いており、音楽が確実に人々の心に届いていると実感しました。さらに、若いファンがレニー・クラヴィッツやコクトー・ツインズの楽曲に合わせて、ノリノリで踊っているのをTikTokで見ています。
――本作の音楽を追求する時、まずどの部分から取り組みましたか?何かの要素からインスピレーションを受けたのでしょうか?
まず、私が好きな90年代の楽曲をまとめたプレイリストを見直し、発売年ごとに整理しました。本作では、ジョンとキャロリンの人生を時間軸に沿って正確に描くため、時代考証を徹底しています。たとえば、1996年にリリースされた曲は、1994年が舞台となる回では使用しません。
そのうえで、幅広い人に届く普遍的なサウンドトラックを目指しました。スロウダイヴやコクトー・ツインズ、ロウといった比較的マイナーなアーティストの楽曲も取り入れつつ、グー・グー・ドールズやクランベリーズによる象徴的なヒット曲も、バランスよく盛り込んでいます。
――音楽は、本作のリアリティや雰囲気づくりにどのような影響を与えましたか?
本作は、音楽が進化し続け、新しい作品が次々と生まれた時代のストーリーを描いています。9.11アメリカ同時多発テロ事件(2001年)が起こる前の世界は、今とはまったく異なっていました。当時はインターネットが普及していなかったというだけでなく、特にニューヨークにとっては非常に特別な時代でした。本作は、その空気感を見事に捉えていると感じています。
音楽は、人をある時代や記憶へ一瞬で引き戻す強い力を持っています。90年代を忠実に再現した音楽を使用することで、ジョンとキャロリンの関係性、そして物語そのものに深みが加わりました。

――ジョンとキャロリンが実際に好んでいた音楽については、どの程度リサーチできましたか?その楽曲は作品に登場しましたか?
ジョンがクラシック・ロックを好んでいたことは分かっていたので、彼がウォークマンで音楽を聴くシーンではトム・ペティの楽曲を使用しました。これは彼のプライベートな趣味へのオマージュです。
一方、キャロリンのプライベートについての情報は、あまり残されていません。そのため、ある程度は想像で補う必要がありました。たとえば、パルプの「コモン・ピープル」を聴けば、彼女も家で踊っていたのではないでしょうか。そうした発想で曲を選ぶ作業は、とても楽しかったです。また、より普遍的な選曲にするため、特定のジャンルに偏らず、当時のヒット曲も幅広く取り入れました。
選曲の舞台裏と知られざる苦労とは?
――収録を予定していなかった曲で、入れて良かったと思う曲はありますか?
ビョークの「ヒューマン・ビヘイヴィアー」です。ビョークは自身の楽曲使用に非常に慎重で、使用許可を得るのが難しいことで知られています。この曲は第2話で使用したのですが、許可が下りるか分からない段階で選んでしまいました。完全に私の責任です(笑)。結局、許可が下りないまま締め切りが迫り、スタッフの間にも緊張感が広がっていきました。
代替案もいくつか出ましたが、私は「必ずこの曲を使える」と信じ続け、最終的に手紙を書くことにしました。本来はショーランナーや監督が交渉することが多いのですが、「私に書かせてほしい」と申し出ました。
というのも、ビョークは私にとって特別な存在だからです。私が19歳で初めて恋をした時や失恋した時、彼女の音楽が寄り添ってくれました。当時よく聴いていたのは、初期のアルバム『デビュー』(1993年)と『ポスト』(1995年)です。そうした個人的な体験を正直に手紙に綴ったところ、翌日には許可が下りたんです。
――反対に、ライセンスの関係で使用できなかった曲はありましたか?
いいえ。最終的にはすべての楽曲を使用することができました。もちろん、編集の過程でシーンの構成が変わり、楽曲を差し替えることはありましたが、ライセンス面では特に問題は起きませんでした。非常に運が良かったと思います。
――レニー・クラヴィッツの「It Ain’t Over Til It’s Over」などがネット上で大きな話題になっていますが、アーティスト本人から反応はありましたか?
アーティスト本人から直接連絡は来ていませんが、こうした反響は恐らく届いていると思います。本作をきっかけに、多くの楽曲が若い世代に届いたり、再評価されたりしているようです。90年代に育った人でも、ステレオラブを知らなかったというケースもあるでしょうし、そうした「発見」が生まれていることはとても興味深いですね。
さらに、ファッションへの影響も波及しています。作中でキャロリンがヘアバンドを購入したニューヨークの老舗薬局「C.O.Bigelow」には、同じアイテムを求めて女性客が押し寄せているそうです。
クライマックスを彩った音楽に太鼓判「多くの人の涙を誘うだろう」
――本作の大部分はジョンとキャロリンのラブストーリーを描いており、そのロマンスが音楽にも反映されています。そして最終回はより重厚な雰囲気になっています。この変化と、エンディングの音楽について、どのようにアプローチしたか教えてください(※このインタビューは最終回放送前に実施)。
最終回で使用した楽曲は2曲のみで、エンディングには作曲家ブライス・デスナーによる美しい楽曲を選びました。編集担当のジョーダン・ブレイスウェルと綿密に作業を重ね、ラストは何度も調整しました。
最終回の冒頭では、2人が再び距離を縮め、愛を取り戻そうとするシーンでエールの楽曲を使用しています。2人が再び見つけたあの特別な感覚を、ベス・ハーシュの歌声が保つ役割を果たしてくれました。
『ジョージ』誌のガラ・イベントにキャロリンが登場するシーンでは、ダイドの「ヒア・ウィズ・ミー」を使用しました。非常に象徴的な楽曲で、歌詞もあのシーンにぴったりです。ジョーダンとこのシーンについて話し合い、この楽曲を付けてみたところ、まさに完璧でした。誰もが知る美しい楽曲であり、2人が再び惹かれ合う喜びと、これから起こる出来事を知っているからこその切なさ、その両方を同時に感じさせてくれます。
この2曲はまったく性質の異なるものですが、どちらも特別な意味を持っています。エールの曲は知らない人もいるかもしれませんが、ダイドの曲は多くの人にとって馴染み深いでしょう。エールのアルバム『ムーン・サファリ』(1998年)は、時代を超えて愛され続ける名盤です。

――本作全体を振り返って、特に音楽と映像が見事に調和したと思ったシーンはありますか?
パイロット版で、2人が初めて出会うシーンがとても印象に残っています。ピーター・ガブリエルからケイト・ブッシュへと楽曲が切り替わる流れは、本当にすばらしかったです。あのシーンでは、楽曲をBGMのように使用しました。観客は2人の美しい雰囲気に釘付けになってしまうような演出で、まるで『ロミオとジュリエット』へのオマージュのようでした。
本作全体の音楽面は、ブリーダーズ、ザ・ストーン・ローゼズ、プライマル・スクリームによってブリットポップの時代感を表した後、ブラインド・メロンやマドンナでポップへ回帰し、さらにポーティスヘッドなどで90年代のトリップホップへ展開しています。第4話で流れるSTEREO MC’Sの「Connected」は、その象徴的な選曲です。
結婚式のエピソードも、さまざまな意味で特別な回でした。このエピソードでは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやニーナ・シモンといったアーティストも掘り下げることができました。90年代の枠からはやや外れますが、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドはニューヨークを象徴する存在であり、切り離すことはできません。
レディオヘッドを使用したシーンも気に入っています。結婚式のシーンではBGMのように流しましたが、「今、私たちは永遠の安らぎの中で一つになる」という歌詞が非常に効果的で、この後に訪れる悲しみを予感させるものになりました。
最終回で使用したダイドの楽曲については、特に大きな手応えを感じています。きっと多くの人の涙を誘うシーンになったでしょう。
『ラブストーリー ジョン&キャロリン』はディズニープラスで全話独占配信中。

※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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