オーディオエンタメサービス「Audible」、日本市場で次なる成長フェーズへ!逢阪志麻氏&宮川もとみ氏が語る「聴く読書」の未来と韓国ドラマ進出の狙い【インタビュー】
Amazonが展開するオーディオエンターテインメントサービス「Audible(オーディブル)」が、日本市場で新たな成長フェーズに突入している。今回、ハリウッド・リポーター・ジャパンは、Audibleカントリーマネージャーの逢阪志麻氏と、ヘッド・オブ・コンテンツ・ジャパンのキーリング・宮川もとみ氏にインタビューを実施した。
日本サービス開始から11年目を迎えたAudibleは5月28日、都内でプレス発表会を開催。「聴きたいに応えるラインナップ強化」「新ジャンル開拓による利用層拡大」「リアル体験を通じた認知拡大と利用促進」の3つを軸とした2026年の戦略を発表。韓国ドラマ『天国の階段』のオーディオドラマ化や、人気作家によるオーディオファースト作品の拡充など、新たな取り組みも明らかにされた。

ハリウッド・リポーター・ジャパンは発表会後、Audibleカントリーマネージャーの逢阪志麻氏と、ヘッド・オブ・コンテンツ・ジャパンのキーリング・宮川もとみ氏にインタビューを実施。日本市場の現状から、韓国コンテンツ参入の背景、そして「聴く読書」が切り開く未来について話を聞いた。
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「オーディオブックって何ですか?」から始まった日本市場
現在ではテレビCMや駅広告などでも見かけるようになったAudible。しかし日本でサービスを開始した当初は、オーディオブックそのものの認知度がほとんどなかったという。「11年前に日本でAudibleをローンチした頃は、『オーディオブックって何ですか?』という状態でした」そう振り返るのは逢阪氏だ。
現在では「Audible」というブランド名そのものは広く認知されるようになった。しかし、逢阪氏は次の課題についてこう語る。
「今は『名前は知っている』『聞いたことはある』という方が増えています。ただ、その一方で実際に体験したことがない方もまだまだ多いんです。次のフェーズは、その方々に実際に体験していただくことだと思っています」

逢阪氏によれば、「聴く読書」という体験は言葉だけでは伝わりにくいという。「体験してみると、『こういうことだったのか』と感じていただけるんです。通勤中に聴く方もいれば、家事中の方もいるし、散歩中の方もいる。自分の生活にどうフィットするかは、人によって全く違います」
紙の本、電子書籍、そしてオーディオブック。逢阪氏は、それらが競合するのではなく共存する未来を描いている。「紙で読む、電子で読む、そしてオーディオブックで聴く。その3つが当たり前の選択肢として並ぶ世界にしていきたいと思っています」

「家を建てながら小説を聴いていた」――印象に残ったユーザーの声
今回の発表会では、ゲストとして登壇した作家や評論家たちが、それぞれのAudible体験を語った。その中で逢阪氏が特に印象的だったと振り返るのが、小説家・染井為人氏によるエピソードだ。染井氏の義兄は大工として働いているが、活字で本を読むことが苦手だったという。しかしAudibleを利用するようになり、仕事中に染井氏の作品を次々と聴いていたそうだ。「『家を建てながら全部聴いた』というお話があったんです。私はその話を聞いて、本当に素敵だなと思いました」
宮川氏もそのエピソードに強く共感したという。「何もしていなかった時間が、物語や知識に触れる時間になる。それがAudibleの価値だと思っています。移動中や家事の時間など、これまで読書が難しかった時間が豊かな時間になるんです」
さらに発表会では、文芸評論家の三宅香帆氏が「Audibleを夫婦でドライブ中に聴くことで会話が増えた」という知人のエピソードも紹介した。オーディオブックは単なる読書体験ではなく、人と人とのコミュニケーションを生み出すツールにもなりつつある。

左からキーリング・宮川もとみ氏、文芸評論家の三宅香帆氏、俳優の桐谷健太氏、小説家の染井為人氏、逢阪志麻氏
韓国ドラマ『天国の階段』をオーディオドラマ化した理由
2026年の目玉施策の一つが、新ジャンル・韓国コンテンツの投入。その第一弾が、韓国ドラマ『天国の階段』のオーディオドラマ化だ。これまでのAudibleは小説やビジネス書を中心としたサービスというイメージが強かった。しかし今回の作品では、マルチキャストによる朗読に加え、音楽や効果音も積極的に活用している。
宮川氏はその理由をこう説明する。「韓国ドラマには象徴的なテーマソングやBGMがあります。『天国の階段』を思い出す時、多くの方は音楽も一緒に思い出すと思うのです」今回のオーディオドラマでは、TOMORROW X TOGETHERのテヒョンが主題歌『逢いたい』を日本語で歌唱する。
「Audibleは音で想像力をかき立てるサービスです。その世界観に没入するためには音楽も重要な要素だと考えました」
一方で、韓国コンテンツ進出にはマーケティング的な狙いもある。「韓国コンテンツは日本でも幅広い世代に支持されています。ただ、そのファンの方々は必ずしもオーディオブックユーザーではありません。だからこそ、新しいお客様と出会うきっかけになると考えています」
日本独自の“声優文化”が大きな武器
宮川氏が日本ならではの特徴として挙げるのが「声優文化」だ。「日本では『この声優さんが読んでいるなら聴いてみたい』というニーズが本当に強いんです」
作品ごとにキャスティング方法は異なる。作家本人から希望が出ることもあれば、出版社から提案を受けることもある。オーディションを行うケースも少なくない。「一番大事なのは、その作品の世界観を誰の声で届けるのが最も魅力的かということです」
方言が重要な作品では、その土地出身の俳優を起用することもあるという。「長崎弁なら長崎出身の方、関西弁なら関西出身の方をお願いすることもあります」
声が作品の世界を作る。オーディオコンテンツならではの制作哲学がそこにある。

Audibleだから生まれる“オーディオファースト作品”
近年Audibleが特に力を入れているのが「オーディオファースト作品」だ。これは最初に音声で届けられることを前提に制作されるAudibleオリジナル作品である。発表会では、中山七里による『火と話す男』や、三宅香帆による『没頭する力』などの新作が発表された。
逢阪氏はオーディオファースト作品について、「Audibleならではの可能性を示す挑戦」と表現する。「音声から始まる物語って何だろう。音だからこそ成立するストーリーとは何だろう。そこを作家の皆さんと一緒に模索していくことがとても面白いんです」
宮川氏もまた、音声コンテンツの未来に大きな可能性を感じている。「日本には、音だけでクリエーションすることに興味を持ってくださる作家やクリエイターがたくさんいます。オーディオエンターテインメントはまだまだ進化していくと思っています」

「まずは一度体験してほしい」
最後に、まだAudibleを利用したことがない人へメッセージを求めた。逢阪氏はこう語る。「忙しい毎日の中でも、耳が空いている時間は意外とあります。その時間を少しでも豊かにするお手伝いができたら嬉しいです。まずは気軽に体験していただきたいですね」
宮川氏も「11年かけて作品数は本当に増えました。きっと誰にでも興味を持てる作品があると思います。今まで手に取らなかったジャンルとの出会いもあるはずです」と語ってくれた。
紙でもない、電子でもない。“聴く読書”という第三の選択肢は、いま確実に日本の読書文化の中に根を下ろし始めている。

Audible(オーディブル)について
Amazonオーディブル(Audible)は、プレミアム音声コンテンツの制作・配信をリードし、お客様の日々の暮らしをより豊かに彩る、新しい体験を提供しています。プロのナレーターや俳優、声優が読み上げる豊富なオーディオブック、ポッドキャスト、Audibleオリジナル作品など、全カタログ90万以上の作品を取り揃えています。Audibleは、180以上の国と地域で、50以上の言語によるコンテンツを通じて、世界中の何百万人の会員にサービスを提供しています。会員は年間約60億時間分のコンテンツをダウンロードし、さまざまな対応デバイスで“聴く読書”をお楽しみいただいています。
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