『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』シーズン2完結!主演ノア・ワイリーが語る、過酷な医療現場と“命の重み”、シーズン3の構想
【※本記事は『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』シーズン2最終話のネタバレを含みます。】
U-NEXTで配信中の人気医療ドラマ、『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』シーズン2がついにフィナーレを迎えた。本作の主演ノア・ワイリーは、脚本・演出・エグゼクティブプロデューサーも務めている。
ワイリーは米『ハリウッド・リポーター』のインタビューで、最終回の“重要シーン”の意味や、制作に大きな影響を与えた出来事、そしてシーズン3に向けた展望を語った。
ノア・ワイリーが語る、『ザ・ピット』S2の重いテーマと責任
シーズン2の最終回では、ジャック・アボット医師(演:ショーン・ハトシー)とマイケル・“ロビー”・ロビナヴィッチ医師(演:ノア・ワイリー)が、それぞれが抱えるメンタルの問題について語り合う。同僚であり親友でもある2人が、自殺というテーマについて向き合うのは、これが初めてではない。このテーマは、シリーズの冒頭から登場する。
シーズン1の第1話で、屋上でアボットを見つけたロビーは、「勤務中に飛び降りるなんて失礼だ」と冗談めかして声をかける。そして、シーズン1の後半では立場が逆転。屋上で「スタッフを失望させてしまった」と涙ながらに語るロビーを、アボットが励ます。
シーズン1のラストでは、ロビーとアボットが2人そろって病院を後にする。しかしワイリーによれば、この屋上のシーンこそ、シーズン2でロビーが自殺願望を抱く“種”になったという。
「もしアボットが戻ってこなかったら?シーズン1のラストで、彼がロビーを引き止めなかったら、その後どうなっていたでしょうか?あの朝のロビーは、アボットよりずっと崖っぷちに立っていました。シーズン2で彼が『消えてしまいたい』と考えるようになるのは、あの出来事がきっかけだと思います」

こうした流れを踏まえ、シーズン2ではロビーの精神的な問題に焦点が当てられた。それを描くために、ワイリーは「責任あるストーリーテリング」を重視したという。
「多くの人が頼りにしている人物が、実は最も追い詰められているとしたら、その人は誰に頼ればいいのでしょうか?誰もが彼を“有能なリーダー”として見上げている状況で、まだ全てを理解できていないと、彼は誰かに打ち明けられるでしょうか?だからこそ、『助ける人を誰が助けるのか』というテーマが重要でした」
さらにワイリーは、もう一つのテーマも明かす。「『医師は良い患者にはなれない』という点も大きなテーマでした。リーダーという立場の孤独感は、いわば二重の仮面をつけているような感覚です。これは非常に興味深く、掘り下げる価値のある問題でした」
リアルな医療現場を映し出す――ドラマに影響した“ある出来事”とは
アメリカ救急医学会の報告によると、毎年およそ300〜400人の医師が自殺で命を落としている。アメリカ医師会も、「医師は一般人と比べて、自殺や自殺願望を抱くリスクが高い」と指摘している。ワイリーもこの事実を把握しており、「例外的なケースではなく、実際に起きている問題です」と認めた。
『ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室』の制作チームは、シーズン2の撮影中盤で、その現実に直面することになった。監督が知人から、実際に知り合いの医師が亡くなった話を聞いたのだ。「ある病院にロビーのような存在の医師がいたが、自ら命を絶ってしまった。コロナ禍で多くの人を救ったすばらしい人物だった」とワイリーは語った。
その後、ワイリーをはじめとするキャストは、病院のスタッフに向けてメッセージ動画を送り、思いを伝えた。これは、彼らが描く物語の重要性をより強く意識させる出来事となった。
「この出来事によって、私は『もしロビーが本当に事に及んでしまったら』と考えるようになりました。もしそうなれば、非常に悲痛な結果になるでしょう。だからこそ、このテーマを徹底的に掘り下げ、議論するべきだと感じたんです」
しかしワイリーにとって、濃い影を抱えたロビーを演じることは容易ではなかった。「撮影現場では、前日と同じ感情を作ってから、演技を始めなければなりませんでした。毎日12時間、非常に不快な精神状態が続きました」
また、シーズン全体を通じてロビーの精神面を徐々に描き出すため、「細い筆で描くような繊細さ」を意識したという。
「情報を出しすぎたり、反対に不足したりしないよう、バランスを常に意識していました。最も懸念していたのは、視聴者に無駄を感じさせてしまうことでした。各話で情報を出しすぎると、目の肥えた視聴者は『もうお腹いっぱい』と感じてしまいます」
さらに、最終回で描かれる身元不明の赤ん坊(通称「ジェーン・ドウ」)について、ワイリーはこのように語った。
「無垢な、そして見捨てられた命を描いた結末は、このシーズンにふさわしいものでした。返事も反応もしない赤ん坊に、自らの暗い秘密を打ち明けることは、ロビーにとって聖域のようなものだったのです」

また、シーズン1で彼が精神に混乱をきたし、コロナ禍でアダムソン医師の死を見届けた部屋について、ワイリーは「あの部屋には、ロビーの“亡霊”が皆そろっているんです」と説明した。
シーズン3の行方は?小さな現場から大きな“人間ドラマ”を描く
そして話題はシーズン3の展望に及んだが、ワイリーはその詳細を語らなかった。脚本家チームはまだストーリーを構想中で、ワイリー自身もまだ把握していない部分が多いのだという。ロビーが予定しているバイク旅行に出かけるのか、また休暇がどれくらい続くのかについても、「まだ検討中」だ。
ただしロビーの今後について、ワイリーは自身の見解を明かした。「より良い世界を見たい、人から愛されたいと彼が願うのなら、自分から歩み寄らなければなりません。彼はすでにそのことを理解しています。そんなロビーをどう描くべきか、私たちは模索している最中です」

脚本の方針については、引き続き焦点を絞り、各キャラクターを中心に描く予定だという。
「作品への反響が大きくなるほど、スケールを拡大したくなる思いはあります。しかしそれに抗うことが、製作陣たちの“合言葉”のようになっています。本作は、ごく小さなコミュニティが、同じく小さなコミュニティをケアする物語です。その中で、より大きな社会問題を映し出しています。そのため、“現場のキャラクターたちの日常”に焦点を絞ることで、物語はより具体的で正確なものになります。まず身近にあるものを描き、そこから外へと展開させていく方が、よりリアルに感じられるのです」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。
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