【カンヌ国際映画祭2026】是枝裕和監督の新作『箱の中の羊』がコンペでお披露目「最高の舞台で上映を行うことができた」
是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』が16日、第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で公式上映された。
澄み切った青空の下、最初にレッドカーペットセレモニーに姿を見せたのは是枝裕和監督と子役の桒木里夢。2018年『万引き家族』でのパルムドール(最高賞)をはじめコンペは8度目(出品は10度目)と“カンヌの顔”の1人となった是枝監督は、「ここは慣れるような場所ではないので、いつも1回目みたいな感じです」と謙そんしつつ、世界各国からのプレスやファンからの呼びかけに、笑顔で応えた。
ⓒKazuko Wakayama
ⓒKazuko Wakayama- ⓒKazuko Wakayama
初体験の桒木里夢も、是枝監督に導かれて堂々の振る舞い。この日が10歳の誕生日で、会場のBGMが「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」に切り替わる粋な演出もあり、「歩いてみて笑顔しかなかったです。来られて良かったです」と満面の笑みを浮かべた。
続いて到着したのは、夫婦役でダブル主演の綾瀬はるかとお笑いコンビ「千鳥」の大悟。グッチのタキシードという正装で、先に車から降りた大悟が続く綾瀬に手を差しのべる。今月11日の完成披露試写会で、緊張しているかどうかを計る指標としていたエスコートをそつなくこなし、2人で沿道のファンにサインをするなどサービスに努めた。

是枝監督の8年ぶりのオリジナル脚本で、息子を亡くした夫婦が、亡き息子と同じ容姿のヒューマノイドを迎え入れたことから、互いに秘めていた思いが徐々にあふれ家族のあるべき姿を模索していく物語。2,300人の観客から割れんばかりの拍手で迎えられた上映は、大悟のセリフに何度も笑いが起き、涙を流す観客の姿も見られた。
エンドロールが始まった途端にスタンディングオベーションが沸き起こり、9分を過ぎたあたりで是枝監督が制止を促すような場面も。そして、キャストたちと握手を交わし、安どの表情でマイクを握って「こんなにたくさんの拍手を本当にありがとうございました。作品を一緒に作ったスタッフ、キャストと一緒にまたこの場に戻ってくることができて本当に幸せです。本当に最高の舞台で上映を行うことができました。こんなにたくさんの映画を愛してくれる方に囲まれて、とてもいい1日になりました」と喜びをかみしめた。
4人は上映後、日本プレスの取材に対応。是枝監督は改めて「周りの人がどういう感じで見ているのかなと思って見ていましたが、かなり最後まで集中して見てくれているのが伝わってきたのでホッとした。ここにまた皆で来られたことを喜びたいなと思っています」と話した。
綾瀬は、「『ここで笑いが起こるんだ』とか、反応が日本の方とは違って凄く新鮮でした。それも含めて一緒に体感できたのがとても面白かったです」と笑顔。大悟のエスコートについては、「ちゃんと律儀にやってくださって、ちょっと面白いなと思いつつありがたかったです」とほほ笑んだ。

大悟も、「当然初めてだったので、凄くびっくりしたのと、うれしいというか、いい経験をさせていただきました。わしのことを何者だと思っているのか分からないですけれども、うれしそうな顔でこっちを見てくれていたので、良かったなという感じですね」といたって真面目な感想。ただ、スタンディングオベーションについては「10分近く拍手をしたこともないし、されたこともない。『もうそろそろ…』と止めている人も初めて見ましたし、そんな監督にビックリしました。もらえるなら、もろうとけばいいのに」と暴露し、笑わせた。

2001年以来、25年ぶりに日本人監督の作品が3本コンペに入選したことについて聞かれた是枝監督は、「若い世代がたくさん入ってきている広がりに、心躍る感じがします。刺激や勉強になります。一時、こういう循環が止まっていた時期が長かったから、とてもバランスが良くなった」と評価。さらに、「これが10年先につながって、また次の世代が来られるような環境が作れると良いと思います」と期待を寄せた。
授賞式は23日に行われる。是枝監督が日本人2人目、史上10人(組)目となる2度目のパルムドールを手にするか、期待が高まる。
映画『箱の中の羊』は、2026年5月29日より全国で公開される。

記事:The Hollywood Reporter Japan 特派員 鈴木元
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