イタリアの映画祭でマレーシア語作品『Abang Adik(原題)』が最高賞、生涯功労賞に倍賞千恵子
30日、イタリア北部の街ウーディネで毎年開催される“ファーイースト映画祭”(=FEFF)が閉幕した。最高賞に輝いたのはジン・オン監督の長編映画デビュー作『Abang Adik(原題)』で、東南アジアの映画作品として史上初めての快挙を成し遂げた。
『Abang Adik(原題)』はトップの観客賞に加え、批評家賞と最優秀デビュー作品賞も獲得。オン監督はマレーシアの音楽・映画・テレビ業界で長年活躍。これまで『分貝人生』(2017)、『ミス・アンディ』(2020)といった作品のプロデュースを手掛けてきた。監督・脚本家デビューを果たした『Abang Adik(原題)』は、クアラルンプールで貧しい生活を送る孤児のAbangとAdiとその兄弟たちの姿を描き、とある悲惨な出来事がきっかけとなり兄弟の関係性に亀裂が走じてしまうという物語だ。
今年で25周年の節目を迎えたファーイースト映画祭。会場には、アジアの映画作品を称えるため6万人ものゲストが駆け付け、14か国から全78作がプレミア上映された。
その他、観客賞の2位に韓国のチャン・ハンジュン監督『Rebound(英題)』、第3位には日本の鈴木雅之監督『湯道』が輝いた。また、香港のドラマ作品『流水落花』(カー・シンフォン監督)が審査員特別賞を獲得、脚本賞は台湾の『本日公休』(フー・ティエンユー監督)に渡った。さらに、イタリアの映画ファンのプラットフォーム“MYmovies”のユーザーが選ぶ“パープル・マルベリー・アワード”には、モンゴルのコメディー『セールス・ガールの考現学』(ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督)が選出された。
そして60年以上のキャリアを誇る日本のレジェンド俳優、倍賞千恵子が生涯功労賞を授与された。授賞式に出席した倍賞はエレガントなチュールドレスに身を包み、即興の歌で観客に感謝を述べた。これまで山田洋次監督の「寅さん」シリーズに出演、宮崎駿監督『ハウルの動く城』では主人公ソフィーの声優を務めた。昨年は『PLAN 75』(早川千絵監督)での演技が絶賛され、同作はカンヌ映画祭で“ある視点部門”に出品された。
映画祭のディレクター、サブリナ・バラチェッティ氏とトーマス・ベルタッケ氏は共同で以下の声明を発表した。「今年は(コロナ禍による)制限もなく、25周年を迎えられたことを非常に嬉しく思います。今回のポジティブな流れを汲み、我々は様々な組織を招待する必要性を感じています。今日までの歩みを考えると、映画祭には成長を続ける作品のポテンシャルを見出すという価値があります。東洋と西洋をつなぐ中心地となるためにも、公共団体が映画祭に資金援助する体制は整っているでしょうか?FEFFの未来は、主要な国際映画祭として数えられるものになっているでしょうか?果たして、20年に渡り構築してきたネットワークはさらに幅を広げることができるでしょうか?」
※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌