第76回トニー賞:『パレード』の演出家マイケル・アーデンがユダヤ系、LGBTQコミュニティーへのサポートを示す「ともに戦い、勝ちましょう」
『パレード』の演出家マイケル・アーデンが日曜日、第76回トニー賞でミュージカル演出賞を獲得した。受賞スピーチでは、アメリカ国内に広がる白人至上主義や反ユダヤ主義について言及し、会場は喝采に包まれた。
アーデンはスピーチを『パレード』の制作陣に捧げたあと、20世紀初頭のジョージア州に生きるユダヤ人男性と工場労働者の姿を描いた同作のテーマについて語り出した。
「『パレード』は、ある集団に属する人々がその他の人々よりも価値がある、という信念のもとで短く削られてしまう命の物語です。この信念は、まさに反ユダヤ主義、白人至上主義、ホモフォビア、トランスフォビアといったあらゆる不寛容の根源になっています。私たちは団結しなければならない」
そして「一緒に戦う必要がある。(さもなくば)恐ろしい歴史を繰り返すことになるだろう」と続け、各州で反トランス的な法案が続出するなか、LGBTQコミュニティーに向けてメッセージを伝えた。
「美しいトランス、ノンバイナリーのクィアな若者たちへ。クィアでいることは、あなたを美しくパワフルにします。この会場にいる皆は、あなたの存在を必要としています。そして私たちは、ともに戦い勝利を収めるでしょう。声を上げ、あらゆる不寛容に対し立ち向かい続けてください。互いを愛し、鼓舞し、守り合いましょう。これからも挑戦的なアートを生み出し、毎回票を投じてください」
『パレード』(作: アルフレッド・ウーリー)は、レオ・フランクの実話をミュージカル化した作品。アトランタの鉛筆工場の工場長フランクは、工場で働いていた13歳の少女を強姦・殺害した罪で有罪に。その後、フランクは1915年に刑務所から誘拐され、集団リンチの末死亡した。死後ジョージア州は彼を特赦し、有罪判決は反ユダヤ主義に駆り立てられた虚偽の証言に基づいたものだと認識されている。
授賞式前には、ネオナチ団体“国家社会主義運動”(NSM)のメンバーが会場の外で反ユダヤ的な抗議の声を上げた。同ミュージカルのプロデューサーは声明で「まさに今この物語を語ることの緊急性について少しでも疑問が残るなら、昨夜の非道徳的な行いを葬るべきです」と述べた。「毎夜、この必要不可欠な物語に命を吹き込んでくれた勇敢なキャストを守ります」
さらに、同作に出演するミカエラ・ダイアモンドとベン・プラットも反応。プラットは自身のインスタグラムで「本当に醜悪でおぞましい。しかし同時に、なぜ今作を語るのか、いかにアートが特別でパワフルなものなのか、ということについて思い出させてくれます。この物語を語り、レオのレガシーを存続させることができて感謝の気持ちでいっぱいです」と綴った。
※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌