【THRJ独占インタビュー】ノーマン・リーダス、『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』について語る(前半)
国内外で大人気のドラマシリーズ『ウォーキング・デッド』でダリル・ディクソンを演じるノーマン・リーダスがこの春、日本のファンたちの期待に応え来日。大阪コミコン 2024にて、日本で開催されるコミコン初参戦を果たしたノーマンは週末、日本のファンの大歓迎を受けた。
そんな中、『ザ・ハリウッドリポーター・ジャパン』はノーマン・リーダスに独占インタビューをする機会に恵まれた。当日、ノーマンはスタジオに颯爽と登場し、その場にいた一人ひとりと握手。多忙なスケジュールのなか、フレンドリーな人柄で丁寧に対応する姿は、まさに世界中のファンを魅了するスターそのものだった。
以下、『ウォーキング・デッド』でのシーズンを通した経験から、スピンオフシリーズ『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』の撮影裏話までたっぷりと語ってくれた。
『ウォーキング・デッド』ダリル・ディクソンと自身の成長
——— 役作りにおいて、今まで最も大変だったキャラクターは誰ですか?
おそらくダリル・ディクソンだね。なぜ大変だったかというと、フランク・ダラボンとAMCの大ファンで、特に『ブレイキング・バッド』や『マッドメン』のようなドラマが好きだった。だから、この役を演じることにすごく緊張した。
共演者たちは、ジョン・バーンサル、アンドリュー・リンカーン、サラ(・ウェイン・キャリーズ)など、すでにプレスイベントで親密な関係を築いていた。最初のシーンで、私のキャラクターの兄(メルル・ディクソン)が鎖でつながれていると聞かされた時、ものすごいプレッシャーを感じたよ。
当時を振り返ると、他の俳優たちに見つめられ、まるでジャッジされているように感じていたと思う。そこで、ダリルを「警戒心が強く、他人を寄せ付けない性格」で演じることにしたんだ。彼らと関わりたくないというような感じで。そうしたら、彼らもそれに応えてくれた。この関係性が、最終的にキャラクターを形作ることになったんだ。
そして、このドラマに出演した15、16年の間に、ダリルは人と関わりたがらない性格から、シーズン6あたりで人と直接向き合えるキャラクターに成長した。当初、このキャラクターは、兄のように人種差別主義者で泥棒として描かれていた。でも、私はライターに、この部分を変更してもいいか尋ねたんだ。自分には合わないと感じたからね。
この変更により、ダリルが「問題を抱えた青年」から、「正しいことのために立ち上がる成熟した人物」へと成長する過程を歩むことができた。
ダリルを演じることは、私にとって今まで経験したことのない挑戦だったけど、それと同時に個人的にも俳優としても成長する機会を与えてくれた。
キャラクターの成長は、自分自身の人生と重なっていて、スクリーンの中でも外でも成熟することができた。そういう意味で、おそらくダリルの役作りが一番大変だったのかもしれない。
——– スピンオフシリーズ『ダリル・ディクソン』ではさらなるキャラクターの成長を感じましたか?
ああ、そうだね。メリッサ(・マクブライド)と僕にそのスピンオフの話が来て、フランスというロケーションを提案されたんだ。田舎者2人をフランスに放り込むというのは、かなり奇抜な発想だった。僕はすぐにイエスと言ったし、メリッサもそうだった。
そして、約3週間後、『ウォーキング・デッド』のメインシリーズが終了すると発表されて、少しプレッシャーがかかったよ。僕たちはいつも、任務に行って、グループのもとに戻ってくるものだと思っていたから、終わるとは予想していなかった。
The Walking Dead: Daryl Dixon: The Book of Carol Sets Tribeca Debut https://t.co/P3ZvOZCzqi
— norman reedus (@wwwbigbaldhead) April 18, 2024
スピンオフでのキャラクターの成長という点では、ダリルが周りで生き死にした人々から学んだことを活かすことに重点を置いてきた。彼らはダリルに貴重な教訓を与えてくれたんだ。それがキャラクターの成長に大きく関わっている。
以前は、状況が白熱して誰かと目を合わせたら、それはトラブルの合図だった。殴り合いになったり、決裂を意味したりしていたんだ。スピンオフでは、「こういう状況でハーシェルやリックならどうするだろう」と考えるようにしている。シリーズで本当の家族になった人たちから学んでいるんだ。
血で繋がった家族の“蜘蛛の巣”を払い、自分の責任を受け入れるところまで来た。このドラマは、様々な状況で自分が何者なのか、何のために戦う覚悟があるのか、いつ立ち去るべきなのかを問いかけてくる。以前のダリルは、誰とでも戦っただろうが、今では時には立ち去ったり、状況を和らげたりする。これはリックやグレン、ハーシェルのようなキャラクターの行動を反映している。彼らはダリルを冷静で成熟したバージョンにしてくれた。以前の狂人から進化したんだ。そういう風に成長したよ。
『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』フランスでの新しい出会い
——– 『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』では、フランスの新天地で多くの新しいキャラクターと出会います。 彼らに、以前のシーズンでの経験や教訓を教えましたか?もしくは、彼らから新しいことを学んだのでしょうか?
ああ、そうだね。お互いに学び合うということが多かった。このシリーズでは、ダリルのキャラクターとは正反対な少年のローランが登場する。だんだんとそのキャラクターに惹かれていったんだ。
ダリルは「この子は特別だ」と思うようになる。神から送られた存在でも、魔法の力を持っているわけでもない。でも、“特別な何か”を持っている。彼は洗練されていた。芸術に生きていて、ダリルは知らないような世界にいるんだ。だから、ダリルもローランから学ぶことが多かった。
私はこの番組のプロデューサーを務めていて、俳優と読み合わせをしたり、キャスティングをしたりしている。作中だけでなく、そのときも面白かった。多くの子役がオーディションに参加したんだけど、みんな“ザ・俳優”みたいな子たちだった。僕自身ですら、俳優らしい俳優じゃないのにね(笑)
その中で一人、長い髪をしていて、ルネサンス時代からやって来たみたいな子がいたんだ。芸術や写真の話をしながら壁の彼方を見つめていて、すぐに「この子は違う」と思ったよ。ローランというキャラクターにぴったりだと思った。
でも面接が終わると、彼の父親が「オーディションをきっと台無しにしたんだろう」って言ったんだ。僕は「いや、上手くやれていたよ」って伝えたんだけど、「そうかな、絶対失敗しただろう」って。その時、「この子を守らなくては」と思った。ダリルも少年を守りたがっているんだから「この子こそがぴったりだ」ってね。
そして、ルイ(・ピューチ・シグリウッツィ)と僕は撮影を通して友達になった。ドラマを超えた関係性を築いていった。彼が僕からの影響を受けたように、私も彼から影響を受けていたよ。
また、イザベル役のクレマンス(・ポエジー)はとっても落ち着いていた。物静かで、興奮したりしない。彼女と仕事をするのも面白い経験だった。
だから互いに学び合っていたと思う。アメリカ人が舞台をフランスに置いた作品を撮影する時に、そういう関係は欠かせないんだ。
ダリル・ディクソンに対する今後の展望
——–『ウォーキング・デッド』シリーズについて話してきましたが、ダリル・ディクソンの将来について自身はどうお考えですか?彼が東京に来る可能性はあると思いますか?
良いアイデアだね。僕は是非ここで撮影したい。でも、君たちは喜ばないと思うよ。僕らは行く先々の地を破壊していくからね。日本の人々は東京をとても綺麗に保っている。
フランスでも美しい地域で撮影したんだけど、たった3日で全部めちゃくちゃにしてしまった。窓ガラスを割り、物に火をつけてね。家から出てきた近所の住人の方々は、きっと僕らを追い払おうとしたに違いない。エッフェル塔ですら真二つに割れるところだったよ(笑)
各エピソードを、まるで物語のように伝えてくれたノーマン。その見事な語り口には、聞き手を引きつける強い力があった。
インタビュー後半では日本への愛や、大阪コミコンへの参加、今後出演する作品や、自身の芸術家としての活動などについてさらにノーマンの素顔に迫る。
また、インタビューの様子を動画でも『ザ・ハリウッドリポーター・ジャパン』公式YouTube(その他、各SNS)で公開中。THRJでしか見られない、チャーミングなノーマン・リーダスのコンテンツをお見逃しなく。
取材・記事:ザ・ハリウッドリポーター・ジャパン Kai Yamaguchi / 山口 京香
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