マーベルの新作映画『ブレイド』の制作が進まないワケ
相次ぐ降板…マーベル新作『ブレイド』
現在、停滞状態にあるマーベル・スタジオの新作映画『ブレイド』。最近はヤン・ドマンジュが降板し、これで監督を失うのは2度目となった。とある情報筋は、制作プロセスが長引いたことで、双方のフラストレーションが高まったと伝えている。
主演のマハーシャラ・アリもまた、不満を募らせているという。2019年から本プロジェクトに参加しているアリは、2022年秋にバッサム・タリク監督が降りた後、ドマンジュを指名した。
主演俳優の肝いり企画
当時『ブレイド』はプリプロダクションの段階で、主要撮影まであと2カ月ほどだったが、情報筋によれば、マーベルはタリクが適任ではないと考えるようになったそうだ。その後、マーベルはアリに監督候補者リストを提示。しかしアリは、そのリストに大手スタジオレベルでの実績がない監督が多く含まれていることに懸念を抱き、自ら調査を行った。
この企画はそもそも、アリが『グリーンブック』でオスカーを受賞した後、自らスタジオに電話をかけ、ブレイド役をやりたいと申し出たのがきっかけで始動した。
昨年のストライキで休止
ドマンジュ監督の『ブレイド』は、アリが指名したニック・ピゾラットを脚本家に加え、2023年5月の撮影開始に向けて進められていた。しかし、脚本家・俳優のストライキによって、撮影は打ち切られてしまった。
『デッドプール&ウルヴァリン』や『サンダーボルツ(原題)』など、休止状態から再始動した他のマーベル作品とは異なり、『ブレイド』はほとんどのキャストが降板し、さらに多くの脚本家が起用された。
そしてドマンジュが去った直後、新作『サンダーボルツ』や『ファンタスティック・フォー』を手がけたマーベルの人気脚本家、エリック・ピアソンが参加することとなった。
W・スナイプスも懸念?『ブレイド』の受難
長期化するプロセスに対し、過去の『ブレイド』3部作に主演したウェズリー・スナイプスは、自身のX(旧Twitter)に「ブレイドよ、おいおい大丈夫か」と投稿。また、アリの弁護士も最近、「契約は2019年でしたが、まだ撮影すらしていません。私の経験の中で、最もクレイジーなことだと言えるでしょう」と語った。
昨年のストライキに加え、『ブレイド』はコロナ禍による遅延と、ディズニーのストリーミング作品重視への方針転換の犠牲となった。ある内部関係者は、「『ブレイド』に十分な注意が払われなかった。ストリーミング作品の“過剰供給時代”の犠牲者になってしまった」と見解を示した。
制作は継続か
マーベルが、『ブレイド』の制作に費やしたコストは不明だ。しかし、同社は近年、製作を急いでも報われないことを学習しており、『ブレイド』を今すぐ打ち切ることはない。新しい計画では、脚本は夏のあいだに書き上げられ、その後監督に送られることになっている。
マーベルのトップ、ケヴィン・ファイギ氏は『ブレイド』に特別な思い入れがあり、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の初期に、“二軍”キャラクターに焦点を当てるインスピレーションの1つになった。ファイギ氏は2017年、以下のように語っている。
「『Tomb of Dracula』の数号に登場しただけの、誰も聞いたことのないキャラクターが、立派なシリーズになった。そのキャラクターがどれだけ有名かは重要ではなく、映画がどれだけクールかが重要なんだ」
※初出は、米『ハリウッド・リポーター』(6月18日号)。本記事は、英語の記事から抄訳・編集しました。翻訳/和田 萌
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