井浦新、甲斐さやか監督『徒花』に自信「味わったことのない映画体験を確信」

(左から)水原希子、井浦新、永瀬正敏、甲斐さやか監督、『徒花-ADABANA-』初日舞台挨拶にて
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甲斐さやか監督の最新作となる日仏合作『徒花-ADABANA-』の初日舞台挨拶が18日、東京・テアトル新宿で行われた。甲斐監督は出演の井浦新、水原希子、永瀬正敏とともに登壇。「感想は見た人の心にあるので全て正解。いろいろな答えを出してくれたらうれしい」と自信のほどをうかがわせた。

命の危険を伴う病に侵された新次(井浦)が、「それ」と呼ばれる自らのクローンと対面し存在価値を自問自答していく。2019年のデビュー作『赤い雪 Red Snow』が、米ロサンゼルス・ジャパン・フィルム・フェスティバルで最優秀作品賞を受賞し注目された甲斐監督が、それ以前から構想を温め脚本を執筆した寓話的な物語だ。

井浦新

井浦は、新次とそれが会話をするシーンも交互に演じたが「芝居を分けるというよりは、それぞれの周りの環境や生活を想像して膨らませて撮影した。テクニカルにではなく、それぞれが生きてきたものを映したかった」と説明。「大変ではあったが、監督がいつもケラケラと笑って楽しそうだったので、2人を行ったり来たりするたびにテンションが上がっていった」と振り返った。

水原希子

新次をケアする臨床心理士のまほろ役の水原は、その場に立ち会っており「どうなっちゃうんだろうと思って見ていた。私だったら泣いちゃうかなあ。俳優としてたくさんのことを学んだ」と最敬礼。新次の主治医役の永瀬も、「僕も若い頃に2役をやったことはあるが、今回は大変だったと思う」と後輩をおもんぱかった。

対する井浦は、「希子ちゃんは表現に妥協がなく、共演が楽しみだった。想像もつかないものが生まれるだろうと思っていた」と絶賛。永瀬には「20代の頃から良きタイミングで一緒に芝居をして、その度に衝撃を食らわされた。悔しい思いと、いつかはそれを消化して自分で何かしたいと思わせてくれる存在」と尊敬のまな差しを向けた。

永瀬正敏

甲斐監督はそれぞれのキャストと綿密に話し合いを重ね、「常に想像を超えていかれた俳優陣の芝居には衝撃を感じてもらえ、自分事と思ってもらえる」と自信。井浦は『赤い雪』にも出演しており、「監督の世の中に向けた刃の鋭さは、作風などは全く違うが若松孝二監督の系譜だという思いを抱いた。目の前にポンと答えを置いてくれる映画ではないが、味わったことのない映画体験をしてもらえると確信している。映画をもって起こそうとしている革命を全身で楽しんでほしい」と言葉に力を込めた。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元

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