ハリウッドが今、2025年の“ホラー映画疲れ”を恐れているワケ
2022年、パーカー・フィン監督のホラー映画『SMILE スマイル』がその年で最も高い北米興収を獲得した作品の1つとなり、パラマウントはすぐさま続編にゴーサインを出した。スタジオ間ではホラー・ジャンルの競争が繰り広げられ、才能ある監督との契約にこぎ着けたり、劇場公開作品を増やすために重役を雇うといったことが行われているのだ。
■ホラー作品が過飽和状態に
そして今年10月、続編『Smile 2(原題)』が封切られると、ホラー市場の様相は一変した。市場が飽和状態にあるなか、大手・独立系スタジオに警鐘を鳴らすことになったのだ。
『Smile 2』は、公開2週目となる独立系スタジオ・Cineverseの話題作『テリファー 聖夜の悪夢』(以下、『テリファー3』)と競った。『テリファー3』は前週、予想を大幅に上回る1890万ドルでデビューを飾っていた。
パラマウントは『Smile 2』が1作目と肩を並べるか、またはそれを上回る成績を記録すると踏んでいた。結果は2300万ドルというヒットだったものの、前週から50%ダウンにとどまった『テリファー3』が成績に与えた影響は否定できない。
■“ホラー疲れ”への懸念
ホラーの利点は、他のジャンルよりも速くかつ安価で製作でき、多大な利益を生む可能性があるところだ。しかしながら、作品が次々と増産され、観客の間では疲労感が漂っている。
とあるトップスタジオの重役は語る。「今年は、26本のホラー映画が公開されます。すでに来年も、18本が予定されています。ひと息つく時間が欲しいところですね。順番が回って来るころに、観客が飽き飽きしている状態は避けたいです」
2025年の全米公開作品には、ビデオゲームを映画化した『Until Dawn(原題)』、『M3GAN 2.0(原題)』、『ソウXI(原題)』、『ブラック・フォン2(原題)』、『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ2(原題)』といった話題の新作ホラーが目白押しだ。
■ホラー=ヒットが成立しない?!
『Smile』や『テリファー』がヒットを飛ばす一方で、興行成績が振るわなかったホラー作品もある。昨年10月には、ブラムハウスの『エクソシスト 信じる者』が大コケ。しかし同月後半、同じくブラムハウスの『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』が成功し、打撃を緩和することになった。
興行成績を分析する会社・米コムスコアでチーフアナリストを務めるポール・デルガラベディアン氏は、「以前は確実に成功するとされていたホラーでさえも、今では劇場公開での収益性が見込めないのではないかと考えています」と見解を示した。
「2023年前半の『M3GAN』、『コカイン・ベア』、『スクリーム6』と『死霊のはらわた ライジング』の4作品は、製作費の合計約1億ドルに対し、世界中で5億8500万ドルを稼ぎました。2024年にコケた『ナイト・スイム』、『イマジナリー』、『悪魔と夜ふかし』、『Immaculate』、『オーメン:ザ・ファースト』、そして『アビゲイル』は製作費の合計約1億ドルに対し、世界累計興収2億3500万ドルとなっています」
※本記事は英語の記事から抄訳・要約しました。翻訳/和田 萌
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