米アカデミー賞 2024 大予想: 米『ハリウッド・リポーター』の批評家らが全部門を考察

『オッペンハイマー』ほか今年のノミネート 写真: MELINDA SUE GORDON/UNIVERSAL PICTURES (2); COURTESY OF FOCUS FEATURES; COURTESY OF APPLE TV+; COURTESY OF A24; COURTESY OF SONY
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いよいよ、10日(現地時間)に差し迫った2024年の米アカデミー賞授賞式。

米『ハリウッド・リポーター』の“アワード専門家”こと、スコット・ファインバーグ氏と、映画批評家チーフのデヴィッド・ルーニー氏が、今年のオスカーを受賞しそうな人/作品、そして受賞すべき人/作品を考察した。

作品賞

受賞しそうな作品:『オッペンハイマー』

賞シーズンを総なめにしてきた『オッペンハイマー』。現代においても切迫感がある伝記映画で、多くの人気俳優が出演している。さらに、彼の世代で最も尊敬される監督、クリストファー・ノーランはアカデミー会員にとって魅力的なはずだ。

S・ファインバーグ

受賞すべき作品:『オッペンハイマー』

『オッペンハイマー』の受賞が不可避なのは、正しい選択だ。登場人物の綿密な描写に、政治的な駆け引きなどが融合した偉大な作品である。そのうえ、映画が複雑なテーマに挑むとき、観客の満足感を引き出すために難易度を下げる必要がない、ということを証明して見せた。

D・ルーニー
『オッペンハイマー』写真: UNIVERSAL PICTURES

監督賞

受賞しそうな人: クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』

これまで、英国アカデミー賞や全米監督組合賞など各アワードで受賞を果たしてきたノーラン。他のノミネート者4人さえも、“今年は彼の年だ”と認めているようだ。

S・ファインバーグ

受賞すべき人: クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』

本作は、監督と題材が理想的な形でマッチした代表例だ。じわじわと緊張感が張り詰めるスリラーを巧妙に作り上げながら、ノーランの科学的理論化が存分に繰り広げられている。

D・ルーニー

主演男優賞

受賞しそうな人: キリアン・マーフィ『オッペンハイマー』

今年は『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』のポール・ジアマッティとマーフィの一騎打ちとみられてきた。しかし、熱量を持って実在の人物を演じたマーフィは、有力な投票者からの票を獲得するだろう。

S・ファインバーグ

受賞すべき人: キリアン・マーフィ『オッペンハイマー』

マーフィの淡い瞳は、R・オッペンハイマーの忍び寄る苦悩や道徳的呵責、そして知性の高さを物語っている。個人的には、『アメリカン・フィクション』のジェフリー・ライトのサプライズ受賞も受け入れられるだろう。

D・ルーニー

主演女優賞

受賞しそうな人: リリー・グラッドストーン『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

『哀れなるものたち』のエマ・ストーンとグラッドストーンのどちらかなのは確かだろう。後者は、先住民族系俳優の初受賞として歴史に名を刻むことになる。

S・ファインバーグ

受賞すべき人: エマ・ストーン『哀れなるものたち』

ストーンに匹敵する演技はない。知識や経験を身につけながら、上流社会や家父長的な秩序といった足かせを取っ払い、文字通り人生を一から生き直す女性を見事に演じ切った。

D・ルーニー
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』 写真: MELINDA SUE GORDON

助演男優賞

受賞しそうな人: ロバート・ダウニー・Jr.『オッペンハイマー』

『オッペンハイマー』は投票者が最も気に入っている作品で、これまでのアワードも総なめにしていることからダウニー・Jr.が最有力と言えるだろう。

S・ファインバーグ

受賞すべき人: ロバート・ダウニー・Jr.『オッペンハイマー』

次第に冷酷さをあらわにしていく主人公の敵対者を演じたダウニーJr.。そのパフォーマンスは、カリスマ的なひらめきと、臨機応変な知性がなければ成立しない。

D・ルーニー
『オッペンハイマー』写真: COURTESY OF EVERETT COLLECTION

助演女優賞

受賞しそうな人: ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

行く先々で脚光を浴びてきたランドルフは、準備万端。彼女が受賞すれば、アレクサンダー・ペイン監督作品の演技でノミネートされた俳優として、史上初の快挙となる。

S・ファインバーグ

受賞すべき人: ダニエル・ブルックス『カラーパープル』

ランドルフが先行するアワードの助演女優賞を総なめにしたことは、ハイブ・マインド(集合意識)的な選択なようにも思える。個人的には、スクリーンで眩いほどの活力と喜びを解き放ったブルックスを推している。

D・ルーニー
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』写真: FOCUS FEATURES

脚色賞

受賞しそうな作品:『オッペンハイマー』

受賞すべき作品:『哀れなるものたち』 

脚本賞

受賞しそうな作品:『落下の解剖学』

受賞すべき作品:『パスト ライブス/再会』 

長編ドキュメンタリー映画賞

受賞しそうな作品:『Bobi Wine: The People’s President』 

受賞すべき作品:『The Eternal Memory』

国際長編映画賞

受賞しそうな作品:『関心領域』 

受賞すべき作品:『関心領域』

長編アニメ映画賞

受賞しそうな作品:『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

受賞すべき作品:『君たちはどう生きるか』

撮影賞
『オッペンハイマー』

衣装デザイン賞
『バービー』

編集賞
『オッペンハイマー』

メイクアップ&ヘアスタイリング賞
『マエストロ: その音楽と愛と』

作曲賞
『オッペンハイマー』

歌曲賞
「What Was I Made For?」 『バービー』より

美術賞
『バービー』

音響賞
『オッペンハイマー』

視覚効果賞
『ゴジラ-1.0』

短編アニメ映画賞
『War Is Over! Inspired by the Music of John and Yoko』

短編ドキュメンタリー映画賞
『ラスト・リペア・ショップ』

短編映画賞
『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』

※初出は米『ハリウッド・リポーター』(3月6日号)。本記事は抄訳・要約です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

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