ウォール街のトレンドはエンタメ業界!?
ウォール街では、高騰し続ける不動産よりも、高需要で安定した成長をみせる映画やTV番組製作業界への投資がトレンドとなっている。
最近では、プライベートエクイティ大手のTPGがタレントエージェンシーCAAの過半数の株式を所有したことや、投資会社のシルバーレイクがエンデバーグループ最大の外部株主となった事が記憶に新しい。
ディズニー元幹部のケビン·メイヤーとトム·スタッグスが率いるキャンドル·メディアは、米投資会社ブラックストーンから数十億ドルの資金を借り、リース·ウィザースプーンが立ち上げた制作会社ハロー·サンシャインを買収し、ウィル·スミス夫妻が設立したウェストブルックの株式も購入。さらに、子供向け人気YouTubeチャンネルを制作するムーンバグ·エンターテインメントやNetflix人気シリーズ『ファウダ』のプロデューサー・ファラウェイロードを買収した。また、イマジンエンターテインメントはロンドンが拠点の企業セントリカスに、過半数の株式の売却を交渉中とウォールストリートジャーナルが報じた。
毎年FXネットワークより公開される「ピークTV」データによると、2021年は559話分の作品がテレビとストリーミングにて公開された。この数字は2020年度より13%上昇し、過去最高記録を更新した。
「さらなる作品数の供給が求められている」と関係者は語る。「すべてのストリーミングサービスは、新しい目玉の作品とチャンネル登録者数を増やすために、高品質の独自コンテンツを必要とします。また、多くの企業は依然として一般TVで放送する番組をメインに制作する必要があるので、(ストリーミング番組は)ほとんどが付加的な位置付けです」
エンデバーグループCEOアリ·エマニュエルが「コンテンツ競争は、私が26年間で見た中で最高のレベル」と語る現在のコンテンツ業界。この先、ストリーミング番組のクオリティが強化されることで、「ピークTV」が更なるピークを迎える可能性がある。
キャンドル·メディアのケビン·メイヤーは「コンテンツ、コミュニティ、コマースがキーワード。適切なブランドで、クオリティの高いコンテンツと優れた制作者を組み合わせることで、膨大な視聴者とのコネクションが生まれる」と語った。
需要が増え続けるエンタメコンテンツ業界への投資は、不動産よりも安定したキャッシュフローが得られるとし、大手投資会社はこぞってニューヨーク、ロサンゼルス、トロントなどでスタジオを買収、開発している。
利益を優先し映画や一般TV番組の制作をしてほしいエンタメ大手複合企業と、ストリーミングで高品質で自由な制作を行いたいプロデューサーの関係は「将来、非常に重要な新しいパラダイムとなる可能性があります」とスタジオ幹部は語った。
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