脚本家ストライキのピケラインがニューヨークの一区画に集結

Peacock が Newfronts のプレゼンテーションを主催していた 415 5th Ave の外のシーン。写真: ©Alexander Weprin for THR

2023年の脚本家ストライキの最初のピケラインが火曜日の午後にニューヨーク一区画を占め、全米脚本家組合(WGA)の業務停止が正式に決定されたことに伴い、組合のストライキ計画が本格的に始動した。

東部全米脚本家組合の全組合員を代表する数百人の脚本家が、5番街の37丁目と38丁目の間を行進し、NBCユニバーサルのストリーミングサービス「Peacock(ピーコック)」のニューフロント・プレゼンテーションの入り口を封鎖。

脚本家であり、俳優やプロデューサーとしても活動するダニー・ストロングは、ピケラインからこう話す。「これは脚本家の存続の危機として捉えられている。私たちは相当陥れられていると思うし、私たち脚本家が求めているのは根本的に正しいことで、基本的な類の公平性だ。これまで以上にコンテンツが充実しているにもかかわらず、これまであった収入源が排除されているせいで、脚本家の賃金は大幅に下がった。私たちは、特にストリーミングに対する現在の財政モデルが不公平だと考えていて、そこを調整する必要があると感じている。3年前にも調整が必要だったが、パンデミックで全世界が前代未聞の騒然とした時期に直面していたため、脚本家たちは非常に快く、当時は問題に対処しないことを選択した。ただこの問題は、それ以降脚本家にとって悪化の一途をたどっていて、ストリーミングの規模だけがただ大きくなってしまった。ストリーミングは市場シェアの大部分を占めて、今後何十年も業界を支配していくはずだ。だから今こそ、そこから公平に収入を得る必要がある。」

東部全米脚本家組合のリーダーシップカウンシルの一員であり、最近Netflixによる『自由の国アメリカ: 闘いと変革の150年』の脚本を手掛けたサーシャ・スチュアートも、こうした懸念について言及した。「全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)が私たちにとって最も差し迫った問題について議論することを拒否したのは、脚本家というものが職業でなくなることを望んでいるからだと思うの。つまり彼らは脚本家をキャリアとして見なしたくない。数年に一度、2~3日、あるいは1~2週間の一時的な仕事として終わらせたいのだと思う。監督に対してもきっとそう。俳優やスタッフに対しても恐らくそう。AMPTPは、自分たちにとって非常に有益なコンテンツを作ってくれる人々がいても、その人たちがこうしたコンテンツで実際に生計を立てられるようにはなってほしくないみたい。」

『Last Week Tonight with John Oliver』と『Desus & Mero』の脚本家、ジョシュ・ゴンデルマンは他の脚本家と同様に、ストライクはしたくないが、過去に得た勝利と業界の未来という点で見ると多くのものが懸かっているため、今現在の組合の熱量がかなり高いと言い、「ここにいる全員が叫んで行進しているのは、これが私たち自身だけでなく、これからの人材や、これまでにレガシーを遺してくれた人たち全員にとってものすごく重要なことだからだよ」と話した。

BETの『Tales』のヘッドライター兼スーパーバイジングプロデューサーのパトリック・コーカーにとっては、ハリウッドのスクリプターとして初めてのストライキだったという。しかし、コーカーは2017年にWGAに入会する前に、Verizon(ベライゾン)の社員としてこれまで何度もピケラインに立ったことがある。それが今となっては、こうした長いストライキに備えるための、そして、取引が成立するまではいかなるプロデュース業務も行わないことに備えるための経験になった。「自分にふさわしいものを手に入れるためにストライキをする場合、短期的に必ず少しは苦しむことになる。収入はなくなるし、医療も受けられなくなるかもしれないから、苦労はする。この期間中に健康面で大変なことが起きないといいんだけどね。それでも今やらなくちゃいけないのは、今このために戦わなければ、時間が経つにつれてもっともっと賃金を削られていくからだよ。」

『AND JUST LIKE THAT…』のスター、サラ・ラミレスも自分のサインを持ってピケラインの列に現れ、脚本家たちと一緒に長期的に戦うことを約束し、「準備万端よ。私は脚本家の仕事を本当に信じてる。私たちが消費するコンテンツは、脚本家の存在なくしては成り立たないし、脚本家たちはもっと好条件な契約をさせてもらえるべきなの。だから私は、SAG-AFTRA(全米映画俳優・テレビ・ラジオ芸能人組合)のメンバーとして、私が愛し、尊敬する脚本家たちと連帯してここにいるの」と語った。

ハリウッドが“ギグエコノミー”になるのを避けることがストライキの主な優先事項の1つであると語ったコーカーは、火曜日の真夜中に起こったことに必ずしも驚いていないことを認めた上で、「企業が現実を悟って、我々なしではコンテンツは存在しないと分かってくれることを期待している。すべては脚本のページに書かれた言葉から始まり、私たち脚本家こそがページにその言葉を書いているのだから。」と述べた。

ゴンデルマンにとってのストライキの主な問題の1つに、ストリーミングサービスが「シーズンや番組を構成する」方法が挙げられる。ゴンデルマン曰く、シーズンや番組はどんどん短期間になっており、その結果、縮小されているライターズルームの長期的な安全性が低下していると言う。「ストリーミングサービスはこれまで以上に多くのコンテンツを作っているのに、脚本家の賃金はインフレに伴い、過去10年間でかなりの額で下がってしまった。つまり、賃金を下げ続けられるだけでなく、脚本家が1年を通じて、そしてキャリアを通じて持続的に生活していくための保障や安定を奪われているから、これは存亡の危機のようなものだよ。」

ラミレスは、ライターズルームの現在のオペレーション方法に問題を感じていると話す。「脚本チームを雇うなら、チーム内の脚本家たちはすべての脚本を見る機会があった方がいい。そのライターズルームの全脚本家が、完成した脚本を手にするべき。脚本チームを雇ったのに、その中の何人かの脚本家をプロセスから遠ざけてしまうことは、私は問題だと思う。そういうことが起こることは、こういうシステムにいる私たちはよく知っているし、そんなことは起こるべきじゃない。」

コーカーはまた、ストリーミングサービスが脚本家、特に歴史的に疎外されてきたコミュニティ出身の脚本家を不当に扱っていることを大きな問題として指摘した。ストリーミングはBIPOC(黒人、先住民、有色人種)や女性スクリプターの機会をある程度拡大したものの、ストリーミング以前の白人の先人たちと同じような恩恵や出世のチャンスはもらえていないと言う。そして、「ストリーミング、つまりニューメディアは、新たな開拓領域だったが、今では主要領域になった。ストリーミングのおかげで、より多くの有色人種の脚本家やより多くの女性が入ることができたのに、そうした人々は低いポジションに押さえつけられている。それがストリーミングサービスの問題点だ。ストリーミングの場合、1月から5月までのルームが用意される。6月と7月に手放されるまで番組は制作されないから、制作の経験が得られない、つまりライターズルームでレベルを上げることができない。」と語った。

ピケラインはPeacockのニューフロントには影響を与えなかったようだが(ある参加者は、椅子がすべて撤去された後も、多くの人が立っていてルームは満員だったと語った)、すぐに観光客の目的地へと変わった。カリフォルニアからニューヨークを訪れた観光客は、ストライキを知り、スケジュールを調整して、ストロング、Severanceのザック・チェリー、The Tonight Showのスティーブ・ヒギンズ、ラミレスといったおなじみの顔ぶれがSAG-AFTRAやIASTE(国際映画劇場労働組合)の組合員たちとともにいるピケラインを見に行ったと話した。

ニューヨーク市庁舎の広報担当者は、「映画とテレビ業界は、市の国内総生産の6.5%を占め、18万5000人以上のニューヨーカーを雇用しており、ニューヨーク市の文化および経済にとってきわめて重要です。労働者に適正な賃金が支払われ、業界が成長を続け、良い雇用を増やすことができるよう、両者が効果的なバランスを見つけることが不可欠です。我々は、ニューヨーク市が映画とテレビ製作の活気あるハブであり続けることができるよう、両者が交渉の場にとどまり、自主的な合意に達することを推奨いたします。」と、The Hollywood Reporterが入手した声明文の中で発信している。

オリジナル記事はこちら

Similar Posts