動画広告の指標を誇張した疑いで広告主がグーグルを提訴

写真: ©PAVLO GONCHAR/SOPA IMAGES/LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

一般に公開されていない、あるいは検索エンジンにインデックスされていないサイト上でボットの広告が自動再生された場合、その広告を見る人はいるのだろうか?グーグルによればその答えは「イエス」だが、それが原因で「何もないところで広告を自動再生する特権」に対して広告主に広告費を過大請求しているとして、グーグルを相手取ったクラスアクション(集合代表訴訟)とされる訴訟が起きている。

7月26日(水)にアルファベット傘下の同社を相手取って起こされた訴訟では、巨大テック企業が「TrueView」広告プログラムについて、広告主の誤解を招くような指標を提示していると非難している。

TrueViewとは、グーグルが独自に開発した「YouTubeや数百万のアプリ、ウェブ上で提供される、コストパービュー(CPV)・選択型広告フォーマット」で、広告主はインプレッションではなく、実際の視聴回数に対してのみ料金を支払う。広告は、5秒後に動画をスキップするかどうかをユーザーに尋ねる。グーグルのポリシーでは、広告はスキップ可能でなければならず、音声が聞こえなければならず、動画の再生はユーザーの受動的なスクロールによってのみ開始されるものであってはならないとされている。

しかし、分析会社Adalyticsが最近出したレポートによると、第三者サイトに掲載されたグーグルの動画広告の約80%が、その基準に違反していたとされる。こうした不正疑惑により、「メディアバイヤーは最大で数十億ドルのデジタル広告費を失った可能性がある」ことが判明。誤認された可能性のある企業には、HBO Max、マイクロソフト、TikTokなどが挙げられる。

グーグルはブログ投稿で、Adalyticsはその報告書に「欠陥のある方法論」を用いており、「第三者が主要な調査結果の信ぴょう性を失墜させた」と述べた。

今回の訴状は、グーグルがデジタル広告市場における優位性を乱用して競争を阻害しているとして、司法省と複数の州から連邦独占禁止法(反トラスト法)違反訴訟を起こされていることを受けて提出された。 米新聞大手のガネット社は6月、オンライン広告を支えるテクノロジーを違法に独占しているとしてグーグルを提訴している。

広告主の訴えでは、TrueView広告は自動再生またはスクロール再生される動画として提供されていたと主張している。「これは、消費者が広告を見るために実際に動画をクリックする必要があるのではなく、動画が事実上勝手に再生されることを意味する」と訴状では述べられている。「『再生回数(ビュー)』の中には、そもそも“再生した”と言えなかったり、意図的に再生していなかったりするため、このことは各ビューの価値を下げるという重大な影響を及ぼしている。」

さらに訴えによれば、異なる広告主の複数の広告が同時に配信されたという。 いくつかの広告では、スキップボタンが隠されたり見えにくくなっていたりして、「動画の視聴完了率を人為的につり上げ、ひいては広告主が支払う料金をつり上げていた」という。

集合代表の弁護士であるジョン・ネルソンは訴状において、「最後に、広告はGoogleが自社で運営するボットを含むウェブクローリングボットに配信された。つまり、実際の潜在顧客からの実際の再生回数に対して支払うのではなく、グーグルボット自体による広告閲覧に対して支払うよう、グーグルが広告主を欺いたのである」と記述している。

また、一部広告はイランなど米国政府の制裁対象国で開発されたアプリやサイトにも広告が掲載されていたという。Adalyticsのレポートは、広告主が 「うっかり財務省の制裁対象に資金を送っている」と指摘している。

集合代表訴訟とされる今回の訴訟は、TrueViewインストリーム広告料金を支払ったすべての広告主を代表しようと動いており、契約違反、不当利得、カリフォルニア州不正競争防止法違反を主張している。原告の中には、自身のマーケティング会社Sprizzyを通じてグーグルに報酬を支払ったデヴォン・ホームズと、「2022年1月頃に自身のビジネスのための広告掲載でグーグルに報酬を支払った」デショーン・ウィリアムズらが含まれる。

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