FOXニュース、第2次トランプ政権下で視聴率と収益増加の可能性
2020年の新型コロナウイルス禍で行われたアメリカ大統領選挙でジョー・バイデン氏が勝利を収めた後、保守派の一部がFOXニュースから離れつつあった。当時、ドナルド・トランプ氏がその動きを助長したこともあり、FOXニュースが右派的な視点に欠けていると感じたMAGA層の支持を得ようと、ニュースマックスやワン・アメリカ・ニュースといった新興メディアが台頭していた。
しかし、4年という歳月で状況は大きく変わった。次期大統領に選出されたトランプ氏は、12月5日のFOXニュース年次イベント『パトリオット・アワード』で、FOXニュースで番組司会を担当しトランプ支持者のショーン・ハニティー氏と親しげに言葉を交わし、「パトリオット・オブ・ザ・イヤー」の称号を獲得した。スピーチでは、次期政権とFOXニュースを擁するルパート&ラクラン・マードックのメディアグループとの新たな協力関係を強調する姿勢を見せた。
FOXニュースは大統領選挙後、勢いを増しており、プライムタイム(19時~23時帯)の視聴率が7%上昇した。一方、ライバル局のCNNは46%減、MSNBCは52%減と、大幅に視聴者を失っている。視聴者は、トランプ氏が次々と発表する意外な閣僚指名に注目し、FOXニュースを視聴する傾向が強まっている。
こうした状況を受け、フォックス・コーポレーションの最高財務責任者(CFO)であるスティーブ・トムシック氏は、12月4日にUBS(スイスの大手投資銀行)主催のカンファレンスで、同社のケーブルニュース事業に対する楽観的な見解を示した。この姿勢は、昨年、2020年米大統領選挙に関する虚偽の報道をめぐり、FOXニュースがドミニオン・ヴォーティング・システムズに対して7億8,700万ドルで和解した困難な時期とは対照的である。
トムシック氏はUBSのアナリスト、ジョン・ホドゥリック氏に対し、「選挙前の1か月と比べ、選挙後の3~4週間で、プライムタイムでも1日全体でも視聴者シェアを維持し、さらに成長しています」と述べた。また、「ケーブルニュース全体のシェアを見ると、年初から累計で約55%、四半期累計で約60%、11月単月では62%を記録しています。特定の週では70%に達したこともあります。こうした状況から、FOXニュースは視聴率の面でこれまでで最も強力な状態にあります」と強調した。
一方、CNNはワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー傘下でデジタル重視の未来を目指して変革を進めており、MSNBCは2025年末までにコムキャストから分離される見込みである。その中で、トムシック氏は、2019年にフォックスがディズニーに大半の資産を売却し、ニュースおよびスポーツ事業に集中する形で企業再編を終えたことを強調した。
また、FOXニュースが保守的な視聴者層にとどまらず、幅広い層に支持されていることもトムシック氏は述べた。
「間違いなく新しい視聴者を獲得しています」とし、「FOXニュースはアメリカの保守派だけのものではありません。未決定層や民主党寄りの視聴者も多く取り込んでいます」と強調した。また、競合他社の苦戦も影響していると指摘し、「ケーブルニュースとの比較を超え、放送業界全体でどこまで成長できるかを見据えています」と述べた。
今年に入ってから、フォックス・コープの株は約55%上昇しており、ディズニー(26%上昇)などの大手ライバルを上回っている。この成長は、今年の政治広告の急増によるもので、11月4日には最新の四半期決算が発表され、広告収入が11%増加し、13億ドル以上に達したことが報告された。
このように、FOXニュースは政治的な混乱の中で、視聴率と収益の両面で競争力をさらに高め、第2次トランプ政権の下でメディア業界をリードする存在としての地位を確立しつつある。
※この記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。
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