カンヌ出品『ぼくのお日さま』ジャパンプレミア、奥山大史監督「少しでも長く見てもらえるように」
今年5月のカンヌ映画祭「ある視点」部門に出品された奥山大史監督の『ぼくのお日さま』のジャパンプレミアが19日、東京・テアトル新宿で行われた。
奥山監督がフィギュアスケートを習っていた経験を基に、主題歌となった「ハンバート ハンバート」の楽曲「ぼくのお日さま」にインスパイアされてストーリーを構築したオリジナル作品。吃音の少年タクヤとフィギュアスケートを学ぶさくらの一冬の成長と淡い恋を、さくらのコーチ荒川の視点も交えて描く人間ドラマだ。
タクヤ役に抜てきされたのは、4歳からスケートの経験がある映画初主演の越山敬達。さくら役は、こちらも4歳からフィギュアを習っている新人の中西希亜良がオーディションで射止めた。荒川役は池松壮亮が演じ、奥山監督は「フィギュアは吹き替えでまかなえない難しさがあったが、経験のある2人と池松さんが一生懸命練習を重ねてくれたから完成した」と感慨深げに語った。
池松は約6カ月の特訓を積んだが、「氷の上に立ったこともなく、最初の3カ月は3秒に1回はコケていた。俳優をやっていればいろいろなことに挑戦するが、比べようのないくらい大変だった」と苦笑い。すると中西が、「経験がないと聞いてビックリした。6カ月とは思えないくらい上手で、こういうコーチいるなと思えた」とフォローした。
越山は、「皆さんの心にいつまでも温かいものが残り続けてくれればうれしい」と期待。池松は撮影当時13歳と11歳だった2人に対し、「宝石のような輝きを残してくれて、才能があって控えめ。このまま真っすぐ大人になって、僕のような俳優にならないように」と絶賛した。
奥山監督も、「(身長が伸びて)目線は変わっているが、最初に見た素敵なたたずまいは変わっていないし、独特の適当に抜けている感じもいい」と太鼓判を押した。そして、9月13日の全国公開に向け「冬に見るのがいいと思っているので、少しでも長く劇場で見てもらえるように、いい映画を見たと伝えてほしい」と呼びかけた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元
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