東京国際映画祭の「黒澤明賞」にグー・シャオガン、モーリー・スリヤ両監督が決定

東京国際映画祭が選定する「黒澤明賞」の今年の受賞者に、中国のグー・シャオガン、インドネシアのモーリー・スリヤ両監督が決まった。

同賞は、黒澤監督の業績を長く後世に伝え新たな才能を世に送り出していきたいとの願いから、世界の映画界に貢献した映画人、映画の未来を託していきたい映画人に贈られる。

グー監督はドキュメンタリーや短編の制作でキャリアを積み、長編デビュー作「春江水暖~しゅんこうすいだん~」が19年のカンヌ映画祭の批評家週間でクロージング作品に選出。第20回東京フィルメックスでは審査員特別賞を受賞した。

山田洋次監督ら選考委員は、「ヒューマニズムあふれる人間観察と流麗なカメラワークによって一つの大家族の姿を描き、中国映画界から新しい世代の監督たちが登場しつつあることを世界に知らしめた。そのたぐいまれな才能を高く評価するとともに、今後、世界の映画文化に大いに貢献することを期待する」と評価。グー監督は、「この栄誉は、黒澤明監督からの厳格な戒めのようにも思えます。『映画とは真に何たるものかを探求しなさい。その答えを模索することが、映画を作り続けるということだ』と言われているようです。長い年月をかけて、映画とは何か、という問いに向き合っていけたらと思います」と喜びのコメントを寄せた。

一方のスリヤ監督は、17年「マルリナの明日」がカンヌ映画祭の監督週間で上映されたのを機に日本、米国、カナダなど14カ国で公開。第18回東京フィルメックスで最優秀賞を受賞し、アカデミー賞外国語映画賞のインドネシア代表にも選ばれた。

審査員は「これまでのインドネシア映画のイメージを覆し、世界を驚かせた。また、東南アジアの女性監督たちに大きな希望を与え、今後も世界の映画文化に大きく貢献する」と期待。スリヤ監督は、「自分の名前が黒澤明と一緒に語られるなんて夢にも思っていませんでした。この賞を受賞することになり、私の世界は変わりました。本当に光栄なことです」と感激している。

黒澤明賞の授賞式は、第36回東京国際映画祭(10月23日~11月1日)開催中の10月31日に内幸町の帝国ホテルで行われる。

取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴⽊ 元

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