全米脚本家組合とスタジオ・ストリーマー間で暫定合意が成立: AI使用、データの透明性、最低雇用人数など内容を公開

©THR ILLUSTRATION / ADOBE STOCK
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全米脚本家組合(WGA)とスタジオ・ストリーマー間の暫定合意の内容が26日、組合員向けに公開された。合意が成立した3年契約には、AI使用規制、スタッフルームの最低雇用人数、ストリーミング視聴者数に基づいたボーナス、年ごとの賃上げなどが盛り込まれている。

急成長中のAI技術に関しては、AIによる脚本執筆や、オリジナル題材の書き換えなどから脚本家を保護することが可能になった。会社に認められた場合、脚本家はAIを使用できるが義務はない。さらに、WGA側は「組合は、MBAまたはその他の法によってAIトレーニングのために脚本家の題材を利用することは禁止されていると主張する権利がある」と記述した。

重要な優先事項の1つは、ストリーミング番組の成功と報酬を結び付けることだった。組合側は、データの透明性などを求めるため“視聴者数に基づいたボーナスの設定”を提案していた。そして今回の譲歩によって、“公開から最初の90日間で国内登録者の20%以上に視聴された”作品を対象とする新たなボーナスを確立。定額制動画配信サービス向けに制作された映画・ドラマは、基準に達すると国内外での固定再使用料のうち50%のボーナスが発生することになる。

一方、透明性に関する譲歩は限定的なものだった。WGAは国内外問わず高額予算の番組(例: Netflixオリジナルシリーズ)の総視聴時間数への極秘アクセスが可能になり、組合員に情報をシェアすることが許される。つまり、透明性は少し高められたものの、蓄積したデータを配信サービス側が開示することにはならない。

WGAは5月、2エピソード毎にスタッフルームに最低6人と追加の1人の脚本家を置くことを要求していた。暫定合意には、ドラマの最初のシーズンで最低3人の脚本家プロデューサーを置くことが含まれた。最低雇用人数に関する要求の狙いは、スタジオ側がコスト削減のためにAIを雇うことを防止するためだった。また、脚本家の雇用時間(スパン)についても、ディベロップメント・ルームは最低で連続10週間が保証される。これらの条件は、最初のエピソードが12月1日以降に書かれたシリーズに適用予定だ。

スト当初、3年間のMBA(最低基本合意)で16%の再使用料上昇が求められていたが、結果的には12.5%となった。さらに、組合の健康保険に対する雇用主負担の増額も取りつけた。また全米監督組合(DGA)と同様、サービスの国外登録者数を基に報酬を決める新たな方式も獲得した。

3年契約は有権者の過半数が承認した場合、正式に成立する。もし承認されなければ、組合の交渉役が再び話し合いを行う。契約の承認を問う投票は、10月2~9日にかけて行われる予定。

※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌

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