俳優組合のフラン・ドレシャー会長がスト終了計画を主導したジョージ・クルーニーに感謝
全米俳優組合(SAG-AFTRA)のフラン・ドレシャー会長は、ジョージ・クルーニーが主導する組合費の上限撤廃に関する提案を歓迎した。一方で、この提案は映画テレビ制作者同盟(AMPTP)との契約に法的に適合しないとし、“ストで争点となっている契約には何ら影響はない”と語った。
クルーニーら著名俳優のグループは今週初め、SAG-AFTRA交渉担当チーフ、ダンカン・クラブツリー=アイルランド氏とドレシャー会長と面会。そして、3年かけて組合の財源にさらなる資金を回すために、高所得層メンバーの会費の上限を撤廃するという提案を行った。
提案の背景には、SAG-AFTRAが交渉で要求する額と、制作者側が提示する額の格差を埋めるために、クルーニーら大物俳優がより多くの会費を支払うという考えがある(現在、上限は100万ドル)。さらに、低収入のメンバーが高収入のメンバーよりも先に再使用料を受け取るようにすることも求めている。
インスタグラム上に動画を投稿したドレシャー会長は、以下のように伝えた。「まず初めに、業界で大きな影響力を持つメンバーが基金に寛大な寄付してくれたことに感謝します」「また、より多くの寄付ができるように会費の上限撤廃を提案してくれたジョージ・クルーニーにも感謝を。とても寛大なことで、私たちは快く受け入れます」
そして、提案は法的には機能しないと説明した。「私たちは連邦政府に制御されている労組で、年金・保健基金に投入できる唯一の拠出金は雇用主によるものだけです。なので、福利厚生に関して私たちが争っていることは、この契約内になければなりません。分かりやすく言えば、水と油というわけですね」
SAG-AFTRAとAMPTPの争議は現在、ストリーミングに関する提案をめぐり膠着状態だ。提案内容は、ストリーミング登録者1人当たりに57セントを課金し、配信作品に出演する組合員に分配できる資金プールを作ること。AMPTP側は提案が“手に負えない経済的負担”を生じさせると主張、SAG側は賃金の押し下げを補うために規定が必要だと主張している。また、AI防御策と今後3年間での最低賃金アップについても、両者の意見は大きく食い違っている。
ドレシャーはさらに、クルーニー主導の計画で浮上した再使用料についてのアイデアについても語った。「残余金のようなものがあれば交渉の場に戻れるんじゃないか?という提案がありました。しかし、そのことは経験豊富な交渉担当者と弁護士によって入念に調べられています」
「これは繊細な砂上の楼閣なので、残念ながらそれでは通用しないと彼らは言いました。よって、組合全体へのサポートには感謝していますが、組合と交渉委員会は協議を継続できるようCEOたちが交渉の場に戻るのを待っている状態です」そしてドレシャー氏は、ストリーミングに関する提案をめぐって、スタジオ側が11日に協議の休止を求めたことに言及した。「ノーと言うにしろ、交渉テーブルから離れるにしろ、それは本当の意味で交渉に参加していることにはなりません」
動画の後半でドレシャー会長は、“交渉の場を後にすることは、非常に不快なだけでなく法にも則っていない”とスタジオ側を非難した。
ドレシャー会長は、組合がこの提案からすぐに引き下がることはないと伝えた。「CEO陣がこの話題に取り組みたがらないのは事実です。しかし、ストリーミング配信という前例のないビジネスモデルを導入した場合、前例のない報酬体系も同時に導入しなければならない。それは問題を解決するためのエレガントな方法で、“ニューノーマル”の中で仕事に戻ることができるのです」
19日夜、SAG-AFTRAの交渉委員会は長文の声明を発表した。「スタジオ側のトップらが直接コミュニケーションを取ることに前向きなのは素晴らしい。しかし幹部たちは、私たちの注意をそらすために組合員の善意を利用できるなどと一瞬たりとも考えてはならない。私たちは、少ないまたはゼロの再使用料でストリーミングモデルの成長に寄与してきた。共に築いた成功を分かち合う時が来たのだ」
※今記事は要約・抄訳です。オリジナル記事はこちら。翻訳/和田 萌