役所広司「PERFECT DAYS」のアカデミー賞ショートリスト入り「もう一歩前にいけるといい」
役所広司が第76回カンヌ映画祭で最優秀男優賞を受賞した「PERFECT DAYS」の公開記念舞台挨拶が23日、東京・有楽町のTOHOシネマズシャンテで行われた。
役所は共演の柄本時生、中野有紗とともに登壇。満席の会場を見渡し、「撮影から1年ちょっとたちましたが、こんな景色を見られるとは思っていなかった」と感激の面持ちで語った。
同作は、第96回アカデミー賞国際長編映画賞のショートリスト(15作品)入り。「日本代表というとWBCのようですけれど、選ばれたからにはあともう一歩前にいけるといいなと思う」とオスカーに夢をはせた。
東京・渋谷区のトイレ清掃員の平山が、淡々と過ごす日常に幸せを見いだしていく静謐な人間ドラマ。
ヴェンダース監督は動画で「この地球上で最も偉大な俳優の一人、役所広司さんと東京で映画を一緒に作るということは素晴らしく美しい贈り物のような出来事でした。皆さんもぜひ、世界中の人々と同じように平山さんとの時間を楽しんでください」とメッセージを寄せた。
役所はこれを受け、「凄いクリスマスプレゼントをもらった」と大喜び。続けて、「ヴェンダース監督は淀川長治さんをドイツ人にした感じですが、チャーミングで心の優しい方ですね」と冗談交じりに感謝した。
平山の同僚を演じた柄本は、父の柄本明から「役所はうまいぞお」との前情報を受けてから撮影に入り、「その意味を少しでも分かればいいと思い、凄く見させていただいた。濃密な時間を過ごしました」と満足げ。
役所の姪役で映画初出演の中野も、「とてもお優しく、常に引っ張っていただいた。役に集中してできたのも、役所さんのおかげです」と最敬礼だ。
役所は、「きょうは僕を褒める会みたいで恥ずかしい」と照れ笑い。
その上で、「これまでいろいろな所を旅してきましたが、生まれ故郷の日本での上映で旅がまだこれからも続きます。映画が独り歩きして、長く愛していただける作品になれば」と呼びかけた。
取材/記事:The Hollywood Reporter 特派員 鈴木元