【独占インタビュー】坂東龍汰、映画『君の忘れ方』単独初主演への思いを語る
”死別の悲しみとどう向き合うか”を描いた映画『君の忘れ方』。(2025年1月17日公開)
一条真也の『愛する人をなくした人に』が原案で、大切な人を亡くし悲しみを抱える人に寄り添う「グリーフケア」を軸に、恋人を亡くした青年の愛と再生を描いたヒューマン・ドラマとなっている。
突然恋人を亡くした主人公・昴の悲しみや戸惑いを細やかな表現力で演じ切ったのは、本作が初の映画単独主演となる坂東龍汰。
2017年のデビュー以来、注目のドラマや映画に出演し続け、多才な演技力で難しい役を演じ分けてきた若手実力派俳優だ。
今回は特別にザ・ハリウッド・リポーター・ジャパンの独占インタビューを実施。
単独初主演への思いや、悲しみを抱えた役をどのように演じたのか、さらに主人公・昴を演じた後の心境の変化まで語ってくれた。
────本作が映画単独初主演となりますが、オファーが来たときの思いやお気持ちはいかがでしたか?
ビックリしました。僕でいいのかなって。すごく信頼しているマネージャーさんが監督の脚本を読んですぐ、「やりましょう」ってこれまでにない反応で、これは相当素敵な作品なんだろうなと感じたのが最初の印象です。それから自分でも脚本を読ませていただいて、これはおもしろいと。斬新というか、今までにないストーリーで、だからこそどのように映画になっていくのかが、いい意味で想像できなくてとても楽しみでした。
────本作はグリーフケアがテーマになっていますが、悲しみを表現していく中で難しかったことはありますか?また何か意識したことがあれば教えて下さい。
僕は客観的にいろんなことを把握したくて、今回も、主人公の昴のこと以外にどんな作品にするかというのをずっと考えていました。脚本を読んで理解していく感情はあるんだけど、でもどうしても分からない部分もあって、迷いだったり、これでいいのかなって恐怖心がありました。
そんなときに、作道監督と話す機会があって「昴のことだけを考えてほしい。映画全体のことは周りの人たちに頼って、坂東くんは自分が感じるままに自由に演じてほしい」と言っていただけて、迷いがあっていいんだ、葛藤しながら昴を生きていいんだと安心することができました。単独主演ということで力んでいたというか、良い作品にしなきゃって焦りもありました。でも監督からの言葉で、先輩たちに頼りながら昴を生きることに集中して、昴がどう感じるかを大切にしようと思えたんです。
────他の作品とは向き合い方も変わってきたと感じますか?
やっぱり主演として今までとは違うプレッシャーを感じました。昴は恋人を亡くして混乱しているんですが、ただ混乱しているだけじゃなく、シーンとしてどう成立させるかを監督と何度も話し合って、プレッシャー以上にやりがいを感じる瞬間がたくさんありました。
────坂東さんと西野さんが2人で傘をさすイメージカットがとても印象的ですが、何か撮影でのエピソードはありますか?
今までの作品では恋人とのシーンをたくさん重ねて、徐々に相手役との距離を縮めて感情移入していくこともあるのですが、美紀(西野七瀬)は映画の冒頭3分30秒で亡くなってしまうので、今回はそれができない。それでもちゃんと積み上げないといけないものがあると思っていて、だから西野さんと一緒のシーンが少ない中で、ラストまでどう気持ちを持っていこうか不安でした。そんなときに、監督やスタッフさんたちが西野さんと恋人役として一日かけていろんな場所に行く時間を設けて下さって。そのときに撮影した写真です。役作りする上でも、こういう時間があってほんとに助かりました。
────『君の忘れ方』に関わる前と後で、死生観や日々の生き方に何か変化はありましたか?
難しい質問ですね。昴みたいにパートナーを亡くして喪失感と向き合う経験は無かったので。昴の人生と向き合ってきて、今後そういうことが自分の身に起きたときに映画からヒントをもらえたような、準備が少しできたような気がしています。僕と同年代の人がこの作品を観て、まだそういう経験をしてない人は、僕と同じように捉えてくれるのかなって。今付き合っている人がもし亡くなったらどうなるだろうと想像したり。喪失感を経験をしている人は、その心の痛みや傷にそっと寄り添って、そっと背中をさすってくれる、そんな映画になっているんじゃないかなって。僕自身もこの作品に出会えて、関われてよかったです。
────『君の忘れ方』はどんな方に観てほしいですか?
僕にとって、映画はものすごく助けられる瞬間が多いんです。気分が落ちているときにふらっと入った映画館で観た作品にものすごく救われたり。それはテレビも雑誌も音楽もそうなんですけど、映画はその中でも最高峰の時間が詰まっていると感じます。なので、全国民に『君の忘れ方』を観てもらいたい。死はいつかは必ず向き合わないといけないもので、だから一人でも多くの人に観てほしいです。
アメリカや海外ではセラピーやカウンセリングが当たり前にあるけど、日本ではまだまだグリーフケアの存在は知られていません。僕も生きていて悲しみを抱える瞬間はやっぱりあるし、そういうときに何かにすがりたくなります。『君の忘れ方』を通して、こういう形で心の癒し方があるんだなって、きっと多くの人がハッと気付かされる作品だと思うんです。僕も本を読んで知ったので、何かのキッカケになれば嬉しいです。
────最後に、皆さんにお伝えしたいことがあればメッセージをお願いします。
映画のポスターを見て「観たいな」と思ったら素直に感じたまま観てほしいです。映画ってやっぱり多くの方に観てもらって、やっと一つの映画として存在し始める。『君の忘れ方』は誰かの心に絶対に届く作品で、僕らはそこまで命を吹き込む作業をしています。できることはやりました。だから、ぜひ多くの方に観てほしいです。そしてポスターを見て何かを感じたら、映画の中に答えをぜひ見つけに来て下さい。
取材・塩原桜 編集・堀田明子
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