【訃報】フランス音楽界のアイコン、カヴィンスキー死去 デヴィッド・ゲッタ、ザ・ウィークエンドらが追悼
フランスのDJ・音楽プロデューサー、カヴィンスキー(Kavinsky)ことヴァンサン・ベロルジェさんが死去した。50歳だった。代表曲「Nightcall」は、ライアン・ゴズリング主演の映画『ドライヴ』(2011年)のオープニングを彩り、世界的な人気を獲得。フランスの音楽界やエンターテインメント界から、悲しみの声が相次いでいる。英『BBC』が報じている。
カヴィンスキー死去|「Nightcall」が映画と音楽の垣根を越えて支持
カヴィンスキーは、2010年に発表した「Nightcall」で広く知られるようになった。同曲は、ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ライアン・ゴズリング主演のネオノワール犯罪映画『ドライヴ』のオープニングクレジットに起用され、作品のスタイリッシュかつ幻想的な世界観を印象づけた。
その後も「Nightcall」は長く愛され続け、2024年パリ五輪の閉会式では、カヴィンスキー、フランスのバンド、フェニックス、ベルギー出身の歌手アンジェルによるパフォーマンスが披露された。
このパフォーマンスを機に楽曲への注目が再燃し、「Nightcall」は音楽検索アプリ「Shazam」において、1日あたりの検索数で過去最多を記録したという。
デヴィッド・ゲッタ「フランスのエレクトロ音楽を代表する真のアイコン」
カヴィンスキーの訃報を受け、フランス出身のDJ兼音楽プロデューサー、デヴィッド・ゲッタは、「フランスのエレクトロニック・ミュージックを代表する真のアイコン」と追悼した。
さらに、「誰にも真似できない独自のサウンドを生み出し、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続ける音楽を残してくれてありがとう」とコメント。「あなたの優しさと飾らない人柄に感謝します」と故人をしのんだ。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、カヴィンスキーを「永遠にフランスの誇りであり続ける存在」とたたえた。
フランスの文化相カトリーヌ・ペガールはX(旧Twitter)で、「突然の死により、フランスは最も個性的な表現者の一人を失った」とコメント。「『ドライヴ』からパリ五輪まで、『Nightcall』は世界中の人々の心を動かした。踊りたくなる一方でノスタルジックでもある彼の音楽は、これからも世代や国境を超えて受け継がれていくだろう」とつづった。
パリの自宅で死亡 死因を調査中
カヴィンスキーは、フランス・パリの自宅で死亡しているところを発見された。パリ検察当局は、死因を特定するための捜査を開始している。
仏紙「ル・フィガロ」によると、カヴィンスキーは数日前から頭痛を訴えており、当局は脳卒中を起こした可能性も視野に入れているという。
現場では、不審な物品は発見されなかったと報じられている。
ダフト・パンクの前座からキャリアをスタート
ヴァンサン・ベロルジェさんは、パリ近郊のセーヌ=サン=ドニ県で生まれた。独学でピアノを学び、2000年代初頭には、フランスのエレクトロデュオ、ダフト・パンクの前座を務めるなど、音楽活動を本格化させた。
赤い目をしたゾンビDJという設定のキャラクター「カヴィンスキー」は、ジャスティスやセバスチャンらとともに、「フレンチ・タッチ」の新たな世代を代表する存在となった。
「Nightcall」は、ダフト・パンクのギ=マニュエル・ド・オメン=クリストがプロデュースを担当。セバスチャンがミキシングを手がけ、ブラジル出身の歌手ラヴフォックスがボーカルを務めた。
2013年には、英バンドのロンドン・グラマーが同曲をカバーし、さらに幅広い層へと楽曲の魅力が広がった。
ザ・ウィークエンド「多くの人に影響を与えた」
カヴィンスキーは、2013年に発表したデビューアルバム『OutRun』収録曲「Odd Look」の別バージョンで、カナダ出身の歌手ザ・ウィークエンドともコラボレーションしている。
ザ・ウィークエンドはXで、「この知らせを聞いて、胸が張り裂けそうだ」とコメント。「あなたは私を含め、多くの人にインスピレーションを与えた。これからも、あなたの名前と音楽をたたえ続ける。安らかに眠ってほしい」と追悼した。
2024年パリ五輪の閉会式で「Nightcall」をともに披露したアンジェルも、カヴィンスキーとの写真をInstagramのストーリーズに投稿。「計り知れない悲しみ」と記し、「あなたとステージであの忘れられない瞬間を共有できたこと、そしてその後に続いたすべての経験に感謝します」とつづった。
“自分の顔”ではなく、音楽と物語を選んだ
ベロルジェさんは2008年のインタビューで、自身の顔をレコードジャケットに掲載することに関心がなかったため、カヴィンスキーというキャラクターを生み出したと語っていた。
「自分の顔を見せることには、まったく興味がない」と説明し、「音楽を作り、物語を語る方が好きだ。私にとって音楽は映像と結びついている」とコメント。
さらに、幼い頃に好きだった映画やテレビ番組の映像を思い浮かべながら音楽を制作していると明かし、「そうした記憶をすべて混ぜ合わせた物語を作り上げた」と語っていた。
パリ市長のエマニュエル・グレゴワールも、カヴィンスキーの死に深い悲しみを示した。
「パリの子どもである彼は、フランスのエレクトロニック・シーンを世界へと発信し、ノスタルジーと現代性が融合した唯一無二の音楽世界を築き上げた」とコメント。「深い悲しみの中、彼の家族や愛する人々、そして彼の音楽に自分自身を重ねてきたすべての人々に思いを寄せている」と追悼した。
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